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 憲法調査会  二院制のありかたに関する小委員会

2005年02月16日 


○鈴木寛

 今日は二院制、とりわけ選挙制度にかかわるテーマでございますので、その点につきまして私の御意見を申し上げたいと思います。
 いわゆる一票の格差の問題が参議院でも最高裁から提起をされております。この議論の中で、私が是非強調させていただきたいのは、やはりこの一票の格差というのは大変に重い課題であるというふうに思います。もちろん、私は国土の均衡ある発展というのは極めて重要な政策課題の一つだと思っておりますけれども、我々国会が議論をし、そして判断を下していかなければならない重要課題の中に、例えば国民の生命と財産の確保といった問題だとか、あるいはその絡みで申し上げると、例えば生命の尊厳についての法案、あるいは日本が諸外国と安全保障にかかわる問題、こういう問題は我々参議院も当然に国会の一院として判断をしていかなければならない、特にこういう課題は昨今増えているわけであります。
 そうした中で、このようなテーマについて国民の意思が、その生まれた地域、あるいはそこに住んでいる地域によってその意思のウエートに差があるということは、やはり私は重要な問題であるというふうに考えております。
 とりわけ民主主義といいますのは、恐らく二つの理念、すなわち多数決の原理と、そして法の支配あるいは立憲主義と、この二つの原理のバランスと調和によって達成されると思いますが、我々参議院は、特に後段の立憲主義、法の支配、あるいは正義の貫徹といった役割を担っていくべき極めて重要な責務を負っていると思います。
 私は、国土の均衡ある発展も、正に一人一人の方々が等しい、その最低限度の国民生活を送っていく、その正義の貫徹の観点から私は議論をすべき課題でありまして、それは当然、都市部から選出をされた議員もそうした意識を持って議論を当然に組み立てるべきでありますし、そのことは一票の格差の放置を何ら正当化するものではないということは申し上げておきたいと思います。
 それから、もう一つのテーマであります政党と参議院の関係につきましては、二十一世紀は価値多元主義、価値の多様化というものが極めて重要な時代の要請であります。そうした価値多元主義の時代に、我々国政の最高機関としてどのようにより有効に機能させるかということが日本の民主主義に突き付けられた課題だと思います。
 日本の民主主義は危機にあると思います。それは何かといいますと、正に投票率の低迷という問題であります。この投票率の低迷の本質的課題は、国民の皆さんが、主権者の皆さんが、自分たちの代表者が集まる機関として国会を認知していない、あるいは認知し難い、この傾向に歯止めが掛からないということにあります。
 そういう意味で、私は、選挙制度というものを本当に主権者の皆さんの代弁者あるいは代表者が集まる国会に再編をしていくという目標に向かって、私は相当な覚悟でもって臨まなければならない。そういう意味で、いかに国民各層の中に多様に存在する意見を吸収をできるか、反映をできるかということで私は選挙制度というものを考えていかなければならないというふうに思っております。
 そういう中で、国家と個人の間にある中間集団という概念、この中間集団というものの豊かさというものが私は今後の多元社会の中で極めて重要な存在だというふうに思っておりまして、個人、一人一人の個人ではなかなかこの国家、一億三千万人の国家というものに対して自分一人が頑張ったところで、自分一人が意思表明したところでというこの感覚というものは、正直こういった感覚が蔓延するのは否めないと思いますが、そこに、極めて巨大な国家と個人の間をつなぐものが中間集団であります。でありますから、その中間集団が多種多様、多彩な中間集団がこの国に存在をして、そしてその中間集団の代表者というものによって特に参議院が構成をされるということは、選挙制度設計に当たって私は十分に検討すべき課題だと思いますし、特に参議院の選挙制度についての私は重要な設計方針だということを申し上げて、私の意見とさせていただきたいと思います。
 以上です。
 


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