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 共生社会に関する調査会

2003年02月05日 

○会長(小野清子君)
 共生社会に関する調査のうち、「共生社会の構築に向けて」を議題といたします。
 本日は、障害者の自立と社会参加に関する件のうち、バリアフリー社会の実現について、総務省、厚生労働省、経済産業省及び国土交通省から順次説明を聴取し、その後、質疑を行うことといたします。
 なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていただきたいと存じます。説明、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。

 〜中略〜

○鈴木 寛
 私、冒頭、清水先生がおっしゃいましたお話を少し深掘りをさせていただきたいというふうに思います。
 正に福祉機器、あるいは器具、あるいはシステム、住宅も含めてですね、あるいは社会システムも含めて、すばらしい施策を各省庁がやっておられることについては敬意を表しますけれども、こうしたものを世の中に普及をさせていくという観点で少し御意見を申し上げて、御感想をいただきたいわけでありますけれども。
 何でも新しいものというのは研究開発の段階があって、そしてそれがマーケットに出た段階というのは非常に高いわけですね。これは要するに初期投資の分が価格に反映されますから。そして、ある程度の需要が出てきますと急速に価格は下がっていくと。こういう商品のライフステージといいますか、ライフサイクルに応じた価格の波というものがございます。
 それで、私が申し上げたいのは、従来の施策といいますのは、大きく申し上げますと、いわゆる生産者、あるいは研究開発を含む作っているサプライヤーに対する支援措置と、それを買っていくユーザーに対する支援措置と二つに分けられるんだろうと思います。それで、初期の段階は、経済産業省始めとして、そうした補助金、研究開発補助金という形でそれは施策としていわゆる初期投資の段階を少しでもセービングしていくと、こういうことなんだろうと思います。購買の段階に入りますと、税制とか財政とか財投とかと、こういう金融措置によってユーザーの購入力というのを支援していくと、こういうことなわけでありますが、私が申し上げたいのは、恐らく中間段階がやや弱いことによって、結局初期投資の施策とそれから普及段階の施策がつながらないものですから、こうしたたぐいの新しい社会的に普及すべき機器とか器具とかシステムというものの普及がこの国においてはなかなかうまくいっていないのではないかというふうに思います。
 ですから、今日は関係省庁全員お集まりでございますし、また共生社会というのはそういうところをうまくどうバトンを渡していくかということについて議論をする調査会でもありますので、あえてこうした御議論を申し上げさせていただいているわけでありますが、そういう観点で申し上げますと、日本の政策は、例えばアメリカとかヨーロッパの施策と比べますと、いわゆるそうした製品がマーケットに投入をされた、あるいは登場をした直後の施策として、私は政府の新しい役割、すなわち商品がマーケットに導入をされたアーリーステージにおける、イニシアルバイヤーと言っていますけれども、一番最初の買手としての政府の役割というものをもう少し政策形成の中で立法府も行政府も意識をすべきではないかというふうなことを思っております。
 例えば、アメリカなんかはソフトウエア開発にこうした制度をかなり導入されていると思いますが、結局、政府が補助金を出すのではなくて、新しい、新製品が出てきたときにまず最初に買いますよと、しかもそれはちょろちょろ買うんでなくて、あるまとまった額で一番最初の買手として買いますよというコミットメントがありますと、サプライヤーの方もそれを元手にいろいろな投資もできますし、さらに証券市場もイニシアルバイヤーとしての政府のコミットメントを基に資金調達ができるということになりまして、いわゆる初期段階における価格のプライシングというものが、安心して安い価格で出せると。そのことによってRアンドD段階と普及段階のブリッジができているということが、恐らくアメリカなどが新しい社会的に普及すべきサービスが官民のうまい役割バランス、役割の分担によって普及している理由ではないかなというふうに思います。
 それで、そういう観点で、前段、第一段階と第三段階はかなり頑張っていただいていることはよく分かっているんですが、今の観点から、いわゆる調達行政、これは中央政府あるいは地方政府を含めてなんでございますけれども、政府が戦略的に支援をし、戦略的に普及をさせたいと思うものに対して、これ、従来の入札とか購買のロジックではなかなかこれは買えないわけですね。この問題をどういうふうにクリアするのかというところが、恐らくこれからのこの手のバリアフリー社会を作っていく上での非常に重要な課題だと思うんですが。
 これは何省に聞いていいのかよく分からないんですけれども、厚生労働省と総務省にちょっとお伺いをしたいと思いますが。と申しますのも、以前、一生懸命新しいパソコンとか新しいソフトを作ったんですけれども、最近はパソコン導入の助成金がやっとできましたけれども、昔はワープロはその対象になっていたんですけれども、それをパソコンにするというのが非常に難しい時期がございました。これも御努力によって今はパソコンもそうした助成の対象になっておりますけれども、そこを埋めるための何か施策について今検討中あるいはもう既にそういうことはやっているよということがあれば御紹介をいただきたいし、今後のそうしたイニシアルバイヤーとしての政府の役割というものについての御検討についてのお考えをお聞かせいただければと思います。

 ≪鈴木 寛 発言のみ抜粋≫  


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