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 文教科学委員会  学校教育法の一部改正について

2004年05月13日 



○鈴木 寛

 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
 私は、私も議員としてのエネルギーを傾注している問題の一つ、重要な問題の一つとして医療過誤の防止、医療の質の向上ということに大変に私自身問題意識を持ち、いろんなことをさせていただきたいというふうに思っております。それで、今回はそういう問題意識を持っております私にとりましても、この学校教育法の改正というのは極めて重要な法律だというふうに思っております。

   〔委員長退席、理事後藤博子君着席〕

 医療事故あるいは医療過誤のいろいろな重大な事例を少し丹念に見てみますと、やっぱり投薬のミスに関するものがかなりあるということが分かります。
 それで、例えば、実は総務省が医療事故に関する行政評価・監視結果に基づく勧告というのをこの三月に出しておられますけれども、特に薬の名前、例えば抗がん剤でタキソールという抗がん剤とタキソテールという抗がん剤がありまして、これは両方抗がん剤なわけでありますが、それぞれ投薬の分量が全然違うわけですね。ですから、これを読み間違えて、あるいは勘違いして分量を間違えた場合にはこれは本当に重大な生命にかかわる医療事故が発生をすると。
 こうした投薬の事故というものを防いでいく、その一つが薬剤師の皆さんの能力というものを上げていくんだと、あるいはこういったリスクマネジメントの能力。しかもそれは、もちろん頭では分かっているわけでありますが、臨床の現場でどういうふうにこうした投薬ミスが起こるのかということなどが、今回の改正によって基本的に六年間、薬剤師養成にじっくり時間を掛けるということによって改善がされることを大いに期待するわけでありますが、その議論に入る前に、今日、厚生省にお見えいただいております。
 この勧告でも、もちろん薬剤師の能力を上げていくということは大事なんですが、今のような問題については、まず医薬品の名称を変えた方がいいじゃないかということが当然の勧告としてされておりまして、しかし、それには医薬品の名前の変更承認申請手続が大変であるとか、あるいは名称変更は商標登録に影響するからなかなかできないと、こういう本末転倒の現状になっておりまして、正に厚生省に対して、医薬品メーカーに対してこうしたものの改善を、そして厚生省側にも正に名称変更手続の改善を求める勧告がなされておりますが、この点については今どういうことになっているか、まずお答えいただきたいと思います。

○政府参考人(鶴田康則君)
 今、先生ちょっとお話ありましたように、この抗がん剤であるタキソールとタキソテールについては非常に名前が類似的でございまして、そういった意味から、やはりこの医療事故につきましては、医薬品等の改善指導についてこれまで厚生労働省も力を入れてきたわけでございます。
 今の話のように、取り違え事故を防止するために、やはり医薬品の販売名をまず大きく表示する必要がある、それからやはり同じ販売名が、今もおっしゃったような似ているものについては、例えば成分名も大きく表示することによって、表示の改善についてできるものは直していこうということで指導して行っております。
 それからまた、新たに、新薬みたいに新たに承認された医薬品につきましては、承認前に既存の医薬品の名称と類似していることが確認できた場合には、商標登録をされているとしても、承認前に名称の変更を指導しております。
 それからもう一つは、やはり既に承認されて流通している医薬品でございますが、これについては、専門家による検討会議におきましても、既存の名称変更をした場合にはこれに伴う医療現場の混乱も予想される、それからまた使用者側の要因もあり名称の変更のみでは誤使用を必ずしも防止することができないと、こういったことから、やはり個別の事案ごとに適切な対策、防止策を講じていく必要があるんじゃないかと、こういうふうに思っているわけでございます。

