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  文教科学委員会 

2002年11月19日 

○鈴木 寛
 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。(「頑張れよ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 私は、冒頭、先ほど仲道先生の方からも触れていただきましたが、私が本会議で質問を、今回の学校教育法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきました。その質問のお答えに対する塩川財務大臣のやはり基本認識、仲道先生にも触れていただきましたが、感謝申し上げますが、あの答弁はやはりいかがかなというふうに思います。塩川大臣は、「法曹に関係される方は国のエリートの方でございますから、社会的に、経済的に相当恵まれた立場にある方でございます」ということが本会議での御答弁でございました。
 私の質問の趣旨は、確かに塩川財務大臣がお付き合いをされておられる弁護士の方々は経済的、社会的に相当恵まれた立場にあるのかもしれませんけれども、法曹というのは、必ずしも経済的、社会的に恵まれていないけれども、自由と正義を愛し、その確立のために人生をささげていこうという高い志を持った人たちに広く門戸を開くべきではないかと。
 そして、そういう方々が、特にロースクールにおけるいわゆる勉学を励む際に経済的に大変だと。私も、例えば私立のロースクールだと一年間の授業料が二百万円とか三百万円になってしまいますと。今の奨学金は貸与型で十数万円ですね、これが大学院のあれですと大体それぐらいだと思います。そうすると、二百万円とか三百万円に対して十三万円というのは余りにもこれ少ないんじゃないかと、要するに焼け石に水じゃないかと、こういう基本認識に立って、奨学金というのは非常に重要な問題ではないかという観点で御質問をさせていただいたわけでございます。
 そして、文部科学大臣からはこの点について、関係機関と相談しながら頑張っていくという御答弁をいただいて、その詳細については今日また、この前は時間が限られておりましたから、今日また詳しくこの後お伺いをできるというふうに聞いておったわけでございますが、その後の塩川大臣の基本認識が先ほどの認識でございますので。
 予算というのは文部科学大臣お一人の強い御決意だけではなかなか実現ができない、正に関係機関とも相談しという関係機関の長は塩川財務大臣なものですから、私はこれは大変に問題だなというふうに思っております。
 少し遠山文部大臣からきちっと塩川大臣に、今のロースクールで学ぶということがいかにこれ経済的にもあるいは社会的にも、その間、しかも本当に、先ほどお話がございましたように、勉学に集中せざるを得ませんから、アルバイトしながら通えるようなものじゃないわけですね、ロースクールというのは。(「大学もそうだよ」と呼ぶ者あり)ええ、そうです。
 ですから、そういう中で、きちっとやっぱりもう一回、閣内のこの問題について、要するに大学で一生懸命きちっと社会に貢献できる人材をつくるという基本認識について再度御確認をしていただくということの急務だと思っておりますので、その点についての御見解と、塩川大臣にきちっともう一度、大臣自ら基本認識を改めるよう働き掛けられるということについても併せ御答弁をいただきたいと思います。

○国務大臣(遠山敦子君)
 十一月十三日の塩川財務大臣の御発言は、よくその記録を読んでみますと、法科大学院の学生に対する奨学金について必要な検討を行い、充実に努力したいとはっきりおっしゃっておりまして、私としては大変心強く感じているところであります。給費制の奨学金や教育ローンの政府保証については、受益者負担や官民の役割分担の観点も踏まえて慎重な見解を述べられたと承知いたしております。
 我が省といたしましては、やはり法科大学院の学生が経済的理由によって学ぶ機会が失われることのないように、授業料負担軽減のための支援策等が是非とも必要だと考えておりますし、今後、奨学金の充実に努めるということは大変大きな責務だと考えておりまして、今おっしゃいましたように、財務大臣を含め財政担当者にもそれは私どもとしては精力的に御説明をいたしたいと思いますし、財務省を始めとする関係機関とも相談をしながら、各種ローンの充実についても多元的な検討が必要だと考えているところでございます。
 これの予算要求は、先ほど答弁もございましたけれども、来年要求をいたしまして、平成十六年度からの概算要求にかかわるものでございまして、今は補正予算だの、あるいは十五年度予算だの様々なことを今要求いたしておりまして、来年、正式に法科大学院も含めた専門職大学院についての奨学金を考えますときに是非とも力を入れたいと思っております。
 それで、ちょっと誤解があろうかなと思いますのは、今、大学院生に対する奨学金につきましては、無利子奨学金が修士で八万五千円、有利子奨学金が十三万円まで段階的にあるわけでございます。これは月々でございます。したがいまして、併用いたしますと、修士課程で月々二十一万五千円、年額二百五十八万円ということでございますが、塩川大臣もこの額はもっと増していこうというふうにおっしゃっているところでございます。

