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 憲法調査会  憲法調査会の議論の過程について

2005年04月06日 



○鈴木寛
  民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
 私が申し上げたいことは、本当にこの憲法調査会で議論してきたことを国民の 皆様 方にいかに理解、要するに、憲法を議論すると、憲法を国民の皆さんと一緒につ くる ということについての理解と支持をいかに得ていくかと、このことが非常に重要 であ るということを最終回に当たりまして強調させていただきたいと思います。
 その原因をいろいろ考えますに、やはり、ここでの議論がそうであるというこ とは 申し上げませんが、国民の皆様方には依然として旧態依然たる復古的左右のイデ オロ ギー論争が行われているかに報じられている実態が、そういった要素も私は反省 すべ き点もあろうかと思いますが、ことにあるんだろうというふうに思います。 この点は、私も、先ほどの委員の御発言にございましたが、伝統や歴史を大事 にす ること、これを私は復古と思いませんと。むしろ文化多元主義の中で個人のアイ デン ティティー、そして社会のアイデンティティー、そして国家のアイデンティティ ーと いうことをきちっと確立をし、更にそれを高めていくという行動は、情報文化社 会に おいて極めて重要な議論だというふうに思っておりますし、そのコミュニティー の象 徴を議論するということもその方向にかなうんだろうと思います。
 しかし、依然として復古という言葉がぬぐい切れないのは、やはりそれには改 善す べき点があるということも謙虚に受け止めなければならない。その私は本質は、 この 復古という言葉は私は左右両方に向けられる言葉だということはまず一点指摘を した いと思いますが、加えて、この旧態依然たる議論を払拭するためには、やはり来 るべ き次なる目指すべき社会像ということについての議論が更に深められるというこ とが 非常に重要だと思います。  国民の皆様方がなぜ燃え上がらないのかと。それは、今国民の皆様方が日々の 日常 で直面しておられる、あるいは将来直面するであろう諸課題に対して国家という シス テムあるいは政府というシステムが十分にこたえ切っていない、あるいはこたえ てく れるというこの可能性が減少しつつあると。したがって、この国民の皆様方の熱 とい うものがなかなか高まっていかないという現実は我々率直に受け止めるべきだろ うと いうふうに思っておりまして、正に、その大量生産、そして戦争による大量破壊 、そ して政府の仕事というのは富の再配分であるという経済至上主義あるいは富国強 兵的 国家万能主義というものを超えていくと。そして、人間の尊厳が大事にされ、そして人々の連帯が、そして連帯した人々 のコ ミュニケーションあるいは共生、コラボレーションという新しい社会創造に向け たア クティビティーをこの憲法制定、新憲法制定の議論とともに起こしていくんだと いう メッセージを我々は国民の皆様方に御理解いただけるまで発し続けなければなら ない ということを私は申し上げたいと思いますし、と同時に、実はこの尊厳あるいは 連 帯、共生、コラボレーションというのはアジア的世界観と極めて通ずるところが あっ て、そして我々日本の伝統でもあります、その私は伝統というのはすべて踏襲し たら いいわけではありませんが、数多くある伝統の中で最善なるものは生かし、そし てそ れを発展させていったらいいと思いますが、その中の一つに、和を大事にする、 ある いは共生、あるいは正にやおよろずの神あるいは多神教的な物の考え方に基づい て、 すべての存在に、生けとし生けるものに生きる価値があるんだと。
 こうした日本的あるいはアジア的世界観というものが、実は二十一世紀の正に ポス トモダン時代をつくる極めて重要な物の考え方であり思想であり、そしてそれを 踏襲 している我々が、他の、モダンソサエティーは欧米がつくってきました、しかし 、ポ ストモダンは我々アジアが、もちろん世界じゅうの人々と共同してつくっていく んだ と、その先頭に我々が立っていくんだと。ヨーロッパもそういった方向に半歩踏 み出 しております。  そうした面々と正にコラボレーションしながら、その思想と構想と実践を世界 に広 げていくという決意を御理解をいただけるまで発信をしていく、そしてメディア の皆 様方にも、あるいは研究者の皆様方にも、そしていろいろなNPO活動、NGO 活動 やっておられる皆様方にも御協力を求め続けていくということが極めて重要なん だろ うということを最後に申し上げさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。




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