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 行政監視委員会 質問

2002年07月01日 

○鈴木 寛
 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
 本日は、私立大学医学部と入試、そして寄附金の問題、とりわけ最近新聞報道などでも、マスコミ報道などでもこの問題、世間の関心が高まっております帝京大学グループ、その中でもいわゆる所得隠しが疑われている問題、あるいはグループの財団元理事長らの資産流用問題について御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 聞くところによりますと、文部科学省におきまして先週このヒアリングをされたというふうに聞いておりますけれども、この問題についての一連の経過と、それからこのヒアリングの結果、あるいはそれ以外文部科学省が把握しておられる現状について御説明をいただきたいと思います。

○副大臣(岸田文雄君)
 帝京大学問題についてでありますが、六月二十四日、帝京大学関係者が合格発表前に受験生と接触し、募っていた寄附金に関し、帝京大学の関連財団及び帝京大学総長の親族が国税当局から所得隠しを指摘されたという報道がされました。これに対しまして、文部科学省としまして、六月二十七日の夕刻に帝京大学冲永荘一総長始め大学幹部五名から、帝京育成財団等に対し行われた東京国税局の税務調査、指摘の内容など、一連の報道内容について事情聴取を行ったところであります。
 この事情聴取におきまして、大学側からの説明としましては、まず医学部の入試の合格発表以前に受け入れた寄附金が一部あったことがまず判明しました。しかし、これらは前事務局長、この前事務局長は平成十四年三月に死去をしておりますが、この亡くなった前事務局長が銀行と一緒に事務処理をしていたものであるという説明がありました。また、帝京育英財団が大学から依頼を受けて寄附金のあっせん業を行っていたとしてなされた課税更正決定につきましては納得ができないという説明がありました。また、大学幹部等と保護者の合格発表前の接触、仲介者の存在、あっせん等は承知していないという説明があり、更には入試については公正に実施をしているという説明があったわけであります。
 これが大学側の説明でありましたが、まず文部科学省としましては、合格発表前の寄附金の受入れは、大学の入学選抜の公正さを疑わしめ、また大学に対する社会的な信頼を損なうものであるということで禁止をしているところでありまして、今回このような昭和五十六年の通知に違反する行為が判明したことは誠に残念であり遺憾であると考えております。
 そして、今回事情説明を受けたわけでありますが、この事情説明を受けた事項を含めて報道された事項につきましては、文部科学省も納得をしていないし、また社会も納得をしていないというふうに考えておりまして、是非納得が得られるような調査報告書を、口頭ではなくして書面で七月十五日までに作成の上、提出するよう厳に求めたところであります。この書面での調査報告書を待って文部科学省として厳正かつ適正に対応していくという所存であります。
 これが現状であります。

○鈴木 寛
 今もお話がございましたが、文部科学省、昭和五十六年に私立大学医学部における入学者の選抜の公正確保についてという通知を出しておられるわけですね。これは五十二年に出されて再度五十六年にも出された、こういうことでありますが、今の副大臣のお話によりますと、五十六年の局長通達に一部違反があったということで理解をしてよろしいのかどうか、もう一度御確認をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○副大臣(岸田文雄君)
 事情聴取の中で一部そういった寄附金があったことを先方が、大学側が認めたということであります。それも含めて書面でもう一度報告書を出すように指示をしたということであります。

○鈴木 寛
 ということになりますと、その通知では、公正が害されたと認められるときには当該学部についての私立大学等経常費補助金を交付しない措置を講ずるというふうに明記をされているわけでございますが、報告書が正式にあった場合に、私立大学等経常費補助金の交付をしない、あるいはさかのぼってそれを返還をするというようなことになると理解をしてよろしいんでしょうか。

○副大臣(岸田文雄君)
 これから提出される報告書、あるいは今回の所得隠しについての捜査等を踏まえて、我々としてはあらゆる限り厳正に対応しなければいけないというふうに思っております。ですから、その対応の仕方としまして、御指摘のようなことも可能性としてはあり得ると考えております。