○鈴木 寛
 私が申し上げたいのは、やっぱり基本認識として、予算査定の根っこにどういう御認識かということが大事なものですから、そこのところは是非きちっと再認識をお願いをしたいということでございます。
 さらに、私がちょっと気になりますのは、じゃ、弁護士になった、あるいは司法の法曹になった後には資力が上がるだろうから返せるんではないかという御認識がやっぱり塩川大臣の中におありになると思うんですが、しかしこれも実は大きな誤解でありまして、確かにそうした金銭的に恵まれた弁護士になられる方も少なくないと思いますが、しかし、本当に自由と正義を追求していこうという法曹の方々というのは非常に清貧な弁護士で、本当に基本的人権、市民のために活躍しようと思えば思うほど経済的な収入はこれ少なくなるわけですね。
 そうしますと、実は巨額なローンを抱えて、じゃ、本当に正義のために頑張ろうという弁護士、やっぱりこれはきちっと、だから返せるという話では全くなくて、こういうことを追求していけばいくほど経済的に困窮するという話でありますから、そこも含めて、本当に塩川大臣お分かりになっておられるのかなということが大変に不安になったということを私は申し上げ、そのことは繰り返し繰り返し、与野党含めて一致団結して頑張っていきたいというふうに思っております。
 それで、少し中身の話でお伺いをいたしたいと思います。
 私が御提案を申し上げましたのは、奨学金問題について四点ございます。
 一つは、現在の奨学金制度、文部科学大臣の御努力によって有利子の対象人数というのは増えております。この点は評価をしたいと思いますが、しかし、一点目は、希望者全員が、これは私は法科大学院のみならず、いずれは希望者全員がもらえるようにしたいというのが私の強い希望でありますし、またそのことに一生懸命頑張っていきたいと思っております。とりわけ法科大学院について、まず一点目は、希望者全員がもらえるようにすべきだということを申し上げました。この点についてどうなのかということをお答えをいただきたい。
 それから二つ目は、まず、先ほども十三万円が総枠の、月々ですね、それを足せば二百数十万円になるというお話でありましたが、これは生活費もありますから、学費だけで二百万から三百万ですから、プラス生活費ということになりますと、やはりまだ枠というものを、今一律にどの学部に通う人も十三万という枠、あるいは八万円という枠があるわけでありますが、それについて、今回、専門職大学院という制度ができます。これについては、社会人からの入学といいますか、ということも想定をされます。そうすると、社会人が本当にこうしたところできちっと専門、高度専門能力を身に付けようということになってまいりますと、学費プラス生活費の保障と、場合によれば家庭がおありになる方もいらっしゃるということになりますと、特に専門職大学院制度の発足に伴い、専門職大学院で学ぶような方々に対して奨学金枠の大幅増額ということを考えてもいいのではないかというのが私の二つ目の提案でございました。
 それから三つ目は、いわゆる先ほども申し上げましたが、貸与型ですと基本的にやっぱり返さなきゃいけないということになります。これは、もちろん大筋は貸与型で対応できるんだと思いますけれども、しかし貸与型ではなかなかやはり難しいケースもありまして、それから諸外国を見ましても、給付型の奨学金というのはかなり一般的に普及をしているというふうに思いますから、こうした給付型の奨学金の導入ということについていかがかということであります。
 それから、今、金融情勢が非常に厳しくなってきておりまして、いわゆる民間の金融機関が教育ローンというものを付与していく際に、これまたいろいろ個人保証を求めるとか、基本的に今、親の保証、親が教育ローンを借りるというケース、本人が借りるというケースがありますが、特に本人が借りるというケースはなかなかこれ事実上難しい状態にもなってきております。さらに、保証人になってくれる、あるいは教育ローンを借りてくれる親御さんがいらっしゃらないケースというものも、この専門職大学院で学ぶ、法科大学院で学ぶ学生の場合はケースが多くなってきてもいます。
 ですから、私が申し上げているのは、今想定をしている制度設計の中でどうしてもカバーができない部分がかなり具体的に想定されますよと、こういうところに対してやはり政策的にきちっと対応すべきではないかということで四つの御提案を申し上げたわけでございますが、それぞれについての文部科学省の御見解と、そしてこれを実現をしていく上でのいろいろな検討状況についてお答えをいただきたいと思います。

