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 本会議初登壇!ロースクール設置に関して、、、

2002年11月13日 

○議長(倉田寛之君) 森山法務大臣。
   〔国務大臣森山眞弓君登壇、拍手〕

○国務大臣(森山眞弓君) まず、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 我が国においては、国の規制の撤廃又は緩和の一層の進展等の内外の社会経済情勢の変化に伴い、法及び司法の果たすべき役割がより重要なものとなり、多様かつ広範な国民の要請にこたえることができる多数の優れた法曹が求められております。この法律案は、このような状況にかんがみ、法曹養成の基本理念並びに法曹養成のための中核的な教育機関としての法科大学院における教育の充実、法科大学院における教育と司法試験及び司法修習生の修習との有機的連携の確保に関する事項その他の基本となる事項を定めることにより、高度の専門的な能力及び優れた資質を有する多数の法曹の養成を図ることを目的とするものであります。
 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、法曹の養成は、国の機関、大学その他の法曹の養成に関係する機関の密接な連携の下に、法科大学院において、入学者の適性の適確な評価及び多様性の確保に配慮した公平な入学者選抜を行い、少人数による密度の高い授業により、将来の法曹としての実務に必要な学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を涵養するための理論的かつ実践的な教育を体系的に実施し、その上で厳格な成績評価及び修了認定を行うこととするとともに、法科大学院における教育との有機的連携の下に、司法試験において、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかの判定を行うこととし、司法修習生の修習において、裁判官、検察官又は弁護士としての実務に必要な能力を修得させることを基本として行われるものとしております。
 第二に、法曹の養成に関する国の責務について所要の規定を置くとともに、国又は政府が必要な施策等を講じなければならないものとしております。
 第三に、法科大学院の教育の充実に関する大学の責務及び法科大学院の教育研究活動の状況についての適格認定について所要の規定を置いております。
 第四に、法務大臣及び文部科学大臣は、法科大学院における教育の充実及び法科大学院における教育と司法試験との有機的連携の確保を図るため、相互に協力しなければならないものとし、両大臣の関係について所要の規定を置いております。
 次に、司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 我が国においては、内外の社会経済情勢の変化に伴い、司法の果たすべき役割がより重要なものとなり、多様かつ広範な国民の要請にこたえることができる多数の優れた法曹が求められています。この法律案は、このような状況にかんがみ、法科大学院における教育と司法試験及び司法修習生の修習との有機的連携を図るため、司法試験について、法科大学院の課程を修了した者等にその受験資格を認めることとし、試験の方法、試験科目等を改めるほか、試験の実施等を所掌する機関として法曹及び学識経験者により構成される司法試験委員会を設置する等の措置を講ずるとともに、司法修習生の修習について、その期間を少なくとも一年とすることを目的とするものであります。
 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、司法試験は、法科大学院課程における教育及び司法修習生の修習との有機的連携の下に、短答式及び論文式による筆記試験により行うものとし、試験科目等について所要の規定を置いております。
 第二に、司法試験の受験資格について、法科大学院課程を修了した者及び司法試験予備試験合格者が司法試験を受けることができるものとした上で、受験期間、受験回数等について所要の規定を置いております。
 第三に、司法試験予備試験について、法科大学院課程の修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的として行うものとし、試験科目等について所要の規定を置いております。
 第四に、法務省に、裁判官、検察官、弁護士及び学識経験を有する者をもって組織される司法試験委員会を置き、司法試験及び司法試験予備試験を実施するほか、法務大臣の諮問に応じ、司法試験及び予備試験の実施に関する重要事項の調査審議などを行うものとするとともに、司法試験委員会に、司法試験及び司法試験予備試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため、司法試験考査委員及び司法試験予備試験考査委員を置くものとし、所掌事務等について所要の規定を置いております。
 第五に、司法修習生の修習期間を少なくとも一年に短縮するものとしております。
 以上が、この両法律案の趣旨であります。(拍手)


