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  法務・文教委員会連合審査会 

2002年11月21日 

○鈴木 寛
 民主党の鈴木寛でございます。引き続きまして、質問をさせていただきたいと思います。
 私が冒頭に御質問させていただきたいのは、先ほど同僚の岩本議員が最後に御質問をされました、正にこれからロースクールで学ぶ学生たちに対する財政的な支援の問題から入っていきたいというふうに思っております。
 この問題につきましては、私も参議院の本会議で両大臣そして財務大臣にお尋ねをさせていただきました。少し、ちょっと細かくなりますが、本会議で私が御提案をさせていただいたのは、御検討をお願いをいたしましたのは四つございました。
 一つは、希望者全員に対する奨学金が交付されるということ、それから二つ目が、一人当たりの奨学金の枠を大幅に増額をしていただけないかということであります。それから、給付型の奨学金を導入すべきではないか、それから四点目が、教育ローンに対する政府保証の実施と、この四点でございました。
 実は、先日も文教科学委員会でこの点についての更なる質疑をさせていただきまして議論が更に進展はしておりますけれども、本会議あるいは文教科学委員会での質疑あるいは同僚議員の質疑を聞いておりまして、やや、やはりもう少し、先ほども文部科学大臣、これから検討するというようなことでございましたが、もう少し検討を早める必要があるんではないかなということを私は冒頭に申し上げたいと思います。
 と申しますのも、ロースクール、十六年の四月に開校ということが予定をされております。ということは、もう来年、平成十五年度には大学院側からいえば受入れ準備、受験生の方からいえば正に受験の準備ということをしていかなければいけないわけでありまして、私、前職の関係で多くの今、大学に通う、学部に通っている学生の皆さんから進路相談といいますか、人生設計相談といいますか、を毎日のように受けております。私がこうした問題に取り組んでいることを知りますと、そのことが更に広がりまして多くの大学生の諸君から具体的な質問を寄せられておりまして、その声を代弁させていただいているということで是非、両大臣にはお聞きをいただきたいわけでございますが。
 やはり、少なくともこの三月末ぐらいにどういう、あらあら、その学資あるいは学業をロースクールで二年ないし三年続けていく上でのまず生活設計、財政的なものが成り立つのかどうかということについてのめどは、やはり国としてきちっとそうした高い志を持って頑張っている若者たちに対して私は示す必要があるんではないかというふうに思っております。
 前回の文教科学委員会での御答弁は、来年度の要求、要するに来来年度になるわけですね、平成十六年度の要求でありますから、来年の夏に概算要求をしていくということですから、六月、七月に文部科学省内で御議論をされて、八月にそれをきちっとまとめられて、そして九月に財務省に予算要求をされて、そして査定が入ってくる、これが予算のスケジュールだと思いますが、これではその学生の進路相談が私、できかねておりまして、この点はやはり、予算の制度はそうなのかもしれませんが、そして今も両大臣からいわゆる一般論としては前向きな御答弁をいただいてはおりますけれども、実は今日午前中の法務委員会の御質疑でも文部科学省の方から、授業料だけですけれども、授業料だけで百万円から二百万円が予定の、アンケート調査で、今準備をしているアンケート調査で二十六大学、そして二百万を超える、二百万から三百万の大学が十六大学あるということなんですね。ですから、やはり二、三百万の、今、岩本議員もお話がありましたけれども、二、三百万円の学費、そしてこれが三年ということでありますから約一千万円、プラス、本来であれば学部を出て、親御さんは、就職をして、そして最近そういう学生は減っておりますが、家に何がしかの給料を入れてと、こういうことを願いながら楽しみにしておられる方もいらっしゃるわけです。更にもう三年延長と、こういうことになりますと、そのことを逆に学生の側も、更にあと三年間あるいは二年間、実質的に家計に負担を掛けてしまうということに対して、実は本当に心を痛めている学生が大変に多い。さらに、弟や妹がこれから大学を受けるということになりますと、家庭の家計の負担というのは本当に莫大なものがございます。
 そういったやはり実情を踏まえたときに、この問題は、もちろん予算制度ということはありますけれども、国としてもう少し具体的なその方針、方向性というものをお示しをいただくことが必要ではないかなというふうに思っております。
 それで、先ほどの四項目についてそれぞれきちっと見てみますと、これ塩川大臣、どこまで意識してそういうふうに御答弁されているのか若干その確認が必要でありますが、希望者全員については鋭意充実に努力したいということでありますから、相当前向きに考えていただいているのかなというふうに思います。
 それから、いわゆる枠の増額については必要があれば検討いたしたいという御答弁をいただいております。ですから、これは文部科学省がその必要性を財務省にきちっと御説明をいただければ要求はかなりの確度でかなうのかなというふうにも感じます。
 それから、給付型あるいは教育ローンについては、これは前回の文教科学委員会でも遠山文部科学大臣にきちっとお願いを申し上げましたが、財務大臣の御認識は、社会的、経済的に相当恵まれたエリートが受けるから給付型教育ローンについては必要ないというお話で、この基本認識についてはきちっと訂正をしていただきたいということでお願いを申し、そのことについてはお約束をいただいているところでございます。
 教育ローンなんでございますけれども、これも教育ローンについての政府保証という御提案を私はさせていただきましたが、これは政府保証するほどのことでもなくという、こういう財務大臣の御認識でございました。
 少し長くなって恐縮でございますが、文部科学省に先日、政府による教育ローンの保証ということの必要性についてお尋ねをしたわけでありますが、若干そのときの御答弁あるいは御議論が私は不十分でありましたので、今日改めてその点から入らせていただきたいと思います。
 たしか文部科学省の教育ローンに関する政府保証についての御認識は、アメリカでもやられているけれども、それがうまくいかなかったという事例も踏まえて日本の導入は検討すべきではないかということで、文部科学省自身も非常に消極的といいますか、慎重な御発言でございましたので、私は大変に心配をいたしております。
 アメリカでは、モラルハザードがその理由にあると、こういうお話なんでございますが、前回はちょっと時間がありませんでしたのでそれ以上申し上げませんでしたが、実はここにアメリカの議会の図書館の議会調査局のいわゆるフェデラル・スチューデント・ローンに関する報告書を今日持ってまいったわけでございますけれども、文部科学省の御認識は、いわゆるその政府保証型の、これアメリカではFFELと言っておりますが、フェデラル・ファミリー・エデュケーション・ローンと言っていますけれども、これはある意味では破綻をしていると。で、フェデラル・ダイレクト・スチューデント・ローン、この政府直接、直貸しのダイレクトローンの方に移行をしていると、こういうお話だったと思います。
 確かに、九三年のときにフェデラル・ダイレクト・スチューデント・ローン、要するにダイレクトローンが導入をされたときの目的といいますか、その動機というのは、このFFELに代わってということが導入目的ではありましたが、しかし現状のこの利用の実態、いわゆる政府保証型のローンと政府によるダイレクトローンの実態を見ますと、今総額で約二百二十七億ドルのFFEL、保証型のローンがございます。これ日本でいえば、要するに二兆円を超えるという、この額自体、日本もきちっと見習っていきたいと思います、これトータルでありますけれども。ダイレクトの方が百三億ドルということで、大体、九四年以降も保証型が六で、そしてダイレクト型が四だというのが実績でありますから、やはり今なおアメリカの学生は、この政府の保証型のローンをきちっと使いながらというか、これを非常に当てにしながら学業を続けているという実態があるわけですね。
 私は、そのことを踏まえて、政府保証型の、教育ローンの政府保証ということについてやはり検討していただくべきではないかということで御提案を申し上げたわけでございますが、それについての文部科学省と私どもの基本的な認識が違うものですから、再度この点についてお伺いをしたいというふうに思います。