○政府参考人(工藤智規君)
 先ほど大臣から申し上げましたように、基本は、経済的な理由でせっかくの法科大学院に進学できぬことがあってはならないわけでございますので、私どもだけではなくて、政府を挙げてあるいは官民を挙げてそのバックアップのために知恵を出していかなきゃいけないという思いでございます。
 ただ、今は法科大学院の御質問ですからあれですが、あるところで、法科大学院は中身の濃いしっかりした授業を行いますから、きっとアルバイトもできないぐらい中身が濃いんですよと言ったら、某東大総長OBの方からやじが飛びまして、法科大学院だけではない、理学部、工学部あるいは医師養成、ほかの学部、大学院でもやはりしっかりした支援体制が必要であると。正にそのとおりでございまして、私ども、まず第一番目に御指摘がございました希望者全員への奨学金の交付というのは、かねてから私どもは、奨学金政策は十八歳自立社会の実現ということで、高卒レベル以降は余り親掛かりではなくて、学生本人の意思と希望、能力によって進学できるような環境を整備する必要があるんではないかと。そのために、無利子、有利子を通じまして奨学金の御用意をさせていただいているところでございます。
 現実には、今、幸か不幸か低金利時代でございますから、有利子奨学金につきましても、実質上、無利子と余り変わらない状況でございまして、大学、大学院を通じまして、ほぼ希望者に添える形になってございます。今後とも、そういう方向での努力をさせていただきたいと思っております。
 それから、一人当たりの奨学金の枠を増額すべしという二点目のお話でございますが、これは、先ほど大臣、副大臣から御答弁申し上げましたように、現在の水準、有利子については最高額で十三万という水準でございますが、無利子、有利子合わせますと年間二百六十万ぐらいお貸しできるわけでございます。現在の水準が十三万という上限額、これでいいかどうかというのは私どもも大いに問題意識を持ってございまして、塩川大臣の問題意識と同じでございますけれども、来年の夏まで掛けて更にその増額の努力をさせていただきたいと思いますが、他方で、余りたくさんお貸しいたしますと返済のときにも負担になるということも、兼ね合いも考えながら、かつ希望者の需要におこたえするような努力をしてまいりたいと思っております。
 三番目の給費制の問題でございますが、これはかねてから私どもも政策的な課題と考えてございますし、今現に大学審議会等でも御指摘をいただいているのでございますが、他方で現下のような財政事情もございます。しかも、育英会の貸与事業はそれなりに意味もございまして、一つには、限られた財源の中で幅広く学生にお貸しできる仕組みということでございますし、もう一つは、学生から返還金を通じましてその学生自身が、自分がお世話になったそれをお返しすることによって、後に遅れて来る学生に奨学金が渡されると。そういうリレーといいますか、学生から学生へのリレーという、自立心、自己責任あるいは社会への還元という効果もあるわけでございまして、貸与制というのもそれなりに意義があるということで育英会ではこれまでやってきているわけでございます。給費制は確かに政策課題でございますが、返ってこないお金でございますので、よっぽどたっぷりした原資がございませんとなかなか踏み切れない部分がございます。
 他方で、現在、大学院生の返還免除制度というのがございまして、これは育英会の改組に伴いまして見直しをすることになってございますが、今のままですとやや偏った政策になっておりますので、見直すに当たりまして幾つかの選択肢を考えられております。一つには給費制を一部始めてはどうかという案もございますが、他方で若手研究者を対象とした競争的な研究資金を増やす方に回したらどうかとか、あるいはポスドクという、フェローシップが進められてございますけれども、修士段階レベルが空白な地帯になっていますので、修士レベルを対象にした若手研究者の育成に、充実したらどうかというお話でございますとか、あるいは在学して、まあ銀時計と言ってはなんですけれども、成績優秀者に一部免除するという仕組みを導入したらどうかという、いろんな御提案をいただいてございまして、これから財源の確保の見通しなども考えながら更に検討してまいりたいと思っております。
 四点目でございますが、教育ローンへの政府保証の実施ということでございます。これは鈴木委員、御承知のことと思いますが、アメリカで先行例がございます。アメリカは連邦政府が奨学金をかなり充実した政策として用意しているわけでございますが、一時期、同じような政府保証での奨学金制度をかなり大幅に行ったのでございますが、その反省に立ちまして、やってみたところ、やっぱり反省点が多くて、言うなれば失敗したかなというふうに私どもも受け止めておりますけれども、どうしてもお貸しする民間金融機関のモラルハザードが崩れて、かえって事務費が高騰するとか、あるいは学生へのサービスが低下するとか、結局政府としての財政負担も多かったものですから、今やダイレクトローンの方に切り替えているというふうに承知してございますけれども。
 そういう意味では、今、財投機関債等も含めて育英会で必要な資金の調達に努めておりますけれども、低利の資金が確保できればそれにこしたことはないわけでございまして、民間金融機関のそれよりも高い金利の利ざやを更に埋める、あるいは民間金融機関の自主努力を政府として何かお先棒を担ぐかのごときことになることではいかがなものかということもございますので、これは今後更に検討が必要でございますけれども、関係方面とも更に検討しながら、トータルとして学生支援には万全を期してまいりたいと思っております。

○鈴木 寛
 私が枠のお話を申し上げたのは、結局、個別にはやっぱり十三万円を超えて対応すべき、それは少ないかもしれませんけれども、そういう実態があると思います。枠をきちっと、その十三万という上限ではなくて、もう少しきちっと枠を取っておけば、もちろんその枠の中で全部使うのか、それともその一部を使うのかというのはケース・バイ・ケースだと思いますが、そうしたケース・バイ・ケース、特にきちっと救わなければいけないものに対応していくためにも、その枠というものは多目にきちっと確保しておくべきではないかという趣旨でございますので、その点是非、もうよく御了解いただいていると思いますが、これからのなかなか厳しい予算折衝になると思いますから、お願いをしておきたいと思います。
 それから、最後に局長が、やっぱりトータルで考えていくと。私もそうだと思うんです。例えば給付型の議論なんかは、やはり民間による寄附、寄附税制ということもきちっと、奨学金の原資に対して民間からいろんな寄附を募っていくと、そうしたことを奨励していくということは大変重要だと思っております。アメリカなどもそういう制度があってのことですから。そういう意味での税制の措置とか、あるいは先ほどの政府ローンの問題も、確かにアメリカの例は私も承知しておりますけれども、ただ日本の場合は、これは金融庁に申し上げることですが、金融庁の割と形式的な審査基準といいますか審査運用体制というものがあるものですから、なかなか本当に個別のローンのリスクを見て貸し付けるということに日本の金融制度がまだアメリカのように成熟をしていないという中で、やはり社会全体としての欠落があるのではないかという観点から、私はアメリカの例をも踏まえ、なおかつ申し上げているということも御承知をいただきたいと思います。
 それから、これは問題提起でございますので、是非御検討、御答弁は要りませんが、御検討の中に加えていただきたいのは、今、入学金が対象になっていないですよね、その奨学金の交付の。いわゆる授業料は奨学金の対象になっているんですが、入学金はなっていないんです。これは、入学金を払っておいてほかの大学へ行くとか、いろんなことがあるので、確かに今それが対象になっていないそれ相当の理由があることは私も承知をしておりますが、しかし、それを更に乗り越えて、やはり入学金というものが相当な学生の負担になっていることは事実でございます。しかも、今回は二年とか三年とかということになりますから、その総額に占める入学金の割合というのも非常に増えてくるという意味で、是非トータルに、学生がきちっと安心して勉強できる体制ということについては検討いただきたいと思います。

○政府参考人(工藤智規君)
 奨学金とかいろいろな学生支援は育英会だけでなくて多方面で行っているわけでございますが、今御質問がございました育英会の奨学金について申しますと、これは授業料のため、あるいは入学金のためという使途は限定していないんでございます。
 学生の学資の一助にということで月々あるいは年間を通じて差し上げているのでございますが、現実的に、今御指摘のありましたように、入学時に、入学金もそうでございますけれども、場合によっては引っ越しをしてアパートを借りての一時的なお金が必要なのがあるわけでございまして、そういう需要にこたえるために、実は来年度の概算要求で今要求中でございますけれども、もしそれが通れば新年度から入学途中の一時金を御用意しようというふうな準備を進めているところでございます。

