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 憲法調査会  平和主義と安全保障

2004年02月25日 


○会長(上杉光弘君)

 ただいまから憲法調査会を開会いたします。
 日本国憲法に関する調査を議題といたします。
 本日は、「平和主義と安全保障」のうち、「憲法と集団安全保障、集団的自衛権、日米安保」について、参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。《一部略》

 〜中略〜

○鈴木 寛
 本日、森本参考人から憲法解釈上いかなる活動が法的に可能かという議論ではなくて、日本の国益とリスクに基づいて憲法議論をすべきであると、しかもその国益とリスクというものをきちっとブレークダウンをし、その内容と優先順位について認識をし議論をすることが大事であるという主張がなされましたが、私もその指摘については強い感銘と共鳴を覚えるものであります。我が憲法調査会の任務も正にこの点にあるということを改めて確認をさせていただきたいと思います。
 さらに、従来は自衛隊の海外派遣についてその都度この特別措置法で行われてきたけれども、我が国が実力部隊を用いて海外で国際貢献活動をする場合の基準をあらかじめきちっと議論をし、法体系を整備をするという御指摘がございました。この点もその趣旨においては私も賛同をするわけでありますが、しかしその際に正にセルフディフェンスを名乗る自衛隊がその活動の主体にアプリオリになると考えることについては深い議論が必要ではないかというふうな気がいたしました。ですから、森本参考人の主張に加えて、やはりその組織論、組織体系ということの議論が必要だというふうに思っております。
 ただ、従来は起こってしまった事態に後追い的にこれ対応せざるを得ないというのも、国際的な社会の中で日本の使命としてやむを得ない事情も否定はできない。そういう中で、直ちに活用できる数少ない実力部隊の一つとして自衛隊の機能に着目をし、直面する問題について速やかに結論を出さなければならないという観点から、自衛隊法を特別措置法で任務追加を逐次行ってきたと、そういう立法パターンを取らざるを得なかったということが従来の歴史だったというふうに思います。正にこの繰り返しとそれをめぐる様々な神学論争に終止符を打つというのも、私はこの憲法調査会ないし我々の、今、国会に議席をいただいている者の務めだというふうに感じております。
 それで、私が申し上げたいのは、海外で活動する実力部隊イコール自衛隊という前提について、やはりきちっと論点を明確化した上で議論を深める必要があるというふうに思いますし、そうした論点を提起できるのもこの調査会の非常に重要な仕事だというふうに思っております。そして、正にそうした根本論をやれるのがこの調査会の意味だというふうに思います。特に海外において、海外、国際的な貢献活動を行う部隊というものを自衛隊と別の組織にする、あるいは別の行動原理によって行う、あるいは別の指揮命令系統によって行う、あるいは追加的な国際社会の十分な理解と賛同を得られる手続、フレームワークというものの在り方について、従来のものとどれだけ創意工夫ができるのかということについてきちっと議論をするということは、アジア諸国を始めとする国際社会の十分な理解ということと、それから一方で日本が国際的な貢献活動をきちっとやっていくというこの二つの命題を同時に実現をするという観点から、国益上極めて重要なポイントであるのではないかなということを強く思いまして、この点について調査会でも御議論を深めていただきたいということをお願いを申し上げ、指摘を申し上げたいと思います。
 以上でございます。


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