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 文教科学委員会  国立学校設置法の一部改正案について〜

2003年04月15日 


○鈴木 寛
 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
 国立学校設置法の一部を改正する法律案について御質問を申し上げます。
 まず、この改正案でございますけれども、この改正案の審議が今国会でなされているわけでありますが、実は併せて今国会にはいわゆる国立大学法人法案というのも提出をされているわけであります。なぜ国立大学法人法案が今国会で提出されている、今国会にこの国立学校設置法の一部改正を、今回、十大学といいますか、の再編と統合というんでしょうか、ということと、それから医療短期大学のいわゆる四年制化と、こういうことが基本的にはその改正案の中身だというふうに理解しておりますけれども、せっかく新しい国立大学法人法案というものが今回審議されて、そして新しい国立大学の在り方というものをスタートしようと言っているときに、駆け込み的に、性急にこうした統合・再編をやるというのはどういう理由なのかなと。
 新しい体制でもって、そして今回も各大学の特に統合については自主性といいますか自律性を尊重してというお話でございますので、あえて、なぜ待てないのかということについてお尋ねをしたいと思います。

○国務大臣(遠山敦子君)
 これからの世紀、知の世紀と言われておりますが、国公私を通じた大学改革をどんどん進めなくてはいけないということで、今、各大学努力をしていただいているところでございますが、特に国立大学につきましては、社会の激しい変化にしっかりと対応して教育研究、充実をしてもらうということが大事であるわけでございます。そのようなことから、これまでも国立大学個々にそのまま存置をして護送船団的にこれからもということではなくて、統合のメリットというものがあるところについては統合・再編をしっかりやっていくということで、各大学もいろんな角度から取り組んできていただいているところでございます。
 もう既に平成十五年度から山梨大学、新山梨大学できましたし、また筑波大学も図書館情報大学と統合いたしまして新しくできたわけでございますが、そのような動きが各地で起きてまいっております。これは、個々の大学がこれから二十一世紀、生き延びるといいますか、更に活性化していくためにどうしたらいいかという角度から考えてくれておりまして、今回お願いしております二十の大学について十の大学になっていくということも、そうした検討の結果、各大学として納得のいく方向で統合・再編していくということでございます。
 国立大学法人化法の方はこれから御審議をいただくわけでございますが、これは国立大学全体としての仕組みといいますか枠組みを変えていくという話でございまして、別に駆け込みで十大学やるということではなくて、そういう新しい仕組みなりあるいは枠組みというものに変更しても、更に統合・再編ということが必要であれば個別の大学としてやってもらうという関係に立つわけでございます。
 その意味では、二つが並行的に、枠組みの法人化の話とそれから個々の大学のパワーアップの統合・再編ということが並行的に行われていくということによって当初のねらいを達成しようというものでございます。

○鈴木 寛
 国立大学の再編・統合というのが平成十三年の六月に方針を出されまして、それに基づいて進んでいるんだというふうに理解をしております。昨年のこの国会でも、今も大臣おっしゃられましたけれども、筑波大学と図書館情報大学の統合とか、あるいは山梨大学と山梨医科大学の統合が行われて、もう既に平成十四年の十月からそういう体制で進んでいるんだというふうに思います。
 先行するこの二つの事例に基づいて、この半年間、当初、昨年も議論いたしましたけれども、その統合の目的と、それから所期の目的どおりそうした再編・統合の効果といいますか実が上がっているのかどうか、その辺について少しお話をいただきたいと思います。

○政府参考人(遠藤純一郎君)
 昨年の十月に御指摘のように筑波大学、山梨大学が統合したわけでございますけれども、メリットとして、一つには教養教育の充実ということが挙げられております。この点に関しましては、統合によりまして教養教育科目の開設科目数が増えまして学生の科目選択の幅が拡大するとともに、新大学としての構想の下に新たに科目を開設するといったようなことで一層の充実に努めているということがあります。
 それから、学際領域の教育研究の充実を統合を生かして図っていくと、こういうことがございますが、筑波大学におきましては、図書館情報大学と両方の大学の教官が参画をいたしまして情報系の新しい分野といたしまして知的コミュニティ基盤研究センターと、こういうものを新設しまして、そこで教育研究分野の広がりを果たしているということがございます。
 それから、山梨大学におきましては、大学院の組織を、それぞれの工学研究科あるいは医学研究科といったようなものをやめまして、医学系大学院と工学系大学院を総合した新しい大学院組織を新設をしまして学際領域における教育研究がしやすいようにと、こういったようなことをしているということがございます。

○鈴木 寛
 今回の統合の特徴は医科を中心とします、地方の医科大学と地方の総合大学への統合ということなのかなというふうに理解をいたします。そういうものが多いなというふうに思っております。
 それで、ただ大学はそもそも単科大学で設立をしようと、その判断をした設立当初、あえていわゆる総合大学の医学部とせずに、例えば宮崎医科大なら宮崎医科大というように医科の単科大学というふうなことで設立をしたわけですね。なぜ、そもそも設立当初、総合大学の中の医学部新設とせずに単科大学というふうにしたのかという、そもそものその理由を教えていただきたいというふうに思います。

