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 憲法調査会  平和主義と安全保障について〜

2004年02月18日 


○会長(上杉光弘君)

 日本国憲法に関する調査を議題といたします。
 本日は、「平和主義と安全保障」のうち、「憲法と集団安全保障、集団的自衛権、日米安保」について、参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。《一部略》

 〜中略〜

○鈴木 寛
 民主党の鈴木寛でございます。
 私は、このたび新しくこの調査会の幹事にさせていただきましたが、この参議院の憲法調査会のそもそもの役割といいますか意義は、従来言い尽くされてきた憲法論議をここで反復するということではなくて、もちろんその整理は必要であると思いますけれども、むしろ、今までどちらかというと議論されてこなかった、あるいは議論が不十分であった新しい論点を抽出をし、さらには新たなアジェンダセッティングをこの日本の世の中に向けて発信をすることだというふうに思っております。
 そういう観点から、今日の参考人質疑は極めて有意義だったというふうに思います。すなわち、三人の参考人、三様の説明の仕方はございましたが、いわゆる集団的自衛権をめぐる政府解釈というものが少なくとも現段階において寿命が来つつあるということについては、かなり統一的な見解であったのではないかなというふうに思います。加えまして、集団的か個別的かという自衛権をめぐる論争のみに終始することということがいかに不毛であるかということも、今日の参考人質疑で明らかになったのではないかという点を私は評価をしたいと思います。
 そして、我々が今後調査会として世の中に問うていきたい問題として、この憲法解釈というものを変えるための具体的な手続論あるいは方法論というものについてもう少し議論の深掘りというものを喚起してもいいのではないかと。そして、その前提として、いわゆる政府解釈という言葉が使われますが、その際の政府というものは何なのかと。
 例えば、政府解釈の後の政権あるいは後の政府についてのいわゆる影響力あるいは拘束力というものについての議論すら我々は整理し切っていないわけでありまして、政府解釈を変更するという極めて重要な統治システムあるいは政策システムというものをきちっとやはり整備をしていかなければいけない。少なくとも、政府に対して、国会としてこの点についてきちっとした議論をし、そして判断を明確に下していかなければいけない。例えば、マニフェストでそのことをうたい、総選挙で勝利し、そして政権を取るということが例えばのいろいろな案の一つにはなろうかと思いますが、そうしたことが明らかになったと思います。
 一方で、いわゆる機能論から考えた、いわゆる従来の国会論争の積み重ねの産物でもありますこの政府解釈の意義でございますが、田岡参考人からお話がございましたように、自衛権を拡大解釈をして行使をする癖がやや強い米国等の外国から日本の第三国への派兵要求があった場合に一定の機能を果たしてきたということが御指摘をされまして、この点は極めて重要な指摘だと思います。
 そうした観点から、九条あるいは九条の条文、そして九条をめぐる解釈あるいは議論というものの意義を再認識をいたしたわけでありますが、この集団的あるいは個別的の議論というものにのみ終始することが不毛となった今日、特に平和主義を標榜し、そして積極的な平和主義国家として日本が今後進んでいかなければいけない場合に、そうした米国等からの第三国への派兵要求に対して自主的な判断を確保するための、従来とは変わるこの憲法を始めとする法的枠組みの在り方ということについて議論を今後更に詰めていくということの必要性を私はこの調査会の皆様方に是非とも御提起を申し上げたいというふうに思います。
 以上であります。


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