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 文教科学委員会  知的財産権に関して

2004年04月15日 


○鈴木 寛

 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
 本日は、三人の参考人の方、本当にお忙しいところをありがとうございました。
 今回、正に知的財産、特に日本のコンテンツの極めて重要な要素を占めますコミックそしてレコード、CDのことについて、広範な観点から知的財産権に関する調査をさせていただきまして、三人の御参考人から、極めて、知的財産権の法律の持つ本質的な意味合いをきちっと理解した上での適切な運営についての方針がそれぞれの立場から述べていただきましたことは大変に多としたいと思います。
 私たちも、先ほど若松参考人からお話がございました今回の還流防止措置、そして書籍、雑誌に関する貸与権の、何といいますか、運用開始ということについての御見解、すなわち、趣旨は理解をできるけれども消費者の不利益にならないような措置をしてほしいと。
 恐らく、これは弘兼参考人も依田参考人も同じ思いだというふうに認識をさせていただいております。すなわち、消費者あっての作家でありますし、また作家あっての消費者でありますので、これは正に、コラボレーションという言葉がございますが、双方が双方の存在というものを尊重して、そしてお互いによりよい解を探っていくと、その仲立ちに今日のお三方がお立ちいただいているという意味で大変に大事なお仕事をしていただいているというふうに思います。
 その観点から、まず還流防止措置についてお話を伺いたいと思いますが、もう既に今日の陳述の中で、先ほど若松参考人からも、立法過程の中でこの法律ができた際に、いわゆる消費者の不利益にならないような運用がなされないことをきちっと立法府としても確認をしてほしいという御要望がございました。
 正に今日の場は国会でございまして、正に、さらに文教科学委員会でございます。日本国続く限り今日の議事録は永遠に残るわけでありますが、その席で依田会長から先ほど、いわゆる輸入盤をめぐる法運用の在り方について明確に五大メジャーの意向が示されたと。今までもいろいろな席での情報表明はございましたけれども、国会というフォーマルな場でそのことが再度確認をされたということは、是非私としては意味のある、極めて意味のあることではないかなというふうに思っております。
 そして、その上で依田参考人にお伺いをしたいわけでありますが、仮に今日は国会でのこういうことが御紹介をされたわけで、そのこと自体極めて重いことでありますが、仮にこの五大メジャーのこうした表明が履行をされないという事態は、それは全くあり得ないということではないと思います。
 その場合には、先ほど来、阿南先生もお話がございましたが、知的財産権法で認められた権利であっても、その権利行使の在り方、態様いかんによってはいわゆる競争法制、独禁法を始めとする競争法制に違反をする、あるいは違反の懸念があるということは当然にあるわけでございまして、でありますから、今回の立法、還流防止措置を立法化をするということによっても、当然にその権利の行使あるいは濫用の場合には独禁法上の責めを受ける可能性があるということについて、是非五大メジャーの方々にもきちっと意識共有をしていただくということが大事ではないかということが一点でございます。
 それから二点目は、さらに、著しく、そういうことはないと思いますが、万々々が一輸入盤をめぐる日本の消費者利益が損なわれた場合には、私たちは今日の依田参考人の意見陳述というものを極めて重要な立法作業上の重要な要素として、我々審議に火曜日から入るわけでありますけれども、でありますので、その審議の大前提が崩れた場合には、当然立法府としても、改めて新しい事実に対応した立法措置あるいは立法の見直しと、著作権法制の見直しということを取らざるを得ないということになるんだと思いますが、この二点について依田参考人の御意見を承りたいというふうに、こういうことで意識共有ができるかどうかということについて御理解を、御発言をいただきたいと思います。

○参考人(依田巽君)
 お答えいたします。
 先ほど若松参考人からも立法の段階で担保してほしいという御発言がございましたが、制度設計につきましては、これは専門の法曹家あるいは法制局等できちんと対処していただくつもりでおりますので、私の口からそれについて申し上げるのはちょっと行き過ぎかと思います。
 ただ、社団法人日本レコード協会が、六十三年の歴史を持つ社団法人日本レコード協会の理事会で、きちんとした議事録でその確認をいたしておるという事実がございます。その理事会の報告は、もちろん独禁法上のいろいろな制約もございますので、実は、私どもは昨年の七月以降からそれについてはかなり神経質に考えてまいりましたが、ここに至りまして機は熟したかなということで、一応、独禁法上あるいはまた不正競争防止法、あるいはまた優先的地位濫用に関するようなその辺の問題につきまして考慮した上で、差し障りのないところで理事会を開きまして、五大メジャー、そしてまたそこに参加している理事全員の意見を取りまとめた結果、そういうことは起こらないということの確認をさせていただいたというその資料が国会にも提出されていただいておりますので、それについての御理解をいただきたいと思います。
 それから二番目でございますが、著しく消費者利益を害した場合という問題でございます。
 これにつきましては、私どもが事前に論評するのではなく、裁判所あるいはまた国会、あるいは所管庁の皆様方がこの問題についてはモニターをされるはずでございますし、結論を申し上げますと、私どもは、この法案が成立して法律が施行された後に、私ども産業界のビヘービアとして、行為として消費者利益を害するというような事実があったとすれば、その時点におきましては、本日まで行われたこの審議の大前提といたしまして、この法案の見直し、存廃にかかわる見直しをしていただくことは何ら我々はちゅうちょするものでございませんので、その辺につきましてはこの場をかりましてはっきりと申し上げたいと思います。
 以上であります。