○政府参考人(遠藤純一郎君)
 医科大学について言いますと、昭和四十八年に医科大学のない県を解消するということを目的、目途に医科大学の整備を進めるということで閣議決定をされたわけでございまして、それを受けまして昭和四十八年から五十四年にかけて整備を行ったわけでございます。
 なぜ単科大学としたのかということでございますが、やはりまだ当時の大学については古い、言わば古い体質がそのまま残っておったということでございまして、新しい立場でのいろんな運営をしようというときに、やはりなかなかやりにくいということもございまして、例えば運営の組織でいいますと、今であればもう一般的になっておるんですけれども、当時、学外の有識者の意見を大学運営に直接反映させると、そういう仕組みで参与という制度を導入したわけでございますし、あるいはその運営をきちんとしようということで、学長を補佐する専任の副学長制を設けようと。まだ当時の大学ではとてもそんなものを受け入れられるような状況じゃなかったということがございまして、やはりそれは新しい大学として出発した方が、例えばそういう点についてもいいということもございますし、講座ということも考えましても、当時はまだ伝統的な一つ一つの古い小講座のシステムだったんですけれども、その講座をまとめた大講座といったようなものを導入しようとしてもなかなかそこは受け入れ難いということもございまして、そんなこんながありまして、ここは新しい単科大学、既存の大学にとらわれない新しい医科大、単科の医科大学で出発しようと、こういうことであったというふうに理解しております。

○鈴木 寛
 今回議案となっておりますそれぞれの大学が、設立当初新しい試みをやるには単科大学の方が良かったと。しかし、今日的にはそうした設立当初もくろんだメリットというのは、別に、統合化されても別にそれが減殺されるわけではないということはそれで理解をいたしますけれども。
 これ一般論といいますか、そもそも論としまして、何でもかんでも単科大学と総合大学というのはくっ付けたらいいというものではないと思うんですね。私は、単科大学は単科大学のいい点、悪い点、あるいは総合大学にはいい点、悪い点それぞれあって、やはり統合すべきものとそうでないものというふうに、あるというふうに考えております。
 その点について、文部科学省はそういう総合大学と単科大学の役割の在り方論といいますかについて、どういうふうな基本的なお考えを持っておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。

○副大臣(河村建夫君)
 鈴木委員も御指摘のように、これからそれぞれの大学、どのような形で個性を持って発展していけばいいかということ。それから、特に統合するような場合に、競争的環境の中でそれぞれの大学はうまくその個性が発揮、相まって発揮されるかどうか。それによって、要するに発展しなきゃ意味がないわけでございますから、そういう点でこれからの統合の在り方については、学際領域への展開が可能であるかどうかという検討、それから地域の貢献、社会貢献の機能が更に強化されるであろうかどうか、あるいは教養教育が充実されるかどうか、それから教育研究基盤が更に強化されるであろうか、このような研究、教育研究上のメリットというものを考えて、各大学の実情に応じて検討していただくということが非常に大事だろうと思います。
 したがって、委員御指摘のように、ともかくもう単科大学はやめて総合大学的にやっていけばいいんだということではなくて、それぞれの大学の特徴とかそれから地域の実情等もございますので、これを十分踏まえてその多様な可能性を検討していただいてやっていくということでございますので、現に今、特色を持ってやっておられる単科大学があるわけでございまして、そういうものは単科大学としてやっていっていただくということは当然でありますので、もう単科大学はやめて全部総合大学的にやっていくということではないということでございます。

○鈴木 寛
 私もそうだと思います。そういう観点で少しだけ私、今回のことに疑義を呈させていただきたいと思うんですが、九州芸工大なんですね。
 医科大学と、特に地方医科大学と地方大学の統合についてはある程度今のことで、いわゆる学際領域の問題とか、あるいは教養部を一緒にするとか、それからメリット、デメリットを見比べますとそれなりに評価できないわけでもないわけでありますが、芸工大というのは正に芸術と工学の学際という意味で、ある意味では学際、学際というののフロンティアとして大変にいい試みだったと思うんです。
 それで、しかしそれが正に今回九州大学に統合されるということですから、そうすると、これは何、芸術と工があって更に何とこれ、どう学際領域をねらっておるのかということと、それから国立大学をつらつら見てみますと、いわゆる芸術大学というのは二つしかないんですよね。東京芸大とそれから九州芸工大二つなんですよね。もちろんあと公立では幾つか、もちろん私立も幾つかありますけれども。
 そうすると、日本でもって二つしかなかった芸術系大学が東京芸大だけになってしまうということは、その非常に多様で豊かな大学、高等教育行政、しかもそのことは、昨年は文化芸術基本法というのもできましたけれども、日本が芸術というものを意識して、しかもそれをちゃんと高等教育のフィールドで充実をしていくんだと。そういう流れからしますと、九州、もちろんその名称の問題かもしれませんけれども、しかしその九州芸工大という非常に極めて画期的な取組で先見的な取組だったと思いますが、そしてやっぱり芸術と工というところで非常に僕は特色のあるいい単科大学だというふうに思っていたわけでありますけれども、そうしたもろもろの観点から、再度、この九州芸工大を九大に統合することが本当に望ましいんだろうかどうなのかということを私はもう少し多角的に評価をする必要があるんではないかというふうに思っておりますが、その点はいかがでしょうか。