○鈴木 寛
 是非、今の予算要求、十二月大詰めでございますが、頑張っていただきますようにお願いを申し上げます。
 それで、次に参りたいと思いますが、これも仲道先生と私、問題意識を共有しておりまして、今の答弁を聞いていてやっぱり更にお伺いをしなきゃいけないなと思いました。
 やはり今回の専門職大学院制度、ロースクールありきではないかという印象を私、当初より持っておりましたし、今の十時からの一時間のやり取りを聞いておりまして、やはりまだその疑念というか懸念は払拭できません。改めて、私はこの専門職大学院制度というものについて議論をやはりこの国会の場できちっとしておく必要があるんではないかと思っております。
 と申しますか、そもそも今回の国会の上程のされ方自体、私は腑に落ちていないわけでありまして、私は本会議であえて、学校教育法の一部を改正する法律案そして法科大学院と、順番を変えて私は本会議で質問をさせていただきました。ここには大変な思い入れがございまして、これは学校教育法というのは、正に教育基本法に準ずる文部行政の根本を決めていく、規定をしていく極めて重要な法律であります。今回、日本の大学制度、特に私立大学の部分が主でありますが、恐らく次期通常国会で国立大学について大議論がなされる。そういう意味で、これは本当に戦後五十年ぶりの、この臨時国会そして次期通常国会、この二〇〇二年、二〇〇三年というのは日本の大学行政、大学政策の大転換として恐らく後世に記憶される、記録されるということになると思います。
 今回の学校教育法の一部改正案の中身を見てみますと、非常に重要な項目、正にロースクールの付け足し、ロースクール法の付け足しで三番目に並べられるというようなたぐいの問題では全くないというふうに私は思っております。たかが順番の問題かもしれませんが、しかしこれは重要な問題だと私は思っておりまして、そういう意味で、この専門職大学院制度、先ほどからの御議論を聞かせていただきますと、やはり非常に混乱というか混同、複雑で、それがなかなかやっぱり我々もよく分かりませんし、まして社会全体に専門職大学院というのはどういうイメージでもって迎えたらいいのかということはやっぱりよく分かりません。
 例えば、ロースクールがこれに当たるということはよく分かりました。文部省は、それ以外にもいろいろあります、ビジネススクールあります、そして今の省令で決まっている専門大学院が発展的にこれになっていくんだ、それもよく分かります。
 しかし、例えば、先ほど青山学院大学の国際マネジメント学科が恐らくこれに昇格といいますか発展するだろうと、こういう話がございました。一橋大学もそうだというお話がありました。しかし、一方、慶応大学にはビジネススクールというのがございます。青山学院、学生から見ていれば、あるいは学者から見ていれば、あるいはそこに、教壇に立つ者から見ていれば、青山学院の国際ビジネススクールと一橋大学のそれと、そして慶応大学のビジネススクールと、これが実態的にいかほど違うのかということからすると非常に疑問で、というか余り変わらない、同じカテゴリーとして普通は学生は考えますよということを申し上げたいわけであります。
 それから、公衆衛生について新しい専門大学院ができると。これも大変望ましいことだと思いますが、一方で、例えば慶応大学は看護医療学部というのを今度作って、新設して、これもいろいろな教育活動が行われております。そうすると、この部分でも、公衆衛生を目指した、そこで育てたいと思っている人材あるいはそこで深めたいと思っている学識というものはかなり似ている部分があるわけですね。しかし、制度的には、一方は通常の学部大学院、一方は専門職大学院と、こういうことになって、これはやっぱり非常に混乱といいますか戸惑いを招くんではないかと思います。
 質問でありますが、どうして、ロースクール以外で、今も専門大学院という制度がきちっとあって、それなりに社会人向けのカリキュラムとかあるいはそれについての様々な制度の運用とか、それなりの対応がされていて、そして大学でもそうしたものを活用しながらいろいろな実態が積み上がってきております。これをあえて法律で違うカテゴリーを作ってやらなければいけないのか、その必要性は少し先ほどお話がありましたが、具体的にじゃどういうメリットがあるんですかということについてお話をいただきたいと思います。

○副大臣(河村建夫君)
 鈴木委員は現実に大学に職を置かれてそういうことを感じておられたことだと思いますので釈迦に説法のような気がいたすんですけれども、これは、私もこの説明を最初に受けたときに、やっぱり専門職大学院という正に高度な職業能力を有する人材育成上、今までの研究論文とかそういうものに取られないといいますか、それに時間を費やさないで、専門職としての能力を高める時間をもっと教育の中に入れる必要があろうという観点から、これにつきましては中央教育審議会の大学院部会でもいろいろ議論をしていただいたわけですね。
 そうすると、ちょうどロースクールの話も出てきて、こういうものを入れていくとなれば、この際もっと高度化する必要があると。今の専門大学院の現状で、今の、それだと、今ある修士課程等々、それを一般に大学院と言っているものと、わざわざ専門と言いながらもやっていることはほとんど同じで、中途半端じゃないか、もっと特化する必要があるんじゃないかという議論を踏まえて、また、それが望ましいという中教審の大学院部会での答申といいますか議論を踏まえた上で、正に修了要件、修業年限、そういうものを高度専門職業人養成として一層適した柔軟な、弾力的な仕組みでやろうと、そういうことで専門職大学院制度を新たに整備する。そして、これをこれから進めていく。
 さっきおっしゃった慶応大学のビジネススクール等々も、この制度がきちっとすればその方向で考えたいというような意見も伺っておるところでございまして、各大学もそういう方向へなっていくであろう。既に今持っている専門大学院は発展的にそういうふうにしていただくということになっておりますので、そのことを期待をしながらこの法案を整備した次第でございます。