   〔理事後藤博子君退席、委員長着席〕

 なお、医療機関における医薬品にかかわる医療事故を、いかに迅速に的確に強化していくかということから、一つは、誤使用による事故、ヒヤリ・ハットの報告があったような医薬品の組合せのものとか、それから名称類似によると思われる調剤エラーとか誤投与の報告が複数あったものとか、それからタキソールみたいな投与量のチェックを非常に厳しく行う必要があるものとか、こういったものについて日本病院薬剤師会が品目リストを作成しておりまして、これを医療機関の方に示しております。
 また、間違いを予防するために講じている方策が有効に機能しているのかどうか、こういった確認もする必要があろうし、それから病院の薬剤部におきます抗がん剤の種類とか投与量の二重チェックと、こういったものも通知でもって都道府県を通じて医療機関等に指導しているわけでございます。
 それからまた、やはり医療用医薬品は約一万二千品目もございまして、その取り違え防止を的確に行うためには、個々の医薬品にバーコードを表示してITを用いて管理することが有効であると。これはアメリカ等でも行われているわけなんですが、こういったものについて、医薬品へのバーコード表示について現在検討を進めているわけでございます。
 それから、もう一つ先生の方から話ありましたように、こういった医薬品の名称等の変更についてやはり迅速に処理していくべきではないかと、こういうことでありますが、この総務省の勧告に基づきまして、本年四月に迅速な承認審査を行う旨を通知を出しております。したがいまして、承認申請があった場合には、当該企業からヒアリングを行うなど内容変更の重要性等を確認をした上で、通常の審査とは別に、別ルートで迅速な処理を行う、こういう方針で現在やっておるわけでございます。

○鈴木 寛
 正に医療過誤防止のためには本当にありとあらゆることを、今回の学校教育法の改正を含めやっていかなきゃいけないというふうに思います。
 それで、今回の学校教育法改正の一つの目的が薬剤師の地位の向上というところにあります。これは大いに結構なことでありますが、何のために地位を向上させるのかといえば、これはまさしくその資質が向上された、能力がアップされた薬剤師の皆さんの手によって医療のサービスの質が上がるということが最終目的だろうというふうに思います。そういう観点からすると、六年にするだけでは私は不十分、そのことは必要でありますが、それによって必要十分だとは思いません。そうやって資質が向上された、能力がアップされた薬剤師の皆様方が医療の現場でどういうふうな、何といいますか、その能力を発揮していただくかと、こういう制度上の改善ということも私は極めて重要ではないかと。
 特に、最近は輸液あるいは経腸による投薬ということが行われていますから、病院においても、今までは手術というものが中心でありますが、基本的には投薬なんですね。そういう中で、医療というのは、診断があって、そしてそれに対する治療計画あるいは治療についての判断があって、そしてその判断、決めたことを実行する、こういうことになっているわけであります。
 一昨日も谷委員の方から、薬剤師法二十四条に基づく疑義照会のお話がございましたが、私は、これ更に一歩踏み込んで、意見具申権といいますか、これは要するにチームで医療をやっていくんだと、そのチームの必要不可欠の存在が薬剤師なんだという基本認識で今回の薬剤師法の改正と学校教育法の改正をやっていると思うんですが、そういうことのためには、現在のいわゆる医療行為というのは医師が中心にいて、もちろんそのチームのリーダーとして、キャプテンとして医師が中心にいるということは私は引き続き必要だと思いますが、それ以外は医師が決めたことを単にオペレートすると、こういう構造になっていますが、単なるオペレーターではなくてきちっとデシジョンメーキングに参画をする、あるいはアシストをするという観点で、私は制度の再設計というものが必要ではないかなというふうに思います。
 その観点から、薬剤師法二十四条を更に踏み込んで意見具申の権限、あるいは更に言うと責任というものについて私は検討すべきではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。

○政府参考人(鶴田康則君)
 薬剤師は、薬剤師法に基づきまして、医師の交付した処方せんに基づいて調剤すると。また、この処方せんの中に疑わしき点があった場合には、医師、歯科医師にこれを確認した上で、確かめた後で調剤しなきゃならないと、こういう規定になっておりまして、意見を述べる義務があると、そういうふうに考えております。当然、医師に言える権限はあるものと考えております。
 このように、患者への薬物投与につきましては、医師が行う処方、それと薬剤師が行う調剤といったようなこの役割分担が法律上明確になっております。このように、医師と薬剤師がそれぞれの役割に基づきましてそれぞれの専門性を発揮すると、これが重要でございまして、今後ともこのような役割分担を基に国民に良質な医療を提供していきたいと、そういうふうに持っていきたいと考えております。
 そのためには、今般お諮りしております薬学教育六年制の導入によりまして、薬学教育において医療薬学の充実、実務実習の導入を図ったことによりまして薬剤師としての資質を向上させ、更に医療の場における専門性を発揮することが大事であると考えております。
 なお、疑義照会に関する義務を例えば黙認した場合等におきましても、薬剤師法二十四条に抵触するものとして、必要な行政処分又は民事上の責任も問われるというところまで薬剤師法の中で規定しているわけでございます。
 以上であります。