○鈴木 寛
 少し、この帝京グループに対する国庫補助金、これについては資料請求、金曜日というところなのに、非常に時間のない中で速やかに資料を出していただきましたことについては努力を多とするわけでございますが、いただいた資料によりますと、平成十三年度、帝京グループ関連の大学に十億円、十一億円弱、それからいわゆる高等学校とか中学校とか幼稚園ですね、大学以外に対して二十五億円、合わせて三十五億円平成十三年度で交付をされているというふうな資料をいただいております。
 少し年度をさかのぼりますと、平成十二年が大学だけで二十七億円、平成十一年度が三十七億円、それから平成十年度二十六億円という大変に多額な補助金が、毎年大学だけでも二十億から三十億台にわたる、そして高等学校、中学校、幼稚園につきましては加えて大体二十五億円ぐらいの、総計でいいますと五十億ぐらいの補助金が出ているわけでございますが。
 聞くところによりますと、これもいただいた資料でございますが、平成十三年度分については、学校法人帝京大学から、「今回の問題で世間を騒がせたということに対する自粛の念と、」云々ということをもって平成十三年度の私立大学の下記補助金について御辞退申し上げますという書類をいただきましたが、今申し上げましたこの平成十三年の十億分についてはいわゆる辞退がなされたといいますか、返還がなされたというふうな理解でよろしいんでしょうか。

○政府参考人(工藤智規君)
 今お話しのグループというのをどうとらえるかあるんでございますけれども、冲永氏あるいはその親族の方々が関係していらっしゃる学校法人全体を挙げると、平成十三年度十億余りの助成金が出ているわけでございますが、昨年秋にこの疑惑が報道されまして、それ以来私ども事実の究明に努めているところでございますが、これまでの経緯は、大学名としては帝京大学についての疑惑が中心でございましたものですから、大学側からも帝京大学にかかわる十三年度の年度末に交付される補助金についての辞退があって、他については特にお申出がなかったところでございます。

○鈴木 寛
 そうしますと、確認でございますが、十億円、要するに十億九千百七十八万五千円だと思いますが、それ全額ではなくて、学校法人帝京大学分で申し上げますと、これは四億七千四百万ですかね、その部分だけが返還がなされたということで理解をしていいのかどうかということでございます。
 それと、もう一点御質問をしたいのは、「今回の問題で世間を騒がせたということに対する自粛の念」という表現があるわけでありますが、これだけ読みますと、「今回の問題で世間を騒がせた」というのは、どういう問題がどのように世間を騒がせたと文部省が御認識をしておられるのか、再度その内容について御説明をいただきたいというふうに思います。

○政府参考人(工藤智規君)
 昨年秋に新聞等に報じられまして、また国会でも度々御質問あったわけでございますが、帝京大学の医学部の入学に係る寄附金の収受が不適切に行われていたのではないかということでございまして、今のお話の世間をお騒がせした云々のお話は、まだ調査の途上であるけれども、結論が出ていない段階ではありますけれども、結論を出すにはちょっと時間が掛かりそうなんで辞退したいという趣旨と受け取ってございます。
 金額的には、帝京大学全体について十三年度に見込まれておりました経常費の補助金、全体は十五億余りなのでございますけれども、そのうち、これは、補助金は一次交付と二次交付というのがございまして、年度末に二次交付するのでございますけれども、既に交付されておりました四億七千万余のほかに年度末に十億余りの私学助成、経常費補助金が予定されておりましたけれども、この後期分を辞退されたということでございまして、四億七千万は既に交付されております。

○鈴木 寛
 そうしますと、もう一度戻りますけれども、いわゆる通知違反があったということが明確になってということになれば、既に交付されてまだ返ってきていない十三年度分の四億七千万、要するに十三年度すべて交付された金額ですね、まだ交付されたままでそのまま返ってきていないものが数億あると。
 それから、これも文部省から御説明を金曜日いただきましたところによりますと、この寄附金をめぐる疑惑といいますのは七年間続いていたと、こういうことになりますから、そうしますと、平成七年から七年間、平成十三年度までのこの交付額全部について少なくとも精査をし、そして返還を求めるということが筋だというふうに理解をするわけでありますが、そういう理解でよろしいんでしょうか。

○政府参考人(工藤智規君)
 新聞等で報じられ、あるいは国税当局で認定された不正脱税行為に係る事実は、過去七年ほどさかのぼるようでございます。そのうち一部、先ほど副大臣の方から御答弁申し上げましたように、入試に絡んで一部不正な収受があったという認定がございましたので、それがどの程度のものなのか、報告を待たなきゃいけない部分もございますけれども、その内容次第によっては、事帝京大学だけのことに限られるのか、他のいわゆるグループの機関にまで及ぶのかございますし、それを含めて精査しなきゃいけないと思ってございます。
 それから、年限については、過去七年間、できるだけ私どももそういう事実については確認したいと思いますけれども、国の金銭債権の時効等との関係あるいは帳簿処理、大体五年保存なものでございますから、過去に同様のケースでの事例は、最大さかのぼりましたのは今までで五年まででございます。それも含めまして、実際の報告書を精査し、事実関係を究明しながら適切に対処してまいりたいと思っております。

