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 憲法調査会  〜二院制と参議院の在り方に関して

2004年04月14日 


○鈴木 寛
 今日、舛添委員の冒頭の御発言で、参議院と参議院議員をちゃんと区別すべきだという御提案があった。私、全く同感でありまして、民主党というか、恐らくすべての政党において、少なくともその党の政策形成過程において極めて重要な役割を果たしているのは参議院議員であるケースが多くに散見されるということは、これはもう厳然たる事実だというふうに思います。
 その理由をつらつら考えてみますと、やはり参議院議員というのは、地方区、比例ともに数十万ないし百万を超える有権者の具体的な支持をもって選出をされているということと、それから、やはり六年間の確実な任期が保障されていると。やっぱりこのことによって、少なくとも党における政策形成において極めて重要な役割を果たしているということが言えるのではないかと。衆議院は事実上平均三年を切るわけでありますし、有権者から支持されているオーダーも数万の単位であるわけであります。
 そういう意味で、国会の機能がより国民の広範な意見を法律あるいは予算に反映をさせるという観点からしたときに、確かに参議院、院の在り方についていろんな疑義が呈されても、参議院議員の活動が衆議院議員の活動に比して問題であるという議論はないわけであります。
 そういう意味で、正にこういうふうな選出、こういうふうな代表をされ方をしている国会議員というものの存在というものの必要性というのはきちっと我々確認をしておきたいと思いますし、しかしながら、この議論から私が思いますのは、しかし、参議院議員の議事堂外における活動というのはなかなか国民に伝わっていないということもこれ事実であります。そこをどれだけ具体的に伝えるかということとともに、どれだけ制度の中に、もちろんメーンシステム、サブシステム、いろいろ制度、カルチャー、慣例、いろんなことの中で改革というのは行われるわけでありますが、その位置付け論についてはもう少しきちっと検討してもいいのではないかなと。
 すなわち、明らかに日本の政治を語る上で、あるいは現代の政治を語る上で、政党制度あるいは政党の存在というのはもう無視し得ない。その前提に立ったときに、選挙関連法というのは政党助成法を始めとして、政党の存在というものが少なくとも法的な位置付けをもう既に得ているわけであります。しかし、一方で、国会法を始めとする議事法あるいは議事法令、議事規則においてはいまだに院と議員ということしか書いていなくて、しかし、先ほどから松井議員のお話にもありましたように、明らかに議事堂外での活動、これをどういうふうに議事堂内に取り込んでいくのか、あるいは少なくとも政策形成過程の中で何らかフォーマルに位置付けていくということについてもう少し、憲法附属法としての政策形成過程に関与する議事法についての研究というのはやっぱり必要ではないかなということが今日の私の感想であります。
 それから、もう一つ申し上げたいことは、日程を人質に取った日程政治というものについての、何といいますか、無念さといいますか残念さといいますか、ここについての問題意識というのは、恐らく民主党も含めて特に若手はかなりの問題意識を持っていると思います。現に、今国会の前半の国会運営についてはそういうことに対するある種の挑戦というものが行われたと思います。しかしながら、その結果、マスコミはべたなぎと言って、野党がいわゆる野党としての役割を果たしていないという批判につながりました。
 これは、裏返して見ますと、これはやはりこの国会の前半の審議がより広範な民意の反映された議論と、そしてそれの結果としてのより良い法案というものができたかどうかという観点から、やはり不合格だったということなんだろうというふうに思います。
 それで、これは与野党を問わず議論をしたわけでありますが、日程を人質としない、要するに日程政治からの脱却ということを考える上で、それは野党が自発的に試みることであるかもしれませんけれども、そのことを可能にする条件として、やはり実質的により広範な民意の反映されたより充実した議論と、そのことがきちっと法案、予算に反映をされるという何らかの制度的な担保といいますか、制度的な改革といいますか、ということについてのやはり知恵をもう少し出さなきゃいけないし、その点については与党の委員の方々に是非期待をするわけであります。
 といいますのは、やはり十年前、私も行政組織の中にいましたが、明らかに十年前と比べて与党提出、もっと言いますと政府提出法案の法案としてのクオリティーは下がっていると思います。これはどういう観点から下がっているかといいますと、より多面的な考察、検証を経てきているという物差しにおいて下がってきていると思います。それは、正に官僚機構がより広範な民意を集約するという機能を失っているということと、やはり二大政党制を前提としたときに、やはり昔の自民党はかなり広範な支持基盤に立っていましたから、自民党の党内議論の中で相当広範な様々な多角的な議論が出てきて、与党審査の段階でそのことがかなり政府の中で消化されて出てきた。しかしながら、現下の二大政党制の中で、しかも部会というのは一時間とか二時間がせいぜい二回か三回と、こういうことでありますから、そこでの粗ごなしについて、やはりなかなか時間的にも制度的にも、それからそういう支持基盤が半減をしているということからもかなり問題ではないか。更に言うと、実は与党の先生方の中にも、担いでおられる政府提案についてかなりの、何といいますか、不満足な先生方も実は多いのではないかなというふうに思います。
 そこで、もちろんこのことを活性化させる究極のといいますか、極めて本流のソリューションは議員立法をどうするかという問題なわけでありますが、しかしそれは議院内閣制の中でなかなかこれは難しいし、かなりやってきたテーマである。
 御提案を申し上げたいのは、一つの現実的な突破口として、やはり法案の修正協議に対する弾力化、柔軟化ということはかなりこの国会の実質的な審議の活性化という突破口に私はなるというふうに考えています。それで、昨年、一昨年のいろいろな委員会の審議経過を見ていますと、法務委員会というのはやや柔軟であります。これは恐らく、法務省というのは裁判所とか検察官とかの出向人事によって行われていますから、要するにプロパーの役人が必ずしもその担当局長になっていない場合というのはあるわけですね。実は、この辺というのはかなり実質的には意味があるんではないかと。
 要は、ある意味での役人のメンツ、そしてそこを擁護する与党のメンツといいますか、そこに与党の方々がある程度引っ張られて、そして柔軟な修正協議というものに対してやや前例、慣行でもって柔軟性を欠いていると。ここの辺にもう少しいろんな意味での広範な議論を提起させていただいて、私の発言を終わりたいと思います。



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