○議長(倉田寛之君) 遠山文部科学大臣。
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕

○国務大臣(遠山敦子君) 学校教育法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 大学の特性を尊重するとともに、規制改革の流れを踏まえ、各大学の教育研究水準の向上とそのための主体的な取組の促進を図るため、大学の設置認可制度を弾力化し、あわせて、第三者評価制度の導入及び違法状態の大学に対する是正措置の整備を行う必要があります。
 また、大学院において、社会的、国際的に活躍できる高度専門職業人の養成を促進するため、法科大学院などの専門職大学院制度を整備する必要があります。
 この法律案は、このような観点から、第一に、文部科学大臣の認可が必要とされている大学の学部の設置等について、大学が授与する学位の種類及び分野の変更を伴わないなどの場合には認可を要せず、届出で足りることとするものであります。
 第二に、各大学が、その教育研究水準の向上を図るため、教育研究等の状況について定期的に評価機関による評価を受けることとし、あわせて、これらの評価を行う評価機関に対する文部科学大臣の認証等に関する規定を整備するものであります。
 第三に、違法状態の大学に対する文部科学大臣の措置として、改善勧告等の段階的な是正措置を整備するものであります。
 第四に、大学院の目的として、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うことを明らかにするとともに、大学院のうち、これを目的とするものを専門職大学院とし、その修了者には新たな学位を授与することとするものであります。
 このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)


○議長(倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。鈴木 寛 君。
   〔鈴木 寛 君登壇、拍手〕