○政府参考人(遠藤純一郎君)
 九州芸術工科大学でございますけれども、昭和四十三年に設置されたわけでございます。その背景といたしましては、それまで我が国では芸術と工学の融合分野、これを対象とする学部が存在していなかったと、こういうこと、あるいは高次のデザイン教育を受けた人材養成と、こういった声がございまして新しく設けられたわけでございます。
 今回、九大と統合したいと、こういうことで大学の方からそういう申出があったわけでございますけれども、これはやはりいろんな恐らく検討の過程でメリットが、こういうメリットがあるだろうということで検討がなされたんだろうと思います。
 教養教育ということについて言えば、それはもう九大のような大きな総合大学、入ることによりまして学生の選択の幅が飛躍的に増えるということも一つございますでしょうし、あるいは教育研究の融合ということでいいますと、例えば音響、映像などに関する芸術的な感性と医療といったようなものを結び付けて多様なシステムができないか、それをやってみようじゃないかといったようなこともいろいろ検討されたというふうに聞いておりますけれども、そんなようなことでいろいろ検討された結果踏み切ったというふうに私どもは理解しております。

○鈴木 寛
 国立学校設置法の改正案が国会で審議をされるのは今年が最後になると思いますんですね。今後は国立大学法人法、法案の下での統合と再編と、こういうことになるんだと思いますけれども、もちろんこれからはより大学の自主的判断というものが尊重されることになろうかと思いますけれども、しかし我々文教科学委員会、あるいは文部科学省という日本の大学行政を、企画は引き続きされていくわけでしょうから、単科大学にはいい大学一杯あると思います。例えば、教育に特化した単科大学とか、あるいは芸術工科ということは日本の、この法案が可決をされてしまったならば、芸術工科大学という非常にいいコンセプトは日本の大学の名前から消えてしまうという残念なことがありますが、それ以外にも例えば豊橋とか長岡とか技術科学大学、これもある意味で日本のRアンドD、特に基礎部分と応用部門を非常にうまくつないでいくという意味で非常に重要な役割を果たしてきていると思います。
 そういう意味で、何でもかんでもとにかく単科大学を統合してというようなことではなくて、やはり単科大学と総合大学、先ほど副大臣から基本的な方針は示されまして、あの方針についてきちっと具体論の中でよりそのことを意識的にやっていただいたら、いただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。
 特にやっぱり、九州芸工大に先ほどからこだわっておりますけれども、例えば今、九州国立博物館が作られようとしているわけですね。だから、九州という地区は、今、岩本委員もお見えでございますが、やはりそういった芸術とか歴史的に、正に日本の文化の非常にいろんな意味での重要な役割を担ってきた地域でありますし、その歴史と伝統を踏まえて更に地域の特色を出していく、そういう議論の中で九州芸工大も作られたんだと思いますし、それから国立の博物館を四つ目をあえて九州に作っていくというのはそういういろんな地域的な特徴があるんだと思います。
 そういう意味で、是非、今日の議論も踏まえながら今後の再編・統合政策というものを進めていただきたいということを強くお願いを申し上げたいと思います。
 それで次に、先ほど来副大臣あるいは局長の御答弁の中で、今回の統合のメリット、学際領域あるいは教養部の充実と、こういう御答弁は聞かれるわけでありますけれども、私は、見逃してはならないといいますか非常に重要視しなければいけないと思いますのは、やはり大学の地域への貢献だということだと思います。
 そういうことで、昨年の国会でも参議院の文教科学委員会の附帯決議で、きちっと「地域の意見が再編・統合に反映されるよう努めること。」という附帯決議を付けておると思いますが、今回地方大学に係る案件が非常に多いわけでありますけれども、関係の地方公共団体との協議というのはどの程度行われているんでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。

○政府参考人(遠藤純一郎君)
 御指摘のように、再編・統合に当たりましては、それぞれの大学の特徴や地域の実情等に応じまして、個性と特色ある大学作りを目指すということが大事でございますし、また大学が知的文化的拠点として地域貢献の機能を一層強化するという視点も重要だというふうに考えておる次第でございます。
 これを踏まえまして、各大学では例えばその運営諮問会議の場、ここには地域の各方面のいろんな有力な方々が入っていらっしゃるわけでございますけれども、そういう地域関係者の意見を聴き、そしてまた必要に応じて地方自治体の当局あるいはその地元関係団体とも意思疎通を図って、そして統合という決断をしたというふうに理解しておるわけでございます。

○鈴木 寛
 地域関係者の中には今御質問を申し上げました地方公共団体も当然に含まれるわけでありますが、更に今回の事案を見ますと、医科大学の統合が非常に多いわけであります。正に医科大学がこのように設置、各県に要するに無医県をなくす、すべての都道府県に医科大学を作っていくと、そういう観点から作られた大学の統合という問題がここの今回の事案に多く含まれているわけでありますが、正にその地域で唯一の高度医療の、医療とそして教育と研究と、これを一体として担っていくという意味で、本当に地域の医療関係者にとっては極めて重要な拠点が今回統合対象となっている医科大学というふうに理解をいたしております。
 そういう意味で、今までであれば、例えば地域の医療でいろんな問題が起こったときに、地域の医療関係者が医科大の学長のところに飛んでいって、この問題をどうしましょう、ああしましょうと、こういうことを非常にスピーディーに、迅速にいろんなことを決めていったと。最近はいろいろな感染症といいますか、伝染系のいろいろな問題が地域、局地的に発生をするという事案もいろいろあるわけですね。
 そういったときに、地域の医療関係者とその医科大の学長で、じゃ、ばっとやってばっと対応するというようなことが今までできたわけでありますけれども、これがその大学が統合ということになりますと、そういう意味でのなかなか機動的な対応というものが本当に引き続きできるのかどうかというような不安などいろいろ懸念をされるわけでありますが、特に今申し上げました地域の医師会などの医療関係者あるいは医療関係機関の意見というのは、今回十分に聴取され反映をされているんでしょうか。