○鈴木 寛
 私もこうした専門職大学院制度というものをきちっと日本の学校教育体系の中で位置付けていくこと自体、賛成の立場なんでございます。そして、確かに慶応ビジネススクールあるいは法政でもビジネススクールがございます。そうしたものが、この制度の確立がされたならば移行するだろうと。確かに何か、青山は専門職大学院で慶応はそうでないというのはやっぱりなかなか不思議なといいますか奇妙な状況でございますから、なるべくそうした状況はやっぱり一本化をされていった方がいいと思うんですが、逆に申し上げますと、じゃ、なぜ慶応大学とか法政大学が今きちっと表明できないかというと、どういう制度になるのかというのがやっぱりなかなか法的に明らかではない、あるいは予算措置、あるいは運用などで明らかになっていないというところもございますので、そういう意味で、法的な位置付けというものがどういうふうに変わるのかということを是非明らかにしていただきたいと、こういう趣旨で御質問をさせていただきました。
 それで、と同時に、若干、私は河村副大臣、大変個人的にその見識と教育に掛ける情熱については敬意と御尊敬申し上げているわけでありますが、先ほど来の御答弁で幾つか副大臣らしからぬ御発言といいますか、ところがございますのでちょっと御質問させていただきたいんですが、これも先ほど来議論になっております学位の不整合の問題であります。
 それで、やっぱり専門職大学院ということになった場合に、やっぱり医師というのはこれは正にプロフェッショナル中のプロフェッショナルでございまして、メディカルドクター養成というものがこの専門職大学院にはまらないというのは、何か不自然なやっぱり印象が免れないと思います。
 学位の問題は、確かにJDについては国際的な整合性というのはあるという御答弁はそのとおりだと思いますが、しかし、じゃ、メディカルドクターについて国際的なことが必要ないのかというと、それは全くそうでないわけでありまして、正にメディカルドクターも、きちっと日本でメディカルドクターというものを位置付けて、そしてそのことによって日本の、すばらしい日本の教育を受けた、医学教育を受けた人たちが世界じゅうで活躍するということもこれは私は望ましいし、そのことについて文部科学省も何ら異存はないんだと思います。であれば、やはり医学教育ということについてもきちっとハーモナイズをしていくということがこれはあってしかるべきだと思います。
 それから、別にけちを付けるつもりはないんでありますが、医師はそのままドクターに、医学部生はそのまま医師になると、こういうお話がございました。これも今の実態は確かに法学部生は法曹に行かない、必ずしも全員が行くわけじゃない。ただ、これは入学定員管理の問題と、要するに程度の問題ですね。これは既に早稲田大学あるいは東京大学の法学部は、学部レベルの入学定員はこれは要するに縮小をしていこうと、こういうことになっておりますから、現段階でのいわゆる法曹への進学率が大体三分の一ぐらいですね、東京大学の場合は。それが、入学定員が削減をされていけば、これは六割、七割と、こういうことになってきますから、今の実態が法学部生と医学部生で違うというのは、しかし、今回のいろいろな法制度改正によってかなり似通ってくるであろうし、私は、似通うか似通わないかということが重要なんじゃなくて、やっぱり制度的な位置付けとしてかなりパラレルな関係にあるんではないかということが、仲道先生の御指摘でもあったと思うし、私の主張でもあります。特に、今回できる司法試験と医師国家試験を見てみますと、極めて酷似した資格付与の制度設計になっていくわけですね。
 そうした中で、本会議でも私は医学教育について、こうした専門職大学院制度とどういうふうな整理をされるのかということ、両方の観点から伺わさせていただきましたけれども、やはりこのメディカルドクターの養成という問題については、これいずれやっぱりきちっと議論をしていくということになるんではないかというふうに思いますが、そういう意味でこの専門職大学院制度、やはり議論がまだこなれていないなという気がいたします。
 そういう意味で、再度、今のような論点を踏まえまして、なぜ専門職大学院を今回位置付ける、その政策的な意義は認めております。しかし、法的な効果というものがどこにあるのかということについてお話を、御答弁をいただきたいと思います。

○副大臣(河村建夫君)
 委員のような御指摘があるのは私も当然といいますか、受け止めておりまして、この専門職大学院構想が来たとき、当然メディカルスクールということが想定されるであろうということは私も理解をしております。
 ただ、今回のこの専門職大学院を入れるについては、まず司法改革という面からも来たわけでございまして、司法改革の中でどう位置付けるであろうと。そうすると、当然、大学院制度、学校教育法の中における教育の部分もある、それを一つのブリッジした形で今回生まれたものであります。
 しかし、今回の学教法の改正そのものは、単なる法科大学院だけに特化させずに、これを、法科大学院の前提でありますけれども、それ以外にも、今回専門職大学院というのを広く考えて、いろんな参入もあり得るということでありますから、当然、今、委員が御指摘になった、この法案を通していただくことによっていわゆるメディカルスクール構想というものも具体的にわいてくるであろうということを期待をいたしております。
 今、三師会は、まず薬学教育を六年制にという問題もあって、足並みをそろえてということになるであろうというふうに私は想像しておりますが、当然、法的効果としては、この法律を通していただくことによって今御指摘のあったような問題が道が開けてくる、また目に見えてくる、当然そういうことが検討されるであろうということを期待をしてこの法案を出しているものでございます。