○政府参考人(工藤智規君)
 せんだっての文教科学委員会で、あるいは答弁の上で若干激しく申し上げたので誤解を招いたかもしれませんが、アメリカの現状は御指摘のとおりと私どもも認識しております。
 若干経緯を申しますと、アメリカではいろんな奨学金制度がございますけれども、連邦政府による学生ローン制度には二つ今ありまして、御指摘がありましたように、一つには銀行等の民間金融機関が貸出し元となりまして、政府が債務保証及び利息等の補助を行う家族教育ローン、おっしゃいましたようにFFELPでございますが、それともう一つは、連邦政府が国債を発行いたしまして、それを原資に直接貸し出すダイレクトローンと二つございます。これは、一九九三年までは前者だけだったのでございますが、九四年から後者のダイレクトローンが導入されたと承知してございます。
 その導入のきっかけは、せんだっての答弁申し上げて、若干極端に申し上げたのでございますけれども、私どもの方で調査したところ、向こうの反応なり回答がそうだったものですからあえてそう申し上げたんですが、幾つかありまして、一つには、先ほど申し上げた政府債務保証でのローンという制度を長年やっておられたわけでございますが、連邦政府の負担する費用が大手銀行の利益になるばかりでなくて、大手銀行にはその寡占状態から銀行のモラルハザードが生じて、どうしても安易な貸出しの拡大という事態が生じたということでございますとか、あるいは学生の側にも安易にお借りして、まあだれにもお貸しするものでございますから学生の側のモラルハザード等もあって、やはり政府の負担が増大したと。さらには、手続が煩瑣だったり、あるいは学生のサービスが低下したりということもあってダイレクトローンの導入を始めたと承知してございます。
 その際の当面の目標は、このダイレクトローンをメーンにして、大体割合、当面、ダイレクトローンを六割ぐらいまで持っていって政府保証の方をシェアを少なくしていこうというもくろみだったとお聞きしているのでございますけれども、その後、金融業界等からの反発等もありまして、御指摘のように必ずしもそういう割合になっていないという状況でございます。それと、貸出しの全体の規模が拡大してございますので、年々それぞれのローンの総額は増えている状況にございます。
 ただ、向こうの政府の方の試算によりますと、いずれの場合も百ドル当たりの、お貸しした百ドルを回収するまでの政府の総費用といいますか、どれぐらいコストが掛かるかということでいいますと、ダイレクトローンの場合が八ドル二十一セントなのに対して、先ほどの政府保証の場合は十五ドル二十六セント掛かるという、やはり政府の負担が倍ぐらい掛かるんでございます。原資を、民間の金融機関の原資を活用できるという意味ではうまみがあるんでございますけれども、トータルの政府の負担が増えるというのは確かでございます。
 要は、先生御心配のように、法科大学院を含めて学生の方々が、私ども、政策取っておりますのは十八歳以上自立社会の実現ということなんでございますが、やはり大学院にお進みになって親元に御負担を掛けないで安心して学資を借りれるような状態をどう実現するかというのが最大の眼目じゃないかと思っております。現状では、私ども育英会で行っております無利子・有利子事業、大学院レベルについていいますと、総大学院生数の約半分ぐらいの水準でございまして、御希望されない方もいらっしゃいますので、希望者にはほぼ今のところ充足してございます。
 ただ、その額が十分かどうかということとか、法科大学院の授業料、これからの話でございますけれども、更に充実の努力はしなきゃいけないと思っておりますけれども、今は国債でございますとか日本育英会の財投機関債の発行によりまして割と低利の資金調達ができておりますので、後々国民に御負担を掛けないような形の低利の資金を確保する道があればそれにこしたことはないのではないかということで、いろいろ、アメリカの制度そのものでは問題があるんではないかという認識をしているわけでございます。