○政府参考人(遠藤純一郎君)
 御指摘のように、医科大学は地域の医療の拠点ということで大きな役割を果たしているわけでございます。そういった意味でも、医科大学の運営諮問会議の委員にほぼ例外なく地元の県の医師会長さんが入っていらっしゃるというのが通例でございますので、そういう方の御意見を当然聴きますし、聴いておりますし、地域の病院の方々の意見も聴いていると、こういうふうに聞いております。

○鈴木 寛
 今の点は、統合がなされた後もやはり地域において、特に今回の対象となっている地域においての統合される医科大学の役割というのは極めて重要でありますから、その統合後も地域医療に何ら支障がないように、是非、再度指導なり確認をお願いをしたというふうに思っております。
 それから、地域と大学、大学の地域貢献という観点で申し上げますと、今、自治体そして関係機関と、こういう議論をさせていただいたわけでありますが、正に地域住民の皆様方に対する地域貢献というのは非常に重要なポイントだというふうに思います。
 政府も、平成十三年の六月の十一日に、大学を起点とする日本経済活性化の構造改革プランとか、あるいは平成十四年の一月に高等教育局、文部科学省の高等教育局が国立大学の構造改革の方針についてという方針を出されて、地域貢献、社会貢献の機能強化ということは自らうたっておられるわけであります。
 特に、その中で、社会人のキャリアアップという用語といいますか項目がその両方に出てまいりまして、特に六月、平成十三年六月十一日の政府の方針の中では社会人キャリアアップ百万人計画の推進ということがうたわれているわけでございますけれども、この社会人キャリアアップ、是非これをやっていかなきゃいけないと思いますが、その後、平成十三年以後、この計画が今現在どのように進捗をしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○政府参考人(遠藤純一郎君)
 平成十三年六月に社会人キャリアアップ百万人計画、これを出したわけでございます。
 これは、有効な施策を講じることによりまして、学習機会の拡大、学習環境の整備を図って、大学、短大、専修学校への社会人受入れを五年間で三倍程度の百万人規模に拡充しようと、こういう計画であるわけでございます。
 具体的には、一つには、施策でございますが、一つには地上波、衛星による放送通信等多様なメディアによる遠隔授業、e―ユニバーシティーとこう言っておりますが、これの推進、それから二番目にはコミュニティーカレッジの機能強化、三番目にはサテライトキャンパスの整備、四番目には社会人向けの短期集中プログラムの整備等と、こういったような施策を講じると、こういう計画であるわけでございます。
 それで、進捗状況でございますけれども、最初のメディアによる遠隔授業の推進という点に関しましては、平成十四年度に放送大学に大学院を新しく開設をいたしまして、新たにその修士全科生、全部の課程をやるという人ですが、五百人、それから科目履修生でございますけれども、一万人、これを受け入れるということになったわけでございます。それから、平成十五年度には通信制によります大学院が二つ新しく設置をされたと、こういうことで、通信制の大学院、全部で十六大学院に拡充されたということがございます。
 それから、コミュニティーカレッジ機能の強化という点でございますけれども、これについては、例えば労働者の能力開発を支援いたします教育訓練給付制度、大学でこれをやっているわけでございますけれども、その指定講座の数が二百三十講座前年度から増えまして、言わば倍以上になったわけでございますけれども、トータルとして三百三十四講座に拡大をしたということがございます。
 それから、パートタイム学生、パートタイム学生としての通常の修業年限を超えて在籍しながら学位の取得が可能となる長期履修学生、これもおかげさまで制度化ができたということがございます。
 それから、サテライトキャンパスの整備でございますが、平成十四年度中に新たに九大学に設置されまして、合計で五十七大学に拡大されたということがございます。
 それから、社会人向けの短期集中プログラムの整備ということに関しましては、産業構造の変化に対応して社会人をバックアップする学習環境を一層充実させると、こういうことで大学の公開講座における法律や管理、財務など専門職業的講座数が大幅に拡大をしているということでございまして、数字で申し上げますと、平成十年度に二千二百講座でございましたものが十三年度では三千四百講座、約三千四百講座に拡充をしていると、こういう状況でございます。

○鈴木 寛
 今、全体の構造についてはお話をいただきましてありがとうございました。
 今回の統合によって、結局いろいろな意味で効率化、合理化されるということだと思います。それは単に縮小均衡ではいけないわけでありまして、そこで出てきたいろいろな資源の余力というものを、私は今お話のあった社会人向けの公開講座とかあるいは短期集中講座とかあるいはコミュニティーカレッジに対する大学教員の派遣とか、いろんな形で当該地域の社会人キャリアアップに地方大学がより積極的に貢献していく、そのための私は統合・再編であるべきだというふうに思いますが、今回具体的に統合される大学において、なるほど統合・再編をしたら地域の社会人教育にこのような具体的なプラスの面があったということが言えるのかどうか、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。