○鈴木 寛
 時間が大分なくなってまいったんですけれども、実は医師にできなくて薬剤師にできることは何ですかという御質問をさせていただこうと思ったんですが、いろいろ私も調べてみますと、いろいろあるんですね。それは、その制度上に加えて能力上と。
 一つ例を挙げさせていただきますと、先ほど抗がん剤のいわゆる投与、投薬ミスによる重大な医療事故の発生というお話をさせていただきましたが、そういう観点で見たときに、最近やはり統合医療、いわゆる西洋医学と東洋医学のいい点を両方かみ合わせて、ベストな、それぞれの患者の状態に応じた医療を実現をするという観点で、例えば西洋医学の大権威でありました東京大学の渥美名誉教授が統合医療学会の会長になられて、これからは東洋医学と西洋医学だというようなことも大変推進されていらっしゃいます。
 医師と薬剤師、見てみますと、この少なくとも東洋医学についての造詣、あるいは生薬とか和漢薬とかいったことについての教育というのは、これは相当お医者さんに比べて薬剤師は充実していると。これは更に更に充実させていただきたいと思いますが、例えば薬学教育のモデル・コア・カリキュラムに、きちっと漢方医学の特徴について教えるということになっていますし、更に申し上げると、薬剤師の国家試験出題基準の中にこうした東洋医学あるいは和漢薬あるいは生薬について試験科目になっているわけです。一方、医師国家試験は、医学教育では多少始まっておりますけれども、まだ医師国家試験の出題基準にはいわゆる東洋医学的なものは入っていないということであります。
 先ほどなぜ私は意見具申ということを申し上げたかというと、少なくともこの東洋医学の分野については薬剤師さんの方がより良い医療についていい意見を持っている可能性というのは非常にあります。特に抗がん効果のあるメシマコブとかアガリクスとか、最近いろいろありますけれども、ああいうものを本当にうまく使いこなしますと、非常に重篤な副作用を最小化しながらベストな医療ができると。
 そういう意味でも私は、審議官は役割分担というお話がありましたが、むしろ医薬連携ということも極めて重要であるということでそういう質問を申し上げているということでございますので、是非チーム医療ということを前提にしたときの連携ということについて、もう一回制度の再点検をしていただきたいと思います。
 それから、加えて、是非、医師国家試験の出題基準の方も、こうした統合医療的な観点で更に見直していただくということはできないかどうか、御答弁をいただきたいと思います。

○副大臣(原田義昭君)
 鈴木委員から西洋医学と東洋医学、またその薬剤部門の統合医療、統合医療の時代にだんだん入ってきていると、こういうお話がありました。
 御指摘のとおり、日本の医学、薬学は、恐らくこれは明治期から新しい文明を取り入れる過程で、私はやっぱり日本は昔から相当な技術もあったんだろうと思います、立派な学者もおられましたから。しかし、現実には西洋医学が圧倒しているのが現状でございますが、東洋医学が見直されているということは事実でございます。
 薬学教育においては従来から生薬に関する教育、これはかなりの程度進められておりますし、また富山医科薬科大学などはこの辺の研究を非常に進めておられまして、今はもうその先進医学校として大きな役割を果たしておられるところでございます。東洋の伝統医学と近代西洋医学の違い、さらには東西医学の融合、漢方薬の利用に関する教育が非常に積極的に行われているところであります。
 また、既にお話ありましたように、薬学教育モデル・コアカリキュラム、この中でも漢方医学についてしっかり卒業するまでには勉強するようにと、こういうような到達目標がはっきり掲げられておるわけであります。文部科学省としては、このコアカリキュラムを踏まえた教育の充実について引き続き各大学を指導していく、こういうふうに考えておるところであります。
 また、最後、医師国家試験にもこの分野をよりはっきりと取り入れるべきではないかと。これはもちろん私ども文科省だけでは検討できないわけでありますけれども、厚生労働省等の御意見も踏まえながら、また先生の御指摘もいただきながら、今後の検討課題にさせていただきたい、こう思っております。