○鈴木 寛
 これもお尋ねに答えていただきまして我々承知したわけでありますが、文部科学省のOBの方が学校法人帝京大学グループ及び関連の財団に行っておられるというようなことでございます。
 私どもの同僚の木下衆議院議員が以前お尋ねしたときは五名だったわけでありますが、恐らくその後に御退職されて、現在は三名の方がいらっしゃると、こういう話でありますが、いただいた資料によりますと、帝京大学グループ及び関連財団の要請に基づき再就職をされたと、こういうことになっておりますが、どういう趣旨でどういう御要請をされて、どういう選考基準といいますか、考え方の下に今の三名の方が行っておられるのかということについての経過、経緯についてお話をいただければと思います。

○政府参考人(結城章夫君)
 文部科学省の職員が私立大学などに再就職する場はいろいろございますが、例えば国立大学の教官が定年退職をいたしまして自分で応募をして、例えばこの場合ですと帝京大学の教官になるというようなケースはこれは別にいたしますが、これはちょっと今のお話には当たらないと思っておりますけれども、旧文部省あるいは現在の文部科学省といたしまして、帝京大学のグループの方からこういうポストに旧文部省あるいは文部科学省のOBで適当な人があれば受け入れたいという要請があり、その要請に基づいて私どもの人事当局が適当な職員を紹介し、再就職に至ったというようなことが昭和六十年からございます。
 それが大学だけですと五人でございますけれども、延べ数で五人でございますが、今回、関連の財団まで含めて調べろということでございましたので、関連の財団まで含めますと、延べ数で六名の者がそういう形で帝京大学グループの大学なり財団法人なりに再就職をしております。そのうち、現在も在職しておる者がそのうちの三名ということでございます。

○鈴木 寛
 副大臣にお尋ねをさせていただきたいんですが、昭和六十年から文部省のOBの方が何らかの形で帝京大学の事務局、事務職員という形で入っておられる。その間、昭和五十六年の通達もありながら、そして報道が事実であるとすれば、この七年間そうした通知違反の実態が行われていた可能性が非常に高い。それは七月十五日に提出される報告書によって明らかになるんだと思いますが、この件についての文部省の監督責任、あるいは正にOBをも送りながらそういう実態が七年間も続いていたということについての文部省の責任といいますか、これから明らかにしていく部分もあると思いますけれども、取りあえずの御所見をお伺いをいたしたいと思います。

○副大臣(岸田文雄君)
 まず、今回の寄附金問題につきましては、調査報告書の内容あるいは交付税等の調査等を踏まえまして、まず厳正に対応しなければいけないと思っております。補助金の返還も含めて、これはあらゆる手段を検討しなければいけないとまず考えております。
 そして、ただ、今御指摘いただきました人事の面でありますけれども、文部科学省としましては、これは従来から、帝京大学のみならず、あらゆる私立大学より職員の採用が要請あった場合は、できるだけその要請にこたえて再就職希望者を紹介してきているということであります。
 そういった状況でありますので、この帝京、今回の問題とOBの派遣の問題、これは必ずしも直接に関連するものではないというふうに認識しております。それぞれやはり厳正に、不都合がないのか、対応すべきものだというふうに考えております。