○鈴木 寛
 是非そうした意味で検討を更に深めていただければというふうに思います。
 それで、私が専門職大学院制度というものをこの際位置付けていく、その上で一つ論点としてあるのかなというふうに思いましたのは、今回の学校教育法改正の中で学部、学科の新増設というものを、段階的ではありますけれども、規制緩和をされているという方向であります。これは、前国会で大学改革についてのフリーディスカッションをしたときにもそんなお話をさせていただきまして、その方向で半歩前進だというふうに思っておりますけれども、例えば専門職大学院に関しては、ほかの大学院についてはいろいろな定数管理とかカリキュラム管理とかということについて、これはどんどんどんどん大学の自治等に任せていくんだろうというふうに思います。もちろん、専門職大学院についても基本的な大学の自主独立性ということは大事だと思いますが、ただ、入学定員管理のところについて申し上げると、少し他の大学と違う取扱いというのがこれはあり得るのかなという一つの論点の提起ということで聞いていただきたいわけでありますが。
 と申しますのも、最終的な司法改革のイメージで申し上げますと、三千人の法曹を毎年輩出をすると、こういうことになっております。今のような司法試験一発型の弊害を是正する、プロセス教育に持っていくんだと、こういうことで今回の制度設計ができているわけでありますが、そうなりますと、ロースクールをきちっと、その課程を修了した方々がやはり、何割かということは決められないでしょうけれども、常識的には半分以上、六割とか七割とか、いろいろな意見が出ておりますけれども、そうした五割とか六割とか七割の正に医学部卒業者の医師国家資格の付与とこれも比較をしていけば、少なくともそうした割合での法曹への人材輩出と、こういうことが制度設計の趣旨からすると想定をされるんだということだと思います。
 先ほど、法務副大臣の御答弁を聞いていますと、三千人のうちどういう比率で法科大学からの卒業生が、どういう比率でいわゆる試験組が入るか、これは割合は決められないと、こういうことだと思いますが、マックス三千人の大宗が、ほとんどがロースクールから来た人だと、合格率が六割だ、あるいは七割だとしたときに、これを割り戻してみますと、結局、ロースクールの定員というのはせいぜい、たかだか見積もって四千人とか五千人とかと、こういうことになるんだろうというふうに思われます。
 一方、今回のロースクールは、非常に少人数できちっとした教育ということをやっていくんだ、それから実務家も入れていくんだということだと、一クラス二十人とか三十人とかいうこと、それからちゃんと常勤の先生が十五人以上いなきゃいかぬと、こういう話になってきますと、おのずとロースクールのサイズというのも、必要最小限のサイズというのも決まっていくんだと思います。
 何が申し上げたいかというと、なかなか五十人の入学定員でロースクールを維持運営するということは、これは現在想定しているロースクールのイメージからするとなかなかできない。そうすると、最低でもやっぱり百五十とか二百とかと、こういうことになるんだろうと思います。そうすると、入学総定員が四千人から五千人でロースクールの最小単位が二百人とか三百人になってきますと、これ割り算すれば大体分かることで、大体世の中にできるロースクールというのは二十か三十と、こういうことに単純な割り算でなっていくわけであります。しかし、一方、ロースクールを希望している大学というのは、これは希望ではありますけれども、百ぐらいあるということになってしまう。
 この方程式をどういうふうに解いていくんだろうかということは、これは我々文教科学委員会も含めて、あるいは新しい司法制度、そして新しい法曹養成制度、それをしかも大学が主として担うんだという正に今スタートラインに立っているわけでございますけれども、この点についてはこれから、総入学定員枠を四千から五千という枠組み、その中で個別の大学の設置認可というものをしていかなければいけない。これ、どういうふうな基本方針、基本的な考え方で臨んでいかれようとしておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(工藤智規君)
 まず初めに、司法制度改革審議会の方からの御提言で一応三千人の法曹養成を目標にしているわけでございますが、審議会の最終意見にもございますように、これがアッパーリミットではない、三千人達成時の状況がどうなるか、まだ先の話ではございますけれども、これで打ち止めということではないという趣旨のことが言われてございます。それにしましても、一応、政府を挙げて、あるいは関係者挙げて、その三千人体制のために、しかも量だけではなくて質の高い法曹養成のために今汗をかいているところでございます。
 そういう中で、実際、司法制度改革推進本部の方でアンケートを取ってみましたところ、国公私の大学で法科大学院の検討をしている、あるいは検討中であるという大学を、おしなべてその検討の内容といいますか、入学者のスケールを足し上げてみますと、大体五千人前後という感じでございます。
 それが平成十六年四月に一斉にスタートするかどうかというのはまだ未定のところがありますし、それから各大学の検討の内容を見ますと、意外と小規模の、六十人以下の入学定員を検討しているところが多うございまして、今御指摘ありましたように、法科大学院は中身の濃い授業を行うために学生十五人に一人ぐらいの教員割合は必須にしようと、ミニマムエッセンシャルとして十二人以上は必要だねというのがこれまでの関係の審議会の御議論なんですが、ミニマムエッセンシャルの十二人で考えますと、コストベネフィットのぎりぎりが六十人の定員でございます。ですから、それを下回るというのは、ある程度コストを掛けてでも、スケールは小さいけれどもしっかりしたものをやりたいという大学が多うございます。
 そういう中で、私どもの姿勢でございますけれども、これまでもそうでございましたように、法科大学院の設置につきましては、一定の要件、法科大学院基準など、その基準に合致すれば認可するといいますか、設置を認めていく方向でございまして、私どもとして窓口規制をすることは全く考えてございません。実際には、それぞれの法科大学院が切磋琢磨しながら、最終的には新司法試験を受けていただいて、より質の高い法曹養成のためにそれぞれが切磋琢磨しながら法曹養成に努めていただく、そういう制度設計を予定しているところでございます。

