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 共生社会に関する調査会

2001年11月05日 

○会長(小野清子君) 
 調査テーマにつきましては、調査会設置以来、理事懇談会等で精力的に協議を重ねまして、その結果、「共生社会の構築に向けて」とすることに決定いたしました。また、具体的な調査項目に関しましては、児童虐待対策、障害者と健常者の共生、女性の健康などの意見が出ております。
 今後、具体的な調査計画等策定の参考に資するため、本日の調査会におきましては各委員の御意見を伺うことといたしました。 《一部略》

○会長(小野清子君) 
 共生社会に関する調査のうち、「共生社会の構築に向けて」を議題といたします。それでは、御意見のある方から順次御発言を願います。 《一部略》

 〜中略〜

○鈴木 寛
 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
 私は、参議院の役割という議論がございますけれども、私の中では大変明快でございまして、結局、数の論理に対する立憲主義の実現と、これを担っているのが上院と裁判所であるということは自明の理でありまして、我が国の上院である参議院が立憲主義の実現を図るというのがその役割だろうと。とりわけ、日本においては司法消極主義でありますから、そういう意味でも参議院の課せられた役割というのは大変に高いと。じゃ、立憲主義の最たるものは何かと。これはまさに基本的人権の実現ということでありまして、数の論理の中で埋もれてしまう特に少数派のまさに人権といいますか、平和と幸福の確立ということについて、やはり参議院が率先して取り組むべき役割を持っているというふうに思います。
 とりわけ、まさに調査会というのは、何人の先生、何人の方からも御発言がありましたように、中長期的な課題についてじっくり取り組んでいくということで、調査会こそがこの立憲主義の実現ということについての最大の責務を負っていると、こういうことだと思います。
 では、翻って、この共生社会の調査会は何をすべきかと。二十一世紀の課題は、まさにマルチカルチュアリズムの時代においてどのように少数派というものの尊厳というものを確保し、さらにその実現をしていくのかということになりますから、そのマルチカルチュアリズムにおける少数派問題ということをきちっと取り扱っていくと。過去三年間の調査会の活動も、そういった基本方針に非常に沿った活動が行われてきたというふうに思います。
 先ほどから議論を聞いていますと、児童虐待にするのか、それとも男女にするのかという二大争点のごとくなっておりますが、少しお話を申し上げたいのは、私は、実はプロップ・ステーションというNPOをお手伝いしております、この七年間ほどですね。ここは何をしているNPOかといいますと、障害者を納税者にという運動をいたしております。しかし、ここで障害者の訳として、我々はハンディキャッパーという言葉は一切使いません。皆さんにチャレンジドという言葉を覚えていただきたいわけであります。
 この中には一神教者、多神教者、いろいろいらっしゃるんで、そこはケネディ大統領がこう言っているということで御理解いただきたいんですが、これはケネディ大統領が大変好んで使われた言葉でありまして、神から挑戦する機会、使命を与えられた人々ということでチャレンジドという受け身形になっております。
 ここで我々が言っているチャレンジドというのは、もちろん知的、身体的障害者は含みますが、しかし老人もチャレンジドであり、そして子供もチャレンジドでありという、別にすべて、今の社会構造の中から歴史的、制度的に挑戦を強いられている、そしてそのことを、先ほど大仁田委員もありましたけれども、前向きにポジティブシンキングでとらえて、具体的なその活動をしていこうとしている人をチャレンジドといい、それを応援をしていこうというのが我々のNPOの基本方針であります。
 昨日も、チャレンジド・ジャパン・フォーラム第七回、これ七年目に入っておりますが、その初回から私は携わってきたわけでありますが、このような発想で、二項対立ではなくて、もう少し新しいパラダイムというものについて御議論ができないかなと。
 私は、個人的にはこのリプロダクティブヘルス・ライツの問題というのは大変重要な問題だと思っております。それは、チャレンジドの中の非常に重要な一部として、部分、対象者として、現在のあるいは過去の歴史的な、あるいは制度的な日本社会の背景において、女性がチャレンジドであるということは私も現状認識として認めるべきだというふうに思っていますが、しかし、そのチャレンジドは女性がすべてではないと思います。なので、こうした発想に基づく御議論をいただきたいなということでございます。
 例えば、児童虐待の問題、これも大変な問題だと思っていますが、ちょっと皆さん、もう一回ドメスティック・バイオレンスということを文字どおり訳しますとどうなるか。ドメスティックというのは、これ家庭内ということですから、家庭内暴力防止法というのがドメスティック・バイオレンス防止法の正式な訳でございます。現行法は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律となっておりますが、配偶者からの暴力を初めとする家庭内における暴力の防止というふうに例えばDV法を改正していくということになれば、その第一類型としてはその配偶者、しかし、通常男性が暴力を行うときというのはそこに子供も巻き込まれている可能性というのは非常に高いわけでありまして、別にそのことを排除する、児童虐待を排除する必要はないわけであります。
 特に、現行児童虐待の実態を見ますと、家庭外の問題については児童福祉法など、あるいは刑法によってそれなりの対応が、もちろんここも不十分でありますが、しかし、とりわけ問題なのは、家庭内における、あるいは隠ぺいされた、クローズなサーキットにおけるいわゆるバイオレンス、要するに弱者に対するバイオレンスが問題でありますから、例えばこうしたDV法という議論をもとにこの対象を広げていくというような議論の設定の仕方もできると思います。
 それは別に、最後の法律論でありますからいいんでありますけれども、いずれにしても、そうした二項対立から超えて、我々が新しいやっぱり我々なりの概念設計というかフレームワークというものをつくっていくということを少し最初の間は考えていって、その共通理念の中で、社会的ニーズの高い問題からそのワーキンググループなり対象別に個別の議論をしていく、あるいはそれを包括法ということで実現することも可能なのかもしれないということを思います。
 それから、最後に申し上げたいことは、もちろん世論の喚起ということは極めて重要であります。しかし、国会議員が独占的に行使できる権利は何かというと、これは立法の権利と、それから税金の徴収とその配分については、これはほかの方はできない、まさに国民の皆様方から我々に独占的に負託をされている権利であるということからしまして、私は、最終的なこの調査会の成果物としてはきちっとした法律という形で提起するということがやはり望ましいし、そのことが私は国民の皆様方の負託にこたえる最大の方法論だというふうに思っておりますし、とりわけ超党派で取り組めるという調査会のメリットといいますか、最大のメリットをもかんがみまして、そうしたDV法に倣った形の法案制定に向けたアウトプットが出ることを強く期待をいたしまして、発言にかえたいと思います。

