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  民主党の初等中等教育政策に関する緊急提言

 民主党教育基本問題調査会事務局長である鈴木寛が中心となってとりまとめた民主党の初等中等教育政策に関する緊急提言です。

「小・中・高等学校における教育の多様性と地方分権の徹底」に関する緊急提言
(中間報告)
民主党教育基本問題調査会
民主党文部科学部門会議

○ はじめに
教育政策は目下わが国の最重要課題である。戦後、これほどまでに教育の再生が強く望まれた時期はなかったといっても過言ではない。青少年・児童をめぐるあまりにも悲惨で深刻な事件の続発、ゆとり教育と学力低下問題がもたらした学校・家庭における混乱、国際的にも極めて低い評価の高等教育など、教育を取り巻く課題・問題は枚挙にいとまない。しかしながら、自民・公明連立政権の下では、国民が最も希望し、経済の活性化に直結し、かつ、知の世紀に最も必要とされる「教育政策」が、最もないがしろにされている。このことは、抵抗勢力が少なく手を付けやすいというだけの理由から三位一体改革のもとで義務教育費が狙い討ちにされ大幅カットが断行されていることや、国立大学法人への文部科学省による統制が強化されたことなどから明白である。
民主党は、これまでも教育政策について、他のどの政党よりも真剣に取り組んできた。「教育の危機」、それが引き起こす「日本の危機」を、一刻も早く脱却し日本を再生するため、民主党は、来たるべき総選挙に向け、初中等教育(高校を含む)に関しては、下記の重点政策を掲げ、政権奪取を目指すものである。(注:この提言は、高等教育・科学技術政策や教育基本法改正などの教育の基本政策については対象としていない。目下、最重要かつ緊急を要する初中等教育政策に関し、実現可能で着手可能なものに絞り提言を行なったものである。)

○ 基本方針
 ・ 様々な課題と日々直