○鈴木 寛
 是非御検討をいただきたいと思います。
 それで、私はもちろん、今回、長年の懸案であります薬剤師教育を六年化すると、この方向については賛成でございます。しかし、やはり一昨日の議論も聞かせていただいて、学部段階で薬学部と薬科学部を分けると、やっぱりこの構想にはどうも私は賛成いたしかねると。
 よって、お願いでございますが、是非もう一度、これ、一昨年は看護系を保健学部ということでむしろ学部にするということがございました。それから、二年前に文教科学委員会で正に専門職大学院制度というものを作りました。そういったいろんな、これは長年のことを処理すると、何とか成就させるということでの今回の提案だと思いますが、今のいろんな医療の状況、そして医療に必要とされる人材の状況、こういうことを考えますと、むしろ午前中は有馬先生から教養段階における教育が必要だと、こういうお話もございました。おっしゃるとおりだと思います。
 私の構想は、今重要なことはチームで医療をやるということです。そのためには、実は学部とか、一、二年生、三、四年生の辺りはむしろそういうふうに、小分けにするのではなくて、むしろ大ぐくりにする。将来薬剤師になる人、将来臨床医になる人、あるいは将来保健師として、あるいは臨床検査士とか、いろんなコメディカルの方がいらっしゃいます。そういう方々が一緒に学んだ方がいいと思います。そして、医療とは何なのか、人間とは何なのか、生命倫理とは何なのかということを一緒に、少なくとも四年制の段階では勉強すると。
 一緒に勉強したなという経験があると、将来医療現場に行ったときにお互いに、医師は薬剤師を、薬剤師は看護師を、看護師は医師をと、相互の、そしてこれから重要なのは、栄養管理というものも医療行為の中の極めて重要な要素でありますから、そうすると、お互いにコメディカルが尊敬をし合う、尊重し合う、そして本当にいいチーム医療ができるんです。そのかぎは、実は私は、特に学部段階は医療関係に進もうとしている人が一緒に学ぶということが重要だと思います。その観点からすると、薬学部と薬科学部を分けるということは、これはその方向に反している。今日、お答えは求めませんけれども、もう一回、これはスタートは結構でございますが、一回きちっと議論していただきたいと思います。
 そして、既に例えば東海大学なんかはメディカルスクール構想が始まっています。私は、日本の臨床医の教育というものを立て直すために、次はいよいよ臨床医教育をもう一回根底からやり直すということが極めて重要な課題になってくると思います。
 それから、薬剤師で既に活躍されておられる方が、しかし今、極めて進んだ高度医療の中での薬剤師というものをもう一回生涯学習ということで大学に戻ってきちっと勉強したいと、こういうニーズはあります。そういうニーズにこたえるためにも、薬学部と薬科学部というふうな分け方というのは余り好ましくありません。
 どういうことかといいますと、薬剤師十年、二十年やられて、更に臨床薬剤師としていろいろな能力をもう一回勉強したいと思ったときに、専門職大学院の薬剤師コースに入るという道を作っておくことが必要なんです。しかし、今は薬科学という、いわゆる研究の大学院は薬科学修士号、あるいは薬科学大学院等ございますが、そういう方々は薬科学の修士コースには来ません。
 ロースクールを作ったときに議論させていただいて、そのことが我々うまくいったなと思っているわけですが、四割の方が社会人からロースクールに入ってきたと。このことは薬剤師のところでも相当ニーズはあるんです。そうすると、そういう方々には、やはり例えば学部段階は大きくしておいて、薬学部でも狭いかもしれない、医療学部という形で将来的にはしておいて、そしてその上に専門職大学院として高度専門職としての薬剤師を教育するという大学院を設置していて、そしてもちろん若い方が他学部からそのまま入ると。それから、いろんな、文科系も含めて三年間いろいろ勉強して、そして四年目にいろんな進路を考えながら、自分は医者に向いているんだろうか、看護師に向いているんだろうか、あるいは薬剤師に向いているんだろうか、それで他学部からのことも含めて、そして専門職の大学院というものに入学すると、こういう体系というのは非常に重要だと思います。
 ロースクールを議論するときに、専門職大学院と国家資格の在り方というものを議論をいたしました。しかしながら、医療系のことについては、せっかく作った専門職大学院制度というのが活用されていません。メディカルスクールを作るということについても、どうもそういう方向になっていない。これは率直に申し上げますが、やはり厚生労働省さんと文部科学省さんが従来の縦割りの延長線上で議論しているからこの問題が解決できないということをはっきり指摘させていただきます。
 ロースクールのときは、もっと真剣に法務省と文部科学省が日本の将来の法曹の在り方についてどうしたらいいかということを胸襟開いて御議論されたと思います。そういう御議論が法務委員会と文教科学委員会であった。しかし、どうも医療関係の人材教育についてはそのところが私は不十分だと思いますので、この点、指摘させていただくにとどめますが、是非このことはきちっと御議論をこれからしていただきたいということをお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

