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 憲法調査会  「二院制のありかた」について

2004年12月01日 


○鈴木寛

 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
  まず、参議院の機能及びその独自性の議論でございますが、私は、公正な社会を作り上げるためには、正に民主主義と立憲主義、この双方のバランスが非常に重要だというふうに思っております。もちろん、立憲主義の実現を主として担うのは裁判所なわけでございますが、立法府にあっては、正に我々参議院がこの立憲主義の実現の一翼を担っていくという意識が重要ではないかなというふうに思っているところでございます。
 その中で、憲法解釈機能について小委員長報告の中にも触れられておりますが、正にこの違憲審査といったことを参議院が担っていくと。その際に、それを担うといったことになった暁には、そのスタッフを含めた陣容の充実ということが極めて重要だというふうに思っております。
 違憲審査のみならず、正にこの政治というのは、政権の獲得ということと政策の立案・実施・評価・改善と、この大きく言うと二つの側面を担っているわけでありますが、当然、参議院はこの後者の政策の立案・実施・評価・改善といったところを担っていくわけでありますけれども、その点に立憲主義的な役割をより発揮をしていくという制度設計が重要ではないかなというふうに思っております。
 それから、長期的な政策課題について参議院で議論をすべきであるといったことは全くそのとおりでございまして、年金、外交案件といったことが例示として挙がっておりますが、例えば教育とか環境とか、その政策の効果というものが極めて長期に及ぶ案件についても、参議院が独自にその役割を発揮すべき分野の例示としてふさわしいのではないかなというふうに考えております。
 それから、選挙制度の在り方の中で、その最後のところに、任期をさらに長期化するとともに再選禁止とすることも一案との指摘があるということをこの報告に盛り込んでいただきましたが、この点を、さらにその真意を詳しく申し上げますと、正に政党と議員個人との関係、さらに申し上げますと、政党から一定の独立性を持った議員個人の活動というものをいかに実質的に確保するかといった観点で、しかしながら、この参議院議員が議員として選出をされる上で、政党の力なくして議員に選出をされるというのは極めて厳しいという現状にかんがみてこのような案が提起をされたということは、背景として御理解をいただきたいと思いますので、あえて付け加えさせていただきました。
 と同時に、現在の選挙制度は、全国の代表は参議院、ブロックの代表は衆議院、そして都道府県の代表は参議院、小選挙区の代表は衆議院と、こういうふうな選出の形態になっているわけでございまして、正にどのような、もちろん国民意思なわけでありますが、国民意思の中でどういった人々の、その中でどのような意思をどういう人に託していくのか、あるいは信託をしていくのか、あるいは代議してもらうのかといったことについてのきちっとした理論的な理念的な整理というものが必要ではないかということでございます。
 そして、ここでは十二分に触れられませんでしたが、やや小委員会の枠を超える話でもありますので、今後の検討としていただきたいと思いますのは、やはり政党の在り方についての議論をきちっとすべきではないかなというふうに思います。
 この小委員会の冒頭にございました意見でございますが、参議院コピー論とか参議院不要論というものを唱える人はいても、参議院議員不要論というのは聞こえてこないと。それはなぜかというと、いずれの政党においても政党の政策立案活動の主翼を担っているのは参議院議員であって、そして、各政党において、各党所属の参議院議員が極めて精力的なその活動をしていることについては何の疑いもないという実態に基づくものでございまして、であれば、現在、国会の立法活動というものが政党における活動を抜きに論じられない現状にかんがみますれば、しかし一方で、政党というものは、政党助成法はございますが、政党法という形ではまだ確立をされておりません。
 正に憲法の統治機構を議論する中で、政党というもののもう既に大きな重要な位置を占めていることをかんがみて、憲法上にきちっとした地位を与え、そして正に公の党として、財政の公開あるいは活動報告の公開義務付けなど、憲法の附属法に準じた政党法の制定について議論をすべきではないかということを申し上げて、私の意見に代えさせていただきたいと思います。
 以上です。



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