○鈴木 寛
 今の問題については七月十五日にまた報告書が出てきたところでいろいろ御議論をさせていただきたいと思いますが、少し、私も是非これは、医学部の経営に非常にお金が掛かって、あるいは教育にお金が掛かって寄附金が必要だということは私も十分に理解をしているつもりでございますが、この五十六年の通知の趣旨も、寄附金の収受と入学者の選抜ということがリンクしてはいけない、こういうことなんだろうというふうに思います。
 私からの御提案とそれから七月十五日の報告書提出に向けてのお願い、要請でございますが、要するに、その学校法人がだれから幾ら寄附金をもらっているかということを、学校法人というのは正に税金が入っている公の器、公器でございますから、そして帝京大学だけでも年間グループ全体でいえば五十億、七年間でいえば三百五十億というお金が入っているわけでございますから、やはりそうしただれからどういうふうな寄附がなされているのか。正に最近は、やっぱりすべてを透明にして、トランスペアレントにして、そしてパブリックプレッシャーでもって適正なガバナンスを図っていくというのがこれ最近の傾向といいますか、我々が目指すべき二十一世紀の行政だと思いますので、再度繰り返しますが、是非帝京大学に対してだれからどういう寄附があったのかという実態を文部省が把握をしていただいて、そしてできますならばそれを世間に公表するということについて御検討をいただきたい。
 それから、制度的な御提案といたしましては、学校法人が受けている寄附、だれから幾ら受けているのか、どういう目的でということでも結構だと思いますが、そうしたことをより把握をされて、そしてむしろ積極的に公開をしていく。
 アメリカなんかはその寄附者の、ドネーションしてくれた人の名前を冠して図書館とか研究室とかできているぐらい、大学に寄附をするということは非常に名誉なことでありまして、そのことを世の中にどんどんどんどん積極的に発表をしていくという制度といいますか文化というのはアメリカで十分定着して、これはこういうことが日本でも行われたらいいと思いますので、今申し上げた学校法人に対する寄附、これをトランスペアレントにするということはいろんな意味でいいことではないかというふうに思っておりますが、そうした政策論についての御検討をいただけないかどうかということについての御所見をいただきたいと思います。

○副大臣(岸田文雄君)
 まず最初の、帝京大学の調査報告書についてでありますが、それにつきましては、入学者選抜の公正を確保する観点から、合格発表前に寄附金を収受することを禁じているわけであります。ですから、このような寄附金に該当するか否かを判断するためには、その寄附金の入金時期を確認するということ、これは大変重要だと思っております。ですから、今回の報告に当たりましても、その寄附の時期あるいは金額、これについては明らかにするよう求めなければいけないというふうに思っています。
 ただ、御指摘の寄附者の名前、個人名につきましては、プライバシーの問題等もあり、それを明らかにすることについては意見が分かれるところだというふうに認識しております。
 それから二点目の、私立大学全般に対する寄附の在り方についての調査でありますが、御指摘の趣旨は分かりますが、文部科学省として、権限として、制度としてどこまでその実態を把握し調査する権限、能力を持っているかという点があります。実態を把握すること、あるいは明確化していくこと、この重要性は認識いたしますが、文部科学省として何ができるのか、これについてはちょっと考えてみなければいけないと思っています。

○鈴木 寛
 この問題につきましては、また正確な報告書が出た段階で引き続き民主党としてもいろいろな質疑を深めさせていただきたいと思いますが。
 先ほど、幾つかだけ御指摘をさせていただきたいんですが、入金時期といいますのは、その入金時期をいわゆる合格者決定後にするというのは、これは普通、常識的にはそういうふうにするわけでありまして、しり抜けといいますか脱法をされる可能性というのは大いに高いなということを常識的に推測をせざるを得ないわけでありまして、やはり本当に実質的に、そうした寄附金と入学者選考とのリンクというものを形式的に絶つということじゃなくて、実質的に絶って、そして本当にまじめに勉強された方がきちっと入学をされて、そして適正な教育を受けて将来お医者さんになる、我々の命を預かっていただくお医者さんになる、こういう若者を養成をするということであり育成をするということでありますから、ここはやはり名実ともにきちっとやっていただくという姿勢を是非お示しをいただきたいということでございます。
 それからもう一つ、プライバシーというお話がございましたが、しかし先ほど御説明を申し上げさせていただきましたように、この七年間でも三百億円とか数百億円の我々の税金がこのグループに入っているわけですね。そのことは是非、単なる任意の、あるいは民間の団体の話ではないんだと、我々の本当に血税が二百億も不適切に交付をされていたかもしれないと、そういう実態に我々は直面をしているわけでありまして、そのことをどう乗り越えていくのかと。
 正にパブリックプレッシャーというものを使いながら、世論というものを使いながら、トランスペアレンシーということを使いながら適正化していこうと、こういうことについての御提案でございましたので、それを単にプライバシーということだけで済む問題ではないんではないか……

○委員長(森本晃司君)
 鈴木君、時間が参りました。

○鈴木 寛
 というふうなことだけ御指摘させていただきまして、次回以降の、ほかの委員会も含めた衆参での民主党のこの問題についての質問の皮切りとさせていただきます。
 どうもありがとうございました。


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