○政府参考人(遠藤純一郎君)
 まず、今回統合対象となった大学についての現状でございますけれども、例えば法律や管理、財務など専門職業的な公開講座、これにつきましては十三大学、四十四講座で開設をしておりますし、それから教育訓練給付制度の対象となるコースを開設しているのが二大学でございます。これが現状でございます。
 これから統合ということになるわけでございますけれども、それぞれの大学におきましては、統合による人的資源を有効に活用しまして、科目選択の幅の拡大や学際的、総合的な講座の開設など社会人キャリアアップのための施策をより一層充実させる、そういう基盤ができたんじゃないかと、これからでございますので、恐らくそういうことで拡大をしていくんだろうと、こう思っております。
 一つの例でございますけれども、神戸大学と神戸商船大学におきましては、両大学の既存の組織を再編しまして新たに連携創造センターと、こういう組織を設けることにしておりますが、そこでは社会人に対する高度な技術研修あるいは高校教員に対する研修といったようなことをするということにしておるというような例もございます。

○鈴木 寛
 今お話がありました神戸大学の公開講座は私も講師をしていたことがありますが、是非、神戸大学に限らず、今回統合がありました大学についてはそういう基盤ができたという御答弁でしたので、これから積極的に地域の社会人キャリアアップのための取組というものを是非文部科学省からも促していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
 引き続きこの社会人のキャリアアップのことについての質疑を続けさせていただきたいと思いますが、現在、そもそも社会人大学生、私はこれはどんどん増えていってもらいたいと思いますし、その学習環境の整備あるいは学習機会の拡充のために私は施策を充実させていくべきだというふうに思っておりますけれども、今どれぐらいの社会人大学生が全国で学び、そして奨学金を受けているのか、その実績と、それがこのところ拡充をされているのかどうかと、そういった推移といいますかについて教えていただければと思います。

○政府参考人(遠藤純一郎君)
 大学あるいは大学院にどれだけ社会人がいるかという点でございますけれども、実は社会人というカテゴリーで調査をしていないということがございまして、きちんとした数字が学部については持ってないというのが実情でございます。ただ、大学院につきましては、平成十二年度から指定統計、学校基本調査で社会人入学者数というのをカテゴリーを新しく設けまして調査をしているということがございます。それで、これでいいますと、平成十三年度でございますが、修士課程に社会人が一万八千百二十二人、それから博士課程で一万一千百十五人と、こういう数字がございます。
 それから、奨学金の件でございますけれども、実はこれも社会人学生その他ということで分けておりませんで、一般の学生と同様の採用条件、奨学金の額、返済条件と、こういうことで行って支援をしているというのが実情でございます。したがいまして、どれが社会人でどうだというのはありませんけれども、例えば、これも参考になる数字かと思いますが、三十五歳以上の方で奨学金をもらっていらっしゃるという方は恐らく何か職を持って学んでいるんじゃないかというふうに理解できるわけでございますけれども、この数が、日本育英会の奨学金を受けている三十五歳以上の人の数という、こういうことでございますが、平成十年度では三百六十一人でございましたけれども、平成十三年度では七百九十四人と倍以上の数になっていると、こういう実情がございます。