○委員長(北岡秀二君)
 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 学校教育法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

○委員長(北岡秀二君)
 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、鈴木寛君から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木寛君。

○鈴木寛
 私は、ただいま可決されました学校教育法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。


    学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一、学校栄養職員及び栄養教諭の給与費については、国の責任において確保するとともに、適切な処遇等を維持するよう配慮すること。

 二、全国の義務教育諸学校等において、食に関する指導等が充実するよう、現行の定数改善計画を進めるとともに、引き続き適切な配置基準の下、学校栄養職員と栄養教諭について必要な定数を確保するよう努めること。
   特に、学校給食未実施校、共同調理場方式による学校給食実施校等における食に関する指導についても、遺漏のないよう十分留意すること。

 三、前項による必要な定数の確保の努力とあいまって、栄養教諭への移行が円滑に進められるよう、学校栄養職員が栄養教諭免許状を取得するための認定講習等の機会の確保に努めること。

 四、学校給食の管理と食に関する指導を一体的に行うことを任務とする栄養教諭の制度を確立するため、栄養教諭が食に関する指導を行うに当たっては、学級担任、教科担任等と連携し、学校全体として取り組むとともに、家庭や地域社会とも連携・理解を深め、より効果的な指導を行うよう努めること。
   あわせて、食教育の充実の観点から、学校給食を身近な生きた教材として活用し、また、食材・給食の衛生管理の維持・強化を図るため、給食調理現場の充実に努めること。

 五、栄養教諭及び学校栄養職員の資質能力の向上のため、新規採用者研修、経験者研修等の機会の確保及び内容の充実を図るとともに、他の教職員についても、食に関する理解を深めるための研修等の充実に努めること。

 六、学校栄養職員については、現在行われている学級担任、教科担任との連携、特別非常勤講師として実施している学校給食指導の充実を図るとともに、研修の機会の確保等にも十分配慮すること。

 七、栄養教諭養成のための大学等の教員養成課程を整備するとともに、教員養成課程を置く大学等と栄養士養成を行っている大学等とが連携し、栄養教諭免許状の取得が可能となるよう努めること。

 八、薬学教育の修業年限延長の目的である医療薬学教育の充実のため、医療機関、関係行政機関等の理解と協力を得て、各大学における指導体制の整備、教育・実習施設の確保等に努めること。特に、長期の実務実習の受入れのための指導者及び施設の確保について配慮すること。
   また、学生の実務実習に必要な基本的な能力の向上と教育・実習施設における受入れの円滑化を図るため、共用試験の導入等についても検討を更に進めること。

 九、四年制と六年制の学部・学科が並立することにより、受験生に混乱が生じることのないよう、両学部・学科の目的、内容の違いについて十分な情報提供を行うとともに、転部、編入学等の制度も活用するなど、制度の弾力的運用と多様な人材の受入れに努めること。

 十、第三者評価体制の整備を進めること等により、高度化する薬剤師の職能を支える基礎教育及び実務で要求される知識、技能、医療人としての倫理観、薬剤師としての責任感等が養えるような質の高い教育の維持向上を図るよう留意すること。

 十一、医療技術の進展等の状況を踏まえ、現に薬剤師の資格を有している者に対し、生涯にわたり学習する機会が拡充されるよう配慮すること。

 十二、薬学教育の修業年限延長に伴い、学費の負担が増加することから、大学への財政的支援や奨学金制度の充実に努め、経済力の差が進路選択及び学業の成就に影響を与えないよう配慮すること。

 十三、薬学の充実・強化に当たっては、生命科学の進展、医療の高度化に対応し、大学、民間研究機関等において、国際競争力を持つ創薬等の研究開発を担う人材の育成に努めること。

   右決議する。
 以上でございます。




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