○鈴木 寛
 前回もモラルハザードのお話がございましたが、例えば中小企業の関係の債務保証とかあるいはソフトウエア開発についての債務保証とか、全額について債務保証するんではなくて、この八〇%か七〇%かと、そういうふうな付保の割合を工夫することによってモラルハザードをクリアするという方法論は、実は我が国の政府金融あるいは政府保証制度の中でもあるわけでございますので、是非そういうことは工夫をして前向きに検討していただく余地はあると思います。
 それから、私、若干また認識が違うんですけれども、これもソースが違うのかもしれませんが、私は議会人でありますからアメリカの議会レポートの方を見るわけでありますけれども、いわゆるデフォルトレートも、いわゆるスチューデントローンを貸したときにいかに焦げ付くかと、この比率でありますが、むしろこれは下がっていますよね。九三年は一一・六%でありますが、二〇〇〇年には五・九%ということでありますので、そういう意味でもモラルハザードの実態というのは、これはもちろん世の中全体の景気とかいろんなことと複合要因でありますけれども、いわゆる局長がおっしゃったようなニュアンスでモラルハザードがどんどん増えて、そしてこの制度が大いに問題になっているというのは、私とは少し見解を異にするということは申し上げまして。
 局長もおっしゃいましたが、要は、恐らくここに集っているすべての皆様方の思いは同じだと思いますが、経済的な理由でロースクールで十分な学業生活が送れないというケースを一つたりとも作ってはいけないと、そういうことをきちっと対応していこうということに対して、厳しい財政事情ではあるけれども、この問題は正に教育の問題であり司法の問題であるという、要するに日本の今抱えている、かつ最も最重点で取り組まなければいけない二つの課題の両方を兼ねた問題でもございますので、是非このところはきちっとお取り組みをいただきたいと思いますが。
 今日は財務省にお願いをしておりますので、これは財務省の御理解なくしてできない課題でございますので、財務省がむしろいろいろな諸制度を文部省にもいろいろ知恵を授けていただいて、十分に御相談にも乗っていただいて、そして平成十六年の四月からすべての学生が安心してロースクールで勉強できる体制について是非真剣にお取り組みをいただきたいと思いますが、その点についての御見解を伺いたいと思います。

