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 文教科学委員会  義務教育費国庫負担法一部改正について

2005年03月31日 

○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表し、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論を行います。
 義務教育費国庫負担制度は、我が国の義務教育の根幹を支える制度であります。我が国の教育制度を地域主権や現場主権の理念に即し、その進化、発展を模索することは私も大変重要であると考えておりますが、そうした観点からも本法案は全く評価に値するものではなく、余りにも多くの問題を抱えていると言わざるを得ません。
 まずその第一は、これまでの政府・与党の動きの問題であります。
 義務教育費国庫負担制度については、平成十四年十二月の総務、財務、文部科学三大臣合意及びその後の閣議決定や政府・与党合意において、中教審の検討も踏まえ、十八年度末までに検討を行うとされ、先行的に導入された総額裁量制の成果も見ながら十分な議論を尽くすことが約束されていたのであります。にもかかわらず、昨年、平成十六年夏に唐突に国庫負担制度廃止論が浮上し、昨年十一月の政府・与党合意において、強引に四千二百五十億円の削減の先行と中教審の結論の十七年秋までの前倒しが決定されたのであります。
 この法案は、小泉内閣の特徴である議論なき豹変と突然の約束破り、独善的見切り発車の結果提出された法案であることが分かります。さらに、今国会の質疑においても、今年の秋に出される中教審結論がどの程度尊重されるかについて、文部科学大臣と総理を始めほかの大臣とで意見を異にするなど、閣内不統一が更に悪化していることも露呈いたしました。中山文部科学大臣も、三月十八日の本委員会において、三位一体ではなく三位ばらばらと答弁されましたが、正にそのとおりであります。このような状況の中で、教育改革がうまくいくはずはありません。
 第二は、平成十七年度限りの暫定措置により、義務教育費国庫負担金から四千二百五十億円を減額するという措置自体の問題であります。
 四千二百五十億円という数字は、実のところ地方六団体の改革案で提示された中学校の義務教育費国庫負担削減額を借りてきたという単なる経緯以外に何の根拠も持たないものであり、教育という重要な問題に、理念もなく、金額の根拠も不明確なまま、しかもなぜ一年限りの暫定措置を行う必要があるのか。つまりは、少なくともスクールミーティングなどを経て、十七年秋の中教審結論を待ってからきちんと法案提案を行うべきではないかという、極めて真っ当な我が党の指摘に何ら答えられないまま、しかもそうした重要な点に対し、総理大臣を始め担当大臣が十分な理解すらないまま法案が提出されております。
 正に、我が国憲政史上に汚点を残す余りにもずさんな内容と手続に基づき今日を迎えていることに、議会人の一人として憤りすら感じるものであります。
 第三の問題は、この法案では、準要保護者に対する就学援助費補助などについての削減もほとんど議論のないまま盛り込まれていることであります。
 学校保健法による疾病の治療費に対する国庫補助も廃止されることとなりますが、この措置は、教育の機会均等を保障するという国の責任を放棄しているばかりか、国は社会保障、公衆衛生等の向上に努めなければならない旨を規定している憲法二十五条にも抵触しております。
 また、三月二十九日の本委員会に参考人として出席していただいた中教審の鳥居会長は、就学援助等に係る国庫補助を廃止する内容が本法案に盛り込まれていることを知らなかったと述べられました。義務教育の在り方について議論を行う最高の場である中教審の会長すら知らなかったという事実に我々は愕然とするとともに、国の将来を左右する義務教育の在り方を議論する中教審に不安を感じたのは私一人ではないと思います。
 我が国の教育は深刻で極めて厳しい状況にありますが、今回の改正案提出をめぐる一連の小泉内閣の余りにもずさんで不誠実な対応を見るに、現内閣のこれ以上の存続は、我が国の教育現場にとって百害あって一利なしであると言わざるを得ないということを指摘して、私の反対討論を終わります。




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