 〜中略〜

○鈴木 寛
 私、リプロダクションということについてぜひ共通の御認識をいただきたいという立場から御発言をさせていただきますが、これも文字どおり訳しますと、要するに次の世代をいかに再生するかと、こういうことですよね、産み育てると、こういうことであります。
 それで、児童虐待というのは、まさに次の世代に対する直接的、物理的脅威をこれは児童虐待と呼んでいるわけであります。それで、いわゆる私はリプロダクティブヘルス・アンド・ライツというのはもっと広い概念だと思っていますけれども、その最大の庇護者といいますか、育成者に対する脅威を議論しようというのがこのリプロダクティブ・ライツであるわけであります。
 ただ、いずれにしても子供に、次世代に対する直接的な脅威も、あるいは間接的、準間接的といいますか、準直接的、密接不可分な脅威も、それから物理的な脅威も、法的なハラスメントも、あるいは経済的なハラスメントも、これはやっぱりすべて同じ話といいますか、要は皆さんの思いは次の世代をいかに健康に、そして幸せに、平和的に育てていくかと、こういうゴールにおいては全く同じでありまして、その方法論はどっちが大事じゃなくてどっちも大事なわけでありますから、一つは、そういう次の世代をどう育てていくかということについての共通の議論のフレームワークはできるのではないかというふうに思っております。
 その中で、女性というものは大変重要な役割、最大の役割を果たすということについて、私はもちろんそういう立場でございますけれども、その中での議論というのはできるんではないかと思います。

 ≪鈴木 寛 発言のみ抜粋≫  


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