○大臣政務官(森山裕君)
 今、鈴木委員のお尋ねでございますが、政府保証の問題につきましては、アメリカにおいて一つの制度があるやに伺っております。また、諸外国の実用の例があれば、運用の実用の例があればそのことも十分に参照にさせていただきまして、官民の役割分担や受益者負担の観点も踏まえながら、関係機関とも相談をして検討をしてまいりたいと考えております。
 以上であります。

○鈴木 寛
 先ほども申し上げましたように、是非内容の充実と、それからどういう方針になるのかということについて早めに政府内で、特に関係者に早く情報を知らしめていただきますことを重ねて両大臣にもお願いを申し上げておきたいと思います。
 続きまして、私は第三者評価機関の問題について御質問をしたいと思います。
 本会議でも、大学教育一般、全般にかかわりまして、学校教育法の中で第三者機関、大学評価制度というものが充実をされ、そしてそれが複数、切磋琢磨して行われるということについての文部科学大臣の御見解、御答弁をいただきました。全体論としてはその動静を是非きちっと見守っていきたいと思っておりますが、今日は合同審査でございますので、ロースクールに関する民間の第三者評価の在り方について議論をさせていただきたいというふうに思っております。
 私は、横割り、縦割りというふうな言い方を便宜的にしておりますけれども、大学評価といいますのは、いわゆる大学評価・学位授与機構、あるいは大学基準協会のように、大学の経営、運営、あるいは入学者選抜の適正化とか、そういったことをオーバーオールにきちっと見ていくという大学評価と、それから例えばロースクール、あるいは例えば医学部というようにスペシフィックに、専門的な領域に対して、そこで十分に質の高い教育が行われているかどうかということを専門のスタッフでもって評価をしていくということが併せ必要になっていくと思います。正に、縦糸と横糸がきちっと合わさることによって、特にロースクールの健全な第三者評価ということが行われるというふうに思っておりますけれども。
 まず、そういったものが自発的に出てきて、それをきちっと御認可いただけますかと、こういうことについては文部科学省はきちっとやりますということで御答弁はいただいておりますけれども、単にレッセフェールにしておきますと、こうしたものがきちっとでき上がるかどうかということが若干不安といいますか、まだ定かではないというふうに思います。
 もちろん、それ以外の、要するにロースクール以外のものについてはこれからいろんな議論の積み重ねをしている間はあるんだろうと思いますけれども、これも繰り返しになりますが、平成十六年の四月に開校をいたします。もちろん、評価はそれがある程度動き出してからということでありますが、しかし制度発足とともにきちっとこういった体制で評価がなされるんだなということ、これも実は時間がもう余りないと思いますので、民間の第三者評価をきちっと設立、設置をスタートをするということについての具体的な方策について文部科学省からお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(遠山敦子君)
 日本ではまだ大学の評価機関というものが十分成熟していないわけでございまして、一方で大学改革の角度からも、また司法制度改革の角度からも、今回、評価ということが非常にクローズアップしてまいっているわけでございますが、このことについては、お願いしております法改正の中で評価機関の認証についての基準もある程度明確にいたしておりますし、その基準を満たせば認証させていただくということでは、民間のいろんなお取り組みもそれを認証をして、そして濶達にやっていただける仕組みになっているとは思います。
 現在どんなふうなことが進んでいるかということでございますが、すべての大学を対象とする民間評価機関としましては、大学評価・学位授与機構は既に走っておりますけれども、そのほかには財団法人としての大学基準協会、それから短期大学基準協会、これのほかに日本私立大学協会を中心に創設が検討されている新たな評価機関、それから法科大学院の民間評価機関として日弁連の関係団体が認証を受けることを御検討中と聞いているわけでございます。
 そういうことで、法改正が成立いたしました後には、いろんな基準も明確にし、そしてそれに合った評価機関の御申請も受けて認証していくという、かなり日程は詰まっておりますが、逐次そういったことをやりながら、評価機関の充実といいますか形成に向けて、私どももできるだけ支援をしていきたいというふうに考えています。