○鈴木 寛 民主党の鈴木 寛でございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、学校教育法の一部を改正する法律案、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案、司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 昨今の日本においては、国民の皆様方の生命と財産と尊厳が日々脅かされております。金融政策の誤りにより、多くの中小企業の皆さんが不当にも事業と無関係な個人の生活財産まで取り立てられております。それが引き金となって自ら命を落とす方々も少なくありません。社会政策の遅れにより、犯罪が急増し、多くの市民がいわれなき犯罪に巻き込まれております。外交・治安政策の欠如により、数十名もの方々が突然拉致されたまま、二十年以上もの時間が経過してしまいました。
 このように、ありとあらゆる分野で問題が続発し、そして山積している原因は何か。それは、日本社会から真理が隠ぺいされ、正義と自由が失われてしまった、そのことが最大の理由だと考えます。
 正義と自由の実現、その最後のとりでが司法でありますから、日本の再生は司法改革抜きに語ることはできません。
 政治改革、行政改革、そのいずれもが司法改革と表裏一体の関係にあります。政官業癒着構造が是正されないのも司法によるチェックが不十分な結果でもありますし、行政改革も事前規制・調整型社会から事後監視・救済型社会への転換を図ることによって初めて成就いたします。
 例えば、違憲状態の一票の格差について、立法府の不作為を司法がもっと早くから毅然としてその是正を迫り続けていたならば、一票の重さの平等が実現されていたはずであります。そうすれば、民意が正確に反映される公正な選挙制度が確立し、国民の皆様方からお預かりをしている税金を、不要な公共事業にではなく、人づくり、知恵づくりなど、次世代のために使うことを是とする議員が過半数を占め、我が国のような、今日のような低迷に陥ることはなかったのであります。
 また、もしも裁判がもっと短期間に、そして余りコストを要せずに行われ、個々の権利回復が速やかに実現されたならば、人々は裁判制度にもっと厚い信頼を寄せたはずでありますから、事前規制、事前調整を口実に、行政が規制を乱造したり、民間活動へ過剰に介入したり、そうしたことが肥大することもありませんでした。それに伴い、口利き政治も減ったはずであります。
 こうした司法の機能不全によって、日本社会はいまだにひずんだままの状態にあります。私は、司法改革とは、我が国に正義と自由を再び取り戻し、そして真っ当で納得のいく日本社会を再生していくための創造的挑戦であると認識しておりますが、まず、司法改革の意義について、法務大臣の御所見を伺いたいと思います。
 さて、今国会では、司法の人的基盤整備の在り方について活発な議論が始まっています。正に、司法は人なりであります。法曹の質と量を充実させていくことこそが司法改革の核心でありますが、現在の司法試験が正義と自由を担う法曹を選考するという観点からかなり破綻しつつあることは衆目が一致するところであります。
 その最大の原因は、合格率二・九%、合格者平均年齢二十七・四歳、平均受験期間五・二年間という司法試験の超難関ぶりにあります。
 私自身も最近まで大学で教鞭を執っておりましたが、今の大学ではダブルスクールという言葉が当たり前のように使われております。つまり、法曹を目指す学生は、大学に入学するや否や司法試験予備校にも入学いたします。大学にはほとんど登校せず、日夜、予備校に通い続けるのであります。平均合格年齢が二十七・四歳でありますから、約十年間にもわたり、一発試験の合格するための受験テクニックの習得に励むということになってしまいます。そうした学生の多くは、キャンパスライフを謳歌することも、学問的な思索にふけることも、幅広い教養を身に付けることも、そして社会の不正義をかいま見ることも、人々との交流を通じ人格を陶冶することも、結局、後回しとなってしまいます。まして、自由と正義について恩師や学友たちと論じ合う余裕などほとんどありません。これが現在の法曹予備軍の残念な実態であります。
 受験生の名誉のために申し上げておきますが、彼ら、彼女らは、元来、法曹への強い志と問題意識を持った若者であります。しかし、その夢を早く実現したいと思えば、ひずんだ司法試験制度の下で偏った学生生活を送らざるを得ない。受験生に全くの非はありません。すべてはゆがんだ司法試験を実施してきた政治の責任であります。
 法務大臣に質問いたします。このような実態が今回の法曹養成制度の改革によって具体的にどのように改善をされるのか、お答えをいただきたいと思います。
 法科大学院中心のプロセス重視の教育に踏み出すことは、私もその成果を期待いたします。しかし、少人数クラスによる充実した教育はそれ相当のコストも掛かります。そのコストをだれがどのように負担していくかについては十分な検討と具体的な手当てが必要であります。法曹養成に掛かる社会コストの負担の在り方は、司法制度の根幹にかかわる問題でありますから、その基本的考え方について、まず法務大臣の御所見を伺います。
 私立大学系のロースクールの場合、その授業料は年間二百万円とも三百万円になるとも言われておりますが、経済的理由によって多くの方々が法曹への道を断念せざるを得なくなるとすれば、これは誠にゆゆしき問題であります。私は、以前より、高等教育全般における希望者全員奨学金制度の実現を主張してまいりましたが、特に、法科大学院で学ぶ学生については、希望者全員への奨学金の交付、そして一人当たり奨学金枠の大幅増額、さらに、給付型奨学金の導入、教育ローンに対する政府保証の実施、以上の四点について、早急な検討と実施を政府に強く求めますが、文部科学大臣の御決意と、財務大臣の御所見を伺いたいと思います。
 次に、ロースクールの独立性について質問いたします。
 法曹養成の中核となる法科大学院の所管をめぐり大論争が起こっております。すなわち、司法の独立性を確保する観点から、法科大学院は、現在、最高裁判所に置かれている司法研修所の附属機関とすべきであって、文部科学省の所掌とすべきではないという有力な反論が寄せられております。
 法曹教育をだれがその責任を持って行うかという議論は、明治十七年、それまで司法省にあった法学校を東京法学校として文部省に移管し、東京大学法学部に合併して以来、学制の大改革が行われるたびに議論となる大テーマであります。
 私自身は、これからの法曹人の養成には、複雑化する現代社会についての理解と洞察、先端的かつ基礎的な法理論についての探求と習熟、経済、医療、科学技術、環境、教育など、関連の深い学識と情報編集力の習得が特に必要とされますことから、ロースクールは大学に設置することが望ましいとの立場に立ってはおりますが、文部科学省の介入を危惧する声には大いに共感を覚えます。
 米国ではこの種の懸念を全く耳にしないのに、我が国においてなぜこのようなことが問題となるのでしょうか。それは、大学への文部科学省の関与、介入が甚だしいからであります。私は、当選以来、文部科学省に対し、法科大学院はもとより、大学全体に対する文部科学省の管理監督的姿勢を改め、大学の自治、各大学の創意工夫に基づく自主的な運営を最大限尊重する新たな大学政策の立案を提案し続けてまいりました。
 法科大学院への文部科学省の過剰介入に対する懸念を払拭するためにも、この際、大学の独立自尊を重視する大学行政に方向転換すべきだと考えますが、この点について、学校教育法改正の基本理念を文部科学大臣にお尋ねをいたします。
 今回の改正案では、一定の要件を満たす学部・学科等の設置が認可制から届出制に移行することになっております。この点は半歩前進だと考えますが、文部行政の窓口をよく知る方々からは、届出制とは名ばかりで、運用の実態は認可制と結局変わらないのではないかとの心配が私の耳に届いております。
 さらに、改正案では、第三者評価機関の設置が予定されております。この制度が文言どおり運用されたならば各大学の創意に満ちた努力の活発化が期待されますが、これも第三者機関とは名ばかりで、文部科学省の隠れみのになるのではないかとの懸念が広がっております。
 こうした関係者の声を踏まえ、私は文部科学大臣に対し、法運用の実態についても実質的な改善が図られるよう窓口を強く指導監督すること、そして、大学評価機関の独立性を実質的にきちっと担保すること、それから、複数の評価機関が多様な評価を行い、社会全体として質の高い大学評価が実現されるよう努めること、以上の三点を文部省に強く求めますが、それぞれについての御答弁を求めます。
 一方、今回の法案においては、専門職大学院の教育内容について、法務大臣の関与が法律上位置付けられております。このことは、高度専門職という限定はあれど、文部科学省以外の省庁の大学教育への関与に新たに道を開くものであり、これは昭和二十四年の新制大学制度発足以来の基本方針を変更するものであります。
 例えば、今回の考え方を展開していきますと、医師の教育と医師国家試験との連携という観点から、厚生大臣が大学教育に関与するということも可能性としては考えられます。医師以外にも、弁理士、公認会計士、薬剤師など、国家が資格付与をする高度専門職はほかにもありますが、これら国が資格付与を行う高度専門職の養成に関して、関係大臣の大学教育への関与の在り方について、この際、大変重要な問題でありますから、基本的考え方を明確に整理しておくべきだと私は考えます。文部科学大臣の見解をきちっとお聞かせをいただきたいと思います。さらに、その際、各省庁からの介入に対し、いかに大学の自治と自主性を確保していくのかということについてもきちっとお答えをいただきたいと思います。
 日本の再生のかぎは、正義と自由と真理を真摯に探求し、勇気を持って具体化する独立自尊の人材をどれだけ育成し、そして登用していけるか否かに懸かっています。そのためには、そうした人材養成の中心的役割を担う大学と、正義と自由の牙城である司法が、独立と自治が確保され、さらに、それぞれの自発的で創意に満ちた努力と、在野の市民社会からの強い支援と協力によって、よりたくましく進化、成長していくことが何よりも重要であります。そのための英断と行動を国会が率先して行うことを議場の皆様方と確認し合い、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣森山眞弓君登壇、拍手〕