○鈴木 寛
 私はこの際是非お願いといいますか御提案をさせていただきますのは、確かに定義は難しいと思うんですけれども、正にこれから生涯学習社会で、特に産業構造、社会構造の変化の中で高等教育というものをずっと社会に入っても不断に受け続けていかなければいけないという時代に入ってきているんだと思います。そういう中で是非、まずきちっと実態把握といいますか、社会人がどれぐらい大学で学んでいるのか、あるいは大学院で学んでいるのか、そしてその人たちがどういうふうな、何といいますか、課題を抱えながら勉学にいそしんでおられるのかということについてのやっぱり現状と実態の把握、そしてそこにきちっとフォーカス、ターゲットを当てた施策の充実、それをやっていくためにはまずそこの現状が把握されていないと施策というのは立てられないわけでありますから、その点について、そういう切り口でやはり社会人キャリアアップ、そして大学がその中心を担っていくんだという意味での施策の再構築あるいは実態の把握ということについてはこの際きちっと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 そして、今、社会人向けの奨学制度、これもそうした区分では対応しておられないと、こういうお話でございましたけれども、やはり社会人が勉強できるかどうかというのは、これはもう本当に奨学金というのが死生を制するといいますか、本当にこれがあるとないとではもう全然、一般の大学生に比べて社会人学生にとっての奨学金の有無あるいはその手厚さといいますか、これは本当に大事だというふうに思います。
 それで、私は、この社会人向けの奨学制度の充実を是非ともお願いをしたいし、この全委員の皆様方にもその重要性をよく理解していただきたいわけでありますが、来年度、予算が通ったばかりで来年度要求の話をするのは早いのかもしれませんけれども、しかし、もう実は七月ぐらいまでにはきちっと大きな方向を出さなきゃいけないのであえて御質問申し上げるわけでありますが、昨年の臨時国会で学校教育法を改正をして専門職大学院制度というのを法定をしたわけですね。この専門職大学院制度というものは、恐らくそこで学ばれる方々というのはある意味でかなり、社会人の定義にもよりますけれども、相当、ここで申し上げているのは、いわゆる保護者などあるいは親御さんなどのいわゆる学費を支援してくれる人がいないで、要するに自分で学費を調達をし、その間の生活費を調達をし、更には家計全体を支えると、そういう家計を自分で維持しなければいけない人が、しかも高等教育機関で学んでいく、そういう人たちを支援をすると、そういうことの文脈で社会人というようなことを言っているわけでありますけれども、この専門職大学院は恐らく今私が申し上げたようなカテゴリーの方が中心として通われる大学院だというふうに想定をしていいんではないかというふうに思っております。
 そういう意味で、もちろん奨学金全般についての充実、拡充というものは当然なわけでありますけれども、とりわけ、せっかく専門職大学院という制度ができたわけでありますから、ここを突破口として、別にこれで十分だとは言いませんけれども、まず突破口として専門職大学院に通う社会人向けあるいは専門職大学院生向けの奨学金の充実ということについて、これは早急に議論を煮詰め、そして来年度の予算要求に方針を出し、そしてより多くの社会の理解というものを得ていかなきゃいけない。実は、この半年間が非常に大きな勝負の時期だ、正念場の時期だというふうに思っております。
 とりわけ、さきの臨時国会でも議論しましたけれども、ロースクール、ビジネススクールでもそうだと思いますけれども、専門職大学院は特に学費が高いということが想定をされるわけですね。それだけ充実した教育をするから当然なわけでありますが。そういう意味で、ロースクールを始めとする専門職大学院における奨学金の特枠化とか、あるいは給付額、貸与額の増額とか、あるいはその対象者の枠を拡大をする、希望者全員奨学金というものを少なくともこの専門職大学院からは実現をしていってはいいのではないかと。
 それから更に申し上げますと、教育ローンについても保証人の問題というものがいろいろ議論になっております。そういう意味での政府保証ローンなどの、いろいろな検討課題がありますが、その点についての、来年度のこれは大変に重要な政策課題でございますので、検討状況とその取組の姿勢について御答弁をいただきたいと思います。

○政府参考人(遠藤純一郎君)
 私ども全く同じ問題意識を持っておりまして、この点についてはやはりきちんとしていかなくちゃいけないと、こう思っておる次第でございます。
 国公私立大学を通じまして専門職大学院、法科大学院といったような学生に対しましては、経済的理由によって学ぶ機会が失われることのないよう授業料負担軽減、その他いろんな支援策が必要と認識しておりまして、今後、我が省といたしましても、奨学金の充実に努めるなど、関係機関とも相談しながら各種ローンの充実など多元的な検討が必要だと、こう考えております。
 法科大学院は平成十六年四月の発足でありますから、夏の概算要求時点までそういったような支援の充実策を検討していきたいと、こう考えております。

○鈴木 寛
 今日は、大臣、副大臣もお見えでございますので、シーリングの議論なども恐らく来年度予算編成についてはいろんな御議論があろうと思いますけれども、その際に、やはりこの奨学金の充実問題、とりわけ社会人の学ぶ実質的な機会と環境の拡充ということについては是非降りずに頑張っていただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。
 次に、私は、今回の対象となっておりますのもかなり地方大学が多いと思います。私は、この地方大学問題というのは早晩大変に深刻かつ重大な問題になるんだろうというふうな認識をいたしております。
 と申しますのも、少子高齢化の中で特に地域における大学の定員の確保、あるいは、そもそも地方において大学運営というのは大変に財政的な面で厳しいという、もちろん都市圏においてもそうでありますが、とりわけそのことの兆候といいますか、そのことの社会環境の変化による大学経営の厳しさというものが現れてくるのは地方からだというふうに思っております。
 そういう意味で、地方の国立大学、そして地方の公立大学のことについて御議論をさせていただきたいと思っておりますが、これいずれも、特に国立大学法人化した後の地方国立大学というものは、もちろん文部科学省からの交付金あるいは文部科学省からのいろんな支援ということは基軸としつつも、やはり地方公共団体がかなり自分の県の、我が県の大学なんだと、こういう意識でもってより支援をしていくということがとっても必要になるんではないかと思います。
 河村副大臣の御地元でもあります、私も以前勤務をいたしておりました山口大学、これは国立大学でありますけれども、正に山口県の大学と思って、山口県庁あるいは山口県の御出身の先生方は思っておられると思いますし、そして山口大学工学部が、工学部だけではありませんが、その地域の特に産業界に与える影響というのは極めて大きい、またそういうことを県庁としても模索をしてまいりました。それから、やはり山口大学医学部が山口県民の地域医療に果たす役割というのはもういろんな意味で計り知れないわけですね。
 そういう意味で、地方の国立大学をより充実をさせたものにしていく、例えばテクノポリス構想とか頭脳立地構想も大学の存在というものをその指定要件にもしているということで、いろんな意味で地域と大学というのはこれは切っても切れない仲にある。そうすると、国立だからといって、あるいは県立だからといってというもう境はないんだと思います。恐らく各県、これから地域の時代でありますけれども、地域の、知事選も終わったばっかりでありますが、当然に地方行政の根幹に、これは産業政策であれ、医療政策であれ、もちろん教育政策であれ、すべてのコアにその地域に存在する地方の国立大学と、そして山口県でも山口県立大学というのがありますから、地方の公立大学と、これをいかに有機的に連携をさせていくかということがとっても重要な課題になっていくんだというふうに思います。
 そのときに、私が思いますのは、これはある意味しようがないんでしょうが、国立大学と県立大学というその設置者が違うことによってなかなか大学間の連携というのがうまくいかないわけですね。いろいろ障害がございます。そういう意味で、まず基本論として、更なる国立大学と公立大学、特に地方における連携・統合ということが望ましいというふうに私は思いますが、その点についてのまず基本的な考え方を文部科学省からお教えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○副大臣(河村建夫君)
 鈴木委員も山口県にお勤めになっておりましたから地方の実情にお詳しいんで、今御指摘のとおりで、各県、国立大学とそれから県立大学を持っている県はたくさんあるわけでございますが、それぞれ個性を生かしながら頑張っておるわけでございますけれども、今後、更にそれぞれの大学がこれからの地域の発展にとって一つの大きな核になるということ、これが非常に必要なことでございます。
 そういう意味で、基本的には、これはそれぞれの国立大学、公立大学、特に公立大学については設置目的、特に地域社会の要請というのがあって県立でという形でできておりますから、それぞれの役割が期待をされておるわけでございますが、既に連携については、単位を互換をするとか、あるいは、これは私学も含んででございますが、その県全体で一つの学生の交流事業であるとか、もちろんコンソーシアムを組んで、一つの枠組みを組んでいきながら共同研究をやるとか、産学官連携ですね。特に、知的クラスター等々においては特に重要でございますが、そのような連携をいたしておりますので、これを更に進めてまいりたいと、このように考えておりますし、御案内のように今度国立大学が法人化するということによってそれが更にやりやすくなるという面もあろうと思いますね。
 そういう意味で、これは設置目的等も違いますから一足飛びになかなか、統合ということになるといろんな問題が出てくるんではないかと思いますが、思いますが、これはうまく、両方がうまく連携し合ってその地域の発展の核になるように更に文部科学省としてもその取組を進めてまいりたいと、このように思っております。