○鈴木 寛
 今、窓口規制はしないと、こういうことでございました。六十名がミニマムラインということでありますが、しかし、ミニマムラインでありますけれども、逆に言うと、やっぱり三百人のロースクールと六十人のロースクールでは、本当に一人当たりの学生に対する授業料の負担というのはこれはかなり変わってきてしまいます。でありますから、先ほどから奨学金の重要性ということを申し上げております。
 しかも、我々が大変懸念し、かつ重要にきちっと注目をしていかなければいけないのは、ロースクールがきちっと全国適正配置されていかなければいけない、要するに大都市圏だけにロースクールが集中してはいけないという課題もあります。これは正にこの委員会全員で共有し、かつ考えていかなきゃいけない問題だということであえて御発言申し上げたわけでありますが。そうすると、地方における法曹養成というのは本当にコストが掛かるわけですね。しかも、それが各学生にしわが寄ってしまうといいますか、負担が寄ってしまうという懸念がかなり心配をされるものですから、そのことについていろいろと御質問を申し上げているわけでございます。
 加えて、私立大学になりますと、これまたなかなか憲法上の問題がありまして、私学助成金を半分以上にするというのは、これまた一つの政策論として私は個人的にあっていいと思っておりますけれども、クリアしなければいけないいろいろな論点があると、こういうことになりますと、やはり奨学金というものを相当程度充実をさせていかなければならないということが今考え得るベターな選択肢ではないかなという認識だということであります。
 それで、このロースクールに絡んでということもありますし、それからそれ以外も含めてなんでありますが、今回の設置認可制度の見直しについて質問をさせていただきたいと思いますが、これも本会議で御質問をさせていただきましたけれども、今回、認可制から届出制に移行するということ、これ自体は私たちもその主張をしていた者の一人としてその御努力は多といたしますけれども、この範囲が、いわゆる授与する学位の種類、分野を変更しないなどという条件がございます。
 これ、一定の移行期間はこれでやむを得ないのかもしれないと思いますが、やはり最終的には、こうした問題というのは第三者評価機関と大学の自治に基本的にゆだねられるべきでありまして、文部省から手が離れていくということが、私はそれを望んでおります。より一層のこうした設置認可の規制緩和ということについてのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。

○政府参考人(工藤智規君)
 私ども、大学の設置認可しておりますのは、権益擁護とか、何かかさに掛かって何かをしようということでは決してございませんで、アメリカも含めて、およそ公教育制度の中に位置付けられている大学の在り方については、アメリカの場合は連邦政府よりは州政府でございますが、認可あるいは勅許状の交付など、何らかの国の関与、国あるいは州の関与がなされているわけでございます。私どもも、その大学の設置認可というのは、戦後、システムをどんどん弾力化してまいりましたけれども、基本的には日本の大学の水準を少なくとも一定水準以上確保し、できれば更に上を目指していただきたいという思いからなのでございます。
 今回、そうはいいましても、全体の規制改革の流れの中で、かつ大学の自主的なお取組を支援するために設置認可を弾力化していこうということにしているわけでございますが、こう言ってはなんでございますけれども、ややもすれば、ある程度の規制といいますか、仕組みを緩和するとやすきに付きがちな向きもないではないわけでございます。それがたまたま安易な大学作りをして日本全体の大学の評判を落とすとか足を引っ張ることがあってはならないわけでございますので、そのために事後的なチェック体制といいますか、国が評価するわけじゃございませんで、大学等の関係者で構成される評価機関がしっかり第三者評価していただいて、それでお互い自主的な向上を目指していただく、そういう制度設計をお願いしているところなんでございます。
 これが将来どうかという展望でございますが、本当に日本の大学評価というのが諸外国に比べて著しく立ち後れておりますので、これが円滑に定着し成熟した暁には、私ども、本当に事前の規制はどんどん緩めてアメリカ型の姿も想定したいなと思うんでございます。
 いずれにしても、これからの第三者評価あるいは大学の自主的なお取組いかんに懸かって、将来、私どももいろいろと見直してまいりたいと思っております。

○鈴木 寛
 現在、いろいろな認可手続というものが行われております。これが届出制になることによって大学側は具体的に、もちろん制度が届出制になることは有り難いわけでありますが、具体的にどれぐらい事務の煩雑さといいますか、というものが軽減をされるのかなということも非常に関心を持っておられまして、現状、どのような手続スキームあるいは認可についての、何といいますか、大学側が用意すべきいろいろな作業があるわけですね。それが届出になってどの程度軽減をされるのかということについて、少し実態に即してお話をいただければと思います。

○政府参考人(工藤智規君)
 これまでの設置認可の手続に当たりまして御申請いただく書類、基本は、要は一定の教育を行いたい、それに伴う、あるいはそれを具現化するに足りるようなカリキュラムが用意され、それを担当するにふさわしい方、教員が用意され、あるいは学生を受け入れて継続的に学校を運営できるような資産的な背景もお持ちになっているかどうか、そういうことを御審査、専門の方々に御審査いただいているわけでございます。
 私ども、窓口事務で担当者、いろいろ窓口で担当してございますが、決して窓口規制をしているわけじゃございませんで、大学の設置認可の仕組みは文部科学大臣の認可ということになってございますが、大臣を含め、私ども役人レベルで何かするということではなくて、関係の審議会でしっかり御議論いただく仕組みになってございます。
 そういう意味で、この認可行為というのは、行政学的にいえば自由裁量ではなくて覊束裁量といいますか、一定の要件に合致すれば認可され、駄目であれば不認可になるという仕組みの中でございます。したがいまして、これまでの認可事項を届出にしようということに伴いますと、届けに合致いたしますような学科、学部の設置については御自由に大学の御判断でおやりいただいて、あと、事後的にこんなのを作りましたよという、言わば、簡単に言えば紙切れ一枚でもいいわけでございますので、全体の国公私の状況を把握するために、私どもお届けいただくだけで済むということになるわけでございます。