○国務大臣(森山眞弓君) 鈴木議員にお答え申し上げます。
 司法制度改革の意義についてというお尋ねでございました。
 鈴木議員御自身がおっしゃいましたとおり、自由かつ公正で活力にあふれる社会を築く上で、司法は不可欠の役割を担っていると思います。また、いわゆる事前規制型社会から事後監視型社会への転換等に伴い、これからの我が国社会において司法の果たすべき役割は一層重要なものになっていると考えられます。
 そこで、今般の司法制度改革におきましては、裁判の充実、迅速化等の国民の期待にこたえる司法制度の構築、国民の要請にこたえ得る質、量ともに豊かな法曹の養成等の人的基盤の拡充並びに国民の司法参加等の国民的基盤の確立を改革の三つの柱として、その実現に向けて取り組んでいるところでございます。
 これにより、努力が報われ再挑戦できる社会にふさわしい、国民にとって身近で頼りがいのある司法制度を構築するという意味で、現在、政府が総力を挙げて取り組んでいる構造改革の基盤を成すものと考えております。
 司法試験と法曹養成の在り方についてお尋ねがありました。
 現在の司法試験は、鈴木議員も言われましたように、その合格率が二、三%と極めて難しい試験となっていることもありまして、受験生が受験勉強にのみ力を注ぎ、豊かな人格の形成が阻害されたり、いわゆるダブルスクール化が進行したりしているといった点が指摘されております。
 このような状況を踏まえ、新しい法曹養成制度においては、法科大学院を中核的な教育機関と位置付け、法科大学院において法理論教育のみならず実務的な教育をも併せて行うことなどにより、専門的な法律知識や実務の基礎的素養の修得を図ることとしております。
 そして、法科大学院修了者に司法試験の受験資格を認め、その内容についても法科大学院の教育を踏まえたものとすることによって、司法試験という点のみによる選抜から法科大学院を中核とするプロセスによる選抜に改め、こうしたプロセスを通じ、幅広い教養や豊かな人間性等を涵養し、質、量ともに豊かな法曹を養成することとしております。
 新たな法曹養成制度の社会コストの負担の在り方についてお尋ねがございました。
 新たな法曹養成制度は、国民にとって身近で頼りがいのある司法制度を構築するため、質、量ともに豊かな法曹を養成しようとするものであり、その基盤を整備するためには一定の社会的コストが発生することは避けられないものと考えております。
 そのような社会的コストについては、政府による財政措置のみならず、法曹を目指す者にも相当の負担が求められるものと考えられますが、特に、資力の十分でない者が法曹となる道を閉ざされることのないように、奨学金を始めとする各種の支援制度を充実させる必要があると考えており、関係省庁等の御理解と御協力を得るべく努力する所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕

○国務大臣(遠山敦子君) 鈴木 寛議員の御質問にお答えいたします。
 議員からは、私に七点について御質問がありました。
 まず初めに、法科大学院で学ぶ学生への支援の充実策についてでありますが、法科大学院の学生に対しても、経済的理由によって学ぶ機会が失われることのないよう、授業料負担の軽減のための支援策等が必要と認識しており、今後、我が省としても、奨学金の充実に努めるとともに、関係機関とも相談しながら各種ローンの充実など、多元的な検討が必要と考えております。
 なお、日本育英会の奨学金は、限られた財源の効果的活用や、返還を通じた学生の自立心育成等の教育効果も考慮し、制度創設以来、貸与制で事業を実施してきております。
 法科大学院は平成十六年四月の発足であり、来年夏の概算要求時までに学生支援の充実策を更に検討してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、大学の自主性尊重の観点からの学校教育法改正の理念についてのお尋ねですが、今回の法改正は、大学の質の向上に対する社会的要請の高まりや、事前規制から事後チェックへとの規制改革の流れ等を踏まえ、大学の自主性を尊重した新たな質の保証と向上のためのシステムを構築するものであります。すなわち、設置認可の弾力化により、一層の機動的、主体的な組織改編を可能にするとともに、第三者評価により、大学が自ら主体的に教育研究水準の改善を図ることを促進しようとするものでございます。
 また、設置認可制度の運用に当たり、実質的な改善が図られるよう窓口を指導監督すべきとの御指摘でありますが、今回、一定のものについて認可を要せず、届出で足りるとした趣旨に沿って取り扱うことはもちろん、具体の運用に当たっては、行政による恣意的なものとならないよう遺憾なきを期してまいります。そのため、基準や審議会による審査の手続を明確にするとともに、当然ながら担当者にも指導を徹底いたします。
 さらに、第三者評価制度について、大学評価機関の独立性を実質的に担保すべきとの御指摘でありますが、今回の認証評価制度は、国から一定の距離を置いた認証評価機関が責任を持って主体的に評価を行うものであり、評価基準についても評価機関自らが定めることとしております。また、評価機関の認証につきましては、一定基準を満たすものであれば関係の審議会に諮って認証されるものであり、行政が恣意的に判断する余地はございません。このように、認証評価機関が独立性を持って自律的に評価を行う制度といたしております。
 同じく、第三者評価制度について、複数の評価機関が多様な観点から独自評価を行い、全体として質の高い大学評価の実施をとの御指摘でありますが、認証評価機関の認証は、一定基準に適合していさえすれば行われるものであり、多様な機関の参入を歓迎する仕組みといたしております。複数の認証評価機関がそれぞれ特色を出しつつ、多元的な観点から評価活動を展開することにより、評価機関相互に切磋琢磨しつつ、その評価内容等の向上が図られることを期待いたしております。
 次に、国が資格付与を行う高度専門職業人の養成に関し、関係大臣の大学教育への関与の在り方について、基本的な考え方を明確に整理すべきとの御指摘についてでありますが、法科大学院については、大学教育と司法試験等との有機的連携により、プロセスとしての法曹養成という新たなシステムを構築するという特別の事情が存在するものであります。このため、法務大臣と文部科学大臣が相互に協力してより良い法科大学院を作ることを目的とする仕組みを整備しようとするものでございます。
 今回提出の連携法案は、司法制度という三権分立の一翼を担う法曹養成に係る大改革に当たり、万全を期すための特例措置等を定めるものでありまして、今後、他の職種について同様の措置を設けることは考えておりません。
 最後に、大学の自治、自主性の確保についてのお尋ねでありますが、今回提出の連携法案において、大学における教育の特性に配慮しなければならない旨が定められているとおり、政府として、大学における学問の自由、大学の自治を尊重しなければならないものと考えております。大学の自主性の尊重は、他の職業資格と大学教育との連携が必要な場合についても当然の前提であると考えているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕

○国務大臣(塩川正十郎君) 奨学資金についてのお尋ねでございまして、遠山大臣からほぼ概要はお答えになりましたので、重複は避けて補足だけさしていただきたいと存じます。
 おっしゃるように、希望される方は全員奨学資金が当たるようにいたしたいと、鋭意、充実に努力いたしたいと思っております。
 それから、一人当たりの奨学資金の大幅の増額ということでございますけれども、現在、月大体大学院生に対しまして十三万円支給いたしておりますが、この点につきまして、必要あれば検討もいたしたいと思っております。
 なお、支給についてでございますけれども、給付型と貸付型とございまして、今、鈴木さんのおっしゃるのは給付型を増やせということでございますけれども、しかし、考えてみますと、法曹に関係される方は国のエリートの方でございますから、社会的に、経済的に相当恵まれた立場にある方でございますから、その将来を思いますならば、給付型ではなくて貸付型がいいのが当然であると。いわゆる原因者負担をしてもらうという意味におきまして、給付型ではなくして貸付型をしていただくということにいたしたいと思って、これを充実いたしたいと思っております。
 それから、教育ローンについての政府保証ということでございますけれども、これは政府保証をするほどのことではなく、十分に民間の金融機関は法曹の方に対する将来の大きい期待を持っておりますから、そういう政府が保証しなくても、民間金融機関が積極的に努力をしてこの分野を開拓していくであろうと思っております。私たちも期待しております。
 以上です。(拍手)

○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。


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