○鈴木 寛
 今、副大臣お話しのとおり、国立大学法人法、私は、いろんな問題点もはらんでおりますけれども、法人化をし、国立大学の自主・自律的な運営がなされるということについては私は重要なことだというふうに思っております。
 そういう観点で見ますと、実は地方の公立大学の議論というのが若干国政レベルで抜け落ちているんではないかなということが非常に懸念をされます。先ほど、今、副大臣にも御答弁いただきましたように、地方においては、本当に公立と国立がどう有機的に連携するかということ、それから公立もいろんな意味での連携を可能にする組織改革といいますか、制度改革というのは私は必要だと思います。例えば、単位の互換というのはある程度今のフレームワークでもできるんだと思いますけれども、共同研究を本格的に進めようと思った場合は、公立大学の教員の身分をどうするのかという問題、これ非常に重要になってまいります。
 私も、高知県の高知工科大学というのがあります。これは県主導で作られたにもかかわらず、あえて学校法人というフレームワークを取ったわけですね。で、橋本大二郎知事がやられたときに、私もそのことについてのいろいろな経過に少しお手伝いもさせていただいたわけでありますけれども、そのときの議論は、やっぱり公立大学というのは非常にいろんなことをやりにくい、よって知事を理事長とする私立大学を高知の場合は作ったわけであります。例えば高知なんかは、江本委員もいらっしゃいますけれども、高知は、結局今回、高知医科大と高知大学と、国立の方は統合するわけであります。しかし、もう一つ言えば、工科大もあるわけですから、じゃ高知工科大と旧高知大と高知医科大と、これは三つはうまく連携した方が絶対高知県のためにいいわけであります。しかしながら、高知の場合は学校法人ですからある程度、今、副大臣がおっしゃったメニューやりやすいんだと思いますが、これが通常の場合は公立大学ですから、そうすると人事の面あるいは会計の面あるいは財務の面、いろいろな障害があるというふうに思います。
 それから、静岡の場合も、いわゆる浜松医科大の方の医科大と静岡市にある静岡大の統合・再編の話が進んでおりますけれども、実は静岡県立大と静岡大学と、これ地域、地域的にも、あるいは人的交流の面からでも統合・再編のメリットあるものは一杯あるわけですね。しかし、こうしたところが、公立大学の組織論についての議論がまだ十分でない、あるいは問題意識がなかなかまだ社会に共有されていないということの結果、私は再編・統合それ自体はいいこともかなりあると思います、もちろん問題点もあります、今日の前半に指摘させていただいた。しかし、より望ましい再編・統合をするということは、ユーザーサイドあるいは産業サイドあるいは学ぶ者のサイドから立って見た場合には、最もうまく機能するような連携・統合が必要なんだと思います。
 そういう観点で、地方公立大学の組織の在り方、運営の在り方、この議論について今どういう議論がなされていて、どういう課題があって、どういうふうにその問題に取り組まれようとされているのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。