○鈴木 寛
 今、紙切れ一枚でもいいというお話がありましたが、本当にそういうことになるのかどうか、今後、見守ってまいりたいと思いますので。
 それと、今、局長もお話しになりましたけれども、本当に事後の第三者評価あるいは大学評価というものをいかにきちっと作っていくかということにやっぱり懸かっているんだと思います。この点については、我々の同僚議員が後の質疑でまたいろいろ御質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 先ほども大学評価についての在り方についてはいろいろな質疑がございましたので、その方向を見守っていきたいと思いますが、最後に私が質問をさせていただきたいのは、今回、違法状態の大学に対する是正というものが新しい方向として盛り込まれております。このことは、昨今の様々な大学経営に関するいろいろな問題を踏まえて、今までのいわゆる行政によるそうした是正措置などを若干きめ細かくしていくということなんだろうと思いますが、これは前国会の最後の質疑でも私申し上げさせていただきましたが、これが大学の自治というものとの非常に微妙なバランスの上に成り立っている問題だというふうに思います。
 もちろん、健全な大学経営がなされる、大学運営がなされるということは、これはもう国民の皆さんすべての重要な関心事項でありますし、そのことを社会全体として上げていかなければいけないということは当然なわけでありますけれども、しかし、戦後、正に大学の自治についてはいろんな積み重ねがあるわけでありまして、そうした大学の自治、あるいは自主独立、独立自尊ということについて、やはり十分留意されたこれ運用がなされるということも大変重要なことだということもきちっと申し上げさせていただきたいというふうに思っておりまして、最後に、大学の自治をこれからもきちっと尊重し、確保していくんだということについての文部科学省の御見解、御決意を伺いたいと思います。

○副大臣(河村建夫君)
 鈴木委員御指摘のあった、大学の評価というものが大学の自治を侵す、侵害するようなものであってはならないと、私も重要な観点だというふうに理解をいたしておりまして、今回の認証評価制度においても、専門的な評価機関によって第三者評価を踏まえた大学自らの改善努力を求める、促進をするということが一番のねらいでございまして、そのために教育の内容に踏み込んでその大学の自治や学問の自由を侵すということのないように配慮しなければなりません。
 したがって、評価機関についても、国から独立したといいますか、今後、現実に今一つ大学をやっております学位授与機構評価機関も独法化をする方向で、もう既定の事実になっておりますが、その方向で進んでおるわけでございまして、そういうことを十分配慮して、公正かつ適確な評価ができるように、そして大学の自治を侵さないという前提に立ってやるということで進めてまいりたいというふうに思っております。

○鈴木 寛
 第三者評価制度との関係においては正にそういうことでやっていただきたいと思いますが、加えて、違法状態への是正措置についても。

○副大臣(河村建夫君)
 失礼しました。
 違法状態の大学に対する是正において、大学の自治を侵さないということもまたこれ大事なことでございまして、大学の質の向上については、それぞれの大学が自らの自発的な取組をしていただくということが基本線になっておるわけでございまして、今回の是正措置の導入におきましても、違法状態の大学をいきなり閉鎖ではなくて、大学の自主性とか自律性を踏まえながら段階的に緩やかな是正措置を設けて、その手順を踏んでやるということをいたしておるのもその表れでございますので、御理解をいただきたいと思います。

○鈴木 寛
 少しだけ時間が残りましたので、私は再度きちっと申し上げておきたいのは、今回、専門職大学院というものが導入されます。
 ややもすると、いわゆる高度な職業能力の付与付与ということが強調されますのであえて私は申し上げたいわけでありますが、実は本当に高度職業能力を付けるということは、実はその基礎とか基本というのをきちっとやるということが重要だということの論点がどうしても希薄になりつつあるんじゃないかなということであえて私はこの場をおかりして申し上げたいわけでありますが、これから、どういう職業でもそうですけれども、先端分野というのは、むしろ社会に出てから、あるいは専門職に就いてからどんどんどんどん出てくるわけですね。
 ですから、要するに大学で、大学院時代の先端技術を、あるいは先端、専門知識、専門能力を身に付けるということも重要なわけでありますが、将来そうしたものを、私はラーン・ハウツー・ラーンと言っていますが、学び方を学ぶということをやっておくということが私は実は専門職大学院において非常に重要視されるべきことではないかと思います。ですから、実は、基本的な法理論とか、法科大学院でいえば、あるいは基本的な法哲学とか、こういうことについてきちっと洞察ができている学生は、将来新しいものに直面したときもきちっとその構造を理解してその本質を理解しますから、新しいものの習熟が実は早いわけですね。
 でありますので、そういう意味で私は、大学院に、大学の中にこうした専門職大学院が置かれるということの意義を見いだしているわけであります。そういう意味では、先ほどの遠山大臣のその見解にも私はそういう観点から賛意を表すものでありますけれども、是非そうした観点できちっとこれからの大学設置認可、審査なども行っていただきたいなと。
 ということをなぜ申し上げるかといいますと、やや必修科目が多過ぎるという声が法学部長、いろいろな法学部の法学部長から聞こえております。もっと自由にやらせてほしいと。それで、その辺について何をどのようにカリキュラムを組んでいくかということは、現場で教えておられるそうした先生方、もう十分熟知されておられますし、それからそうした先生方も、実務等いろいろな特に最先端分野での研究あるいは実務協力ということもされていらっしゃるわけでありまして、そういう意味で、これは法科大学院に限りませんけれども、専門職専門職ということなので、詰め込み型、知識型の教育に走ることなく、専門職大学院であってもきちっとした学問的態度といいますか、そうしたことにも詰めた指導あるいは指針というものをお示しをいただきたいなということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。


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