○鈴木 寛
 はい、ありがとうございました。
 それでは、貸与権の件について弘兼参考人に御質問をさせていただきたいと思います。
 私どもも懸念をいたしておりました、貸与権というのは禁止も含みますものですね、貸与権を行使の範囲の中には禁止も含むと。これも正に、権利は設定をするけれども、それをどのように運用されるのかという問題だと思いますが、その点については、先ほど来、禁止をするということではないということが表明がございましたので、そのことを改めて確認をさせていただきたいということと、それから、一九八四年の著作権法の附帯決議でも、公正な使用料をもって許諾するということがこの貸与権運用に当たって附帯決議をされているわけでありますが、公正な使用権をもって許諾するというこの附帯決議、立法府の意思でありますが、このことについて尊重をしていただけるかどうかということについてお答えをいただきたいと思います。

○参考人(弘兼憲史君)
 お答えします。
 まずは、こういう業務を円滑にするために、本来なら著作権者とそれからレンタルコミックが直接やるということになるわけですけれども、これは大変な手続その他不可能に近い作業が行われることになりますので、出版物貸与権管理センター、仮称なんですけれども、その今立ち上げの準備をしておりまして、ここを通してそういう、許諾料が幾らになるかとか、そういうものを、この権利をここに委託する、委任するという形で運営したいと思います。
 著作権者は、許諾料の徴収及びその禁止事項、例えば、これは決まっておりませんけれども、新刊が出てどれぐらいの期間猶予をして出していただくかというその取決めなども含めまして出版社を通しまして管理センターに委任をしていただきます、します。そして、その委任された管理センターがレンタルコミック業者と交渉するという形になると思いますので、我々はそのシステムを信用しております。

○鈴木 寛
 最後にお三方にお願いを申し上げたいと思います。お答えをしていただく時間はないかもしれませんので、お願いをさせていただきたいと思いますが。
 正に知的財産法制というのは私は発展途上にあるというふうに理解をいたしております。すなわち、二十一世紀、情報文化の時代になったときに、これは正に、今日弘兼参考人からお話がありましたように、基幹的な正に産業にもなり得ますし、更に申し上げると、社会全体の、正に教育とかあるいはメディアとか、いろんなものの構成要素がコンテンツであります。それに対して、今のところは正に財産権というものを取りあえず付与をして、そしてその流通を、排他的独占をする権利をいわゆる著作者側にいったんまず権利を確立をして、そしてその流通をある程度コントロールすると、こういうことになって、そういう仕組みを取らざるを得ないわけでありますが、今日お三方からお話がありましたように、しかしながら、この権利をいかに作家とそして消費者と、このウエルバランスといいますか、フェアユースといいますか、適切な権利行使というものが行われるという前提でこの著作権あるいは知的財産権法制というのは成り立つと、こういうことであります。
 何が申し上げたいかというと、権利は確かにあるかもしれませんけれども、しかし、それをどちらかに偏った利益行使、権利行使がなされた場合には知的財産法制全体のフレームワークというものにひびが入ってしまうという可能性がございます。そのことについては今日の三人の参考人の方は私以上に十二分に御理解をしていただいて、そして関係者の中で極めて合理的で適切な話合い、あるいはこうした、何といいますか、著作権秩序の形成に御尽力をいただいていることに大変に敬意を払いたいと思いますが、是非このことを皆様方の御関係の団体の関係者のお一人お一人にきちっとそれぞれに周知徹底をしていただいて、そしてお互いに、この私どもも含めて、日本の知的財産文化というものがきちっと繁栄をするように協力をしていかなきゃいけないんだと。この精神についてはいろいろな機会をとらまえて周知徹底をしていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。
 本日は、今日はありがとうございました。



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