○政府参考人(遠藤純一郎君)
 御指摘のように、国立大学については法人化の法案を提出させていただいているという状況でございます。
 公立大学についてもどうかと、こういうことでございますけれども、今、実は総務省が中心となりまして、昨年八月に地方の独立行政法人制度の導入に関する研究会の報告書というものが出まして、そこで地方における地方独立行政法人、その中で公立大学の法人化についても触れられておりまして、そこでは、国立大学法人の法制化の検討状況を踏まえつつ、教育研究機関たる大学の性格に応じて必要な特例等を設ける必要があると、そういうことで、その中に組み込んだ議論がされておったわけでございますけれども、今、この報告書の内容を踏まえまして今通常国会にそういったような法案を提出をするという方向で制度設計が進められておりまして、その中で公立大学につきましても法人化の対象となり得る事業の一つということで想定されていると、こう承知をしております。
 そして、先ほどの研究会の報告にもございましたけれども、国立大学の法人化における具体的な制度設計を踏まえながら、大学の教育研究の特性を踏まえた特例措置といったような点も組み込んで検討が進められていると、こう承知をしております。

○鈴木 寛
 現実はそういうことなんだろうと思いますが、私は文教科学委員会としては余り気に入らないわけですね。それは何が気に入らないかといいますと、大学の今、法人化という議論が起こっております。これは国立大学法人法のときにきちっとやらさせていただきますが、独法の議論があって国立大学の法人化の議論を始めたのかという疑義があるわけですね。それはその法案の議論のときにさせていただきますけれども。それは恐らく私は違うんだろうと。要するに、文部科学省は日本の大学を何とかいいものにしていきたい、そういう発想の下にいろいろな法人化の議論、あるいは大学のユニバーシティーガバナンスと私たちは呼んでいますが、そこを何とかしていこう、こういう発想で進められたんだというふうに信じたいと思っているわけでありますが、そうなれば当然公立大学も入るわけであります。
 今の御答弁を聞いていますと、文部省は余り議論していないと。しかし、総務省かどこかの方で地方の独立行政法人化の議論の中で、その中で公立大学の議論もしますと、こういうふうに私には聞こえてしまうわけでありまして、やはり文部省は文部省として公立大学も含めたきちっとユニバーシティーガバナンスをどのように確立をしていくのか、あるいはそれを開かれた大学にして、特に地域社会との連携という観点からどういうふうに持っていったらいいのかということについてやはり主導的にビジョンを立て、そしてそのための政策運営を進めていっていただきたいということをやはり指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 さらに、この地方大学の問題を突き詰めていきますと、今は国立大学そして公立大学の話がありましたが、一番経営状況が厳しいのは地方の私立の大学でございまして、これも河村副大臣よく御存じだと思いますが、そういうことでいいますと、やはりこの私立と公立と国立と、この役割分担あるいはその有機的連携、さらには、そこに対して、私学とて私学助成金は税金が投入されているわけであります。公立に対しても国費もわずかでありますが投入される、もちろん地方税、地方の税金はですね。いずれにしても県民、国民の税金は私立も公立も国立も大変に投入をされている。そのことはいいことだと思いますし、そのことを更に拡充をしていかなければいけない。コンクリートから人づくりに我々の税金を使っていくというのが知の時代の私は税金の使い道の在り方だというふうに思っております。
 そういう意味で、やはりきちっとその国公私の役割分担、これは考え方は、もう全部それは一律で学校法人という形にして、その設置者による違いは付けない、しかしながらいろいろな教育研究というそれぞれの政策を充実する上で新しい再編の在り方があると。いろんな御議論があろうかと思いますが、いずれにしても、私はもっと主体的にその知の時代の主役である大学、そして日本の非常に特徴的であります私立と公立とそして国立が併存する、そしていろんな歴史的な経緯もあります、それからその分布も諸外国とはかなり違っているわけであります。その点について是非広範な、人事面あるいは運営面、財政面の、そして大学の自治ということも大変に重要であります、について、文部科学省の大学行政についての取組と今後の検討の姿勢について御答弁をいただきたいというふうに思います。

○国務大臣(遠山敦子君)
 日本の高等教育は、国立、公立、私立の異なった設置形態を持つ大学がそれぞれの役割、機能を果たしてこれまできたということで、諸外国とはちょっと違う、しかしなかなかユニークな大学制度だと思います。
 大学というのは、やはり知の集積体でもございますし、それなりの歴史的経緯、それからそれぞれが果たしている役割、機能というものが設置目的に照らして十分に発揮されているということが大事ではないかと思います。国立、公立、私立のそれぞれの設置の特徴といいますか、設置形態による機能の違いということをここで長々と述べるということはむしろ委員も御存じのとおりでございますので省略をいたしますが、しかしこれからを考えますときに、やはりそういったそれぞれの設置形態を更に、設置形態を前提としながら、更にそれぞれが発展していってもらうというのが大変大事だと思っております。
 その意味で、こういう国立大学の法人化あるいは再編・統合というものを踏まえた上で、全体としてどういう日本の高等教育があったらいいのかという、言わばグランドデザインと申しますか、そういったものを今、中央教育審議会にお願いをいたしまして、きちっとした形で御議論いただこうと思っております。ただそれぞれの経緯があってというだけではなくて、グランドデザインという角度からしっかりと御議論をいただいて、私どもとしてもそれに対応するいろんな支援の在り方というものを考えてまいりたいと思っているところでございます。


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