○鈴木 寛
 
できるだけ支援の中身なんでございますけれども、聞くところによりますと、やはり一年間で一億円ぐらい掛かるらしいですね、ランニングコストだけでも、そういうロースクール向けの評価機関、もちろん立ち上げには更にイニシアルコストが掛かるわけでありますけれども、これを社会全体としてどのように手当てをしていくのかということは本当に大事な問題だと思います。
 文部省はどうしても、これは認可する立場ですから、余り先にどうしろこうしろということは言えないお立場にあるということは私も理解をするわけでございますが、法務大臣、特にロースクールについての第三者評価機関をきちっと作っていくということは正に健全な法曹養成改革ということにとって必要不可欠なことでございます。これも法曹三者間のいろいろな問題はあるかもしれませんけれども、しかし法曹全体としてロースクール向けの第三者評価機関の設置についてどのようにお考えか、御意見を伺いたいと思います。

○政府参考人(寺田逸郎君)
 法曹養成の中核機関としての法科大学院、これを現実のものとするためにはやはり何といってもレベルアップを図ると、これが正道でございます。
 法科大学院は言うまでもなく実務法曹を念頭に置いた理論的かつ実務的な教育をするわけでございますから、その評価を行うためには当然のことながら実務法曹が参画しなければならないと、このように考えております。現に、司法制度改革審議会の御意見の中にも、当然のことながら、学者の先生方あるいは有識者の方々と並んで法曹関係者というものを第三者評価に関与させるということを前提としていろいろお書きになっておられるわけでございます。
 そういう位置付けでございますから、私どもは、法務省あるいは裁判所という役所を含めまして、法曹界全体でこの第三者評価機関の在り方、あるいは現実の第三者評価機関の評価に関与するというような面で貢献をさせていただきたいと、このように考えております。

○鈴木 寛
 今、具体的に懸念されていることとしましては、それこそモラルハザードではないんですけれども、ロースクールのモラルハザードではないんですけれども、一応、大学評価・学位授与機構がございますから、ロースクールも大学全体の中で評価を受けるわけですね。ですから、ほっておきますとそれで事足るということでなってしまうケースも生じないとも言えないという懸念があります。
 一方、先ほども申し上げましたように、ロースクール向けの評価機関を作るだけで軽く一億円は年間掛かると。大学評価・学位授与機構は独立行政法人化されるということでありますので、年間、今六億円ぐらいの国費がこの授与機構につぎ込まれ、そして今後もつぎ込まれるのではないかというようなことを言われておりますが、そうしますと、こうしたいわゆる評価機関間の競争条件といいますか、イコールフッティングがアンバランスな状態でこの制度が走りますと、結局は適格な第三者評価機関がなかなか生まれてこない、育成をされないのではないかという懸念があるわけでございまして、この点について文部科学省の御見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(遠山敦子君)
 大学評価・学位授与機構は、現在、評価に関することだけではなくて、幾つかの機能を持っております。
 一つは、設置者の立場から、国立大学を中心に全学テーマ別評価、分野別教育研究評価という大学の質の向上のための評価をやっておりますし、それから二番目には、日本においてとりわけ求められております大学評価の手法、方法等に関する調査研究をやっております。そして、大学評価に関する情報の収集、分析、提供という三つの柱があるわけでございまして、したがいまして今、委員が触れられました平成十四年度予算では約五億九千八百万円、六億円でございますけれども、これら三つの機能を果たすために使われているわけでございます。
 委員御指摘のように、他の評価機関ができてきたときに競争的な環境に配慮することは必要だと考えておりまして、評価料などの面で他の評価機関と比べて特にここだけが有利にならないように留意しなくてはならないと思っております。その意味で、機構が認証評価を行うに当たりましては、他の認証評価機関との競争的な環境に配慮をしまして、認証評価業務に関しては機構の行います他の事業と経理を区分してやっていきたいと思っておりまして、そういうことも工夫することによりまして、評価料が著しく低くて他の機関に比べて格段有利というようなことが起きて、当初から競争的な環境が損なわれるというようなことのないように、私どもとしても十分配慮したいというふうに考えています。

○鈴木 寛
 第三者評価機関がきちっとできるかどうかということについて幾つかの問題があるということを指摘をさせていただきました。それについて是非、前向きに取り組んでいただくということでございますので、その動向を更に見守り、かつ応援をさせていただきたいと思いますが、今回のロースクール構想、先ほどの奨学金の問題といい、評価機関の問題といい、少しちょっと政策的にエアポケットにおっこっちゃう問題が幾つか懸念をされます。その話の三つ目は、私は、法科大学院の全国適正配置の問題を提起させていただきたいと思います。
 前回の文教科学委員会の席で、これも学校教育法の運用上やむを得ないんだと思いますけれども、文部科学省は窓口規制はしない、要するに出てきたものを淡々と法の趣旨に従って認可をしていくと。これも大学行政の観点からはそうなんだろうというふうに思います。
 しかし、健全な司法養成という観点から考えますと、法科大学院を全国にやっぱり適正に配置をしていくということも重要な課題でございまして、そこをどう埋めたらいいのかと。今、日本全体がそういう、何といいますか、事前型の計画型行政を脱しようとしておりますからなかなか難しいわけでありますけれども、そういう意味では院全体としてこの問題はこれからも議論をしていかなければいけないと思いますが、しかし法科大学院についてはそういう健全な大学行政、大学政策という観点と加えて、やはり全国津々浦々きちっと法曹養成がされるという、正に司法改革の目玉でもございますので、この点、法科大学院の全国適正配置、これからどのように実効ある配置にしていくというふうに考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。

○国務大臣(森山眞弓君)
 適正配置の件につきましては、司法制度改革審議会の意見は、法科大学院につきまして、地域を考慮した全国的な適正配置に配慮すべきであるということを言っております。いわゆる、地方に住む人にも法科大学院への進学が容易になるようにという観点から、その適正配置は重要なことだと私どもも考えております。
 なお、国民にとって利用しやすい司法を実現するためには身近に法曹が存在するということが大切でございますが、法曹の適正配置の重要性にかんがみまして、法科大学院の適正配置とともに、法科大学院の修了者がその地域で法曹として活動することを促すための取組ということも必要であろうと思いますので、この件についても、現在も弁護士会その他でいろいろと努力していただいておりますけれども、更に一層関係機関と相談しながら検討していきたいというふうに考えております。

○鈴木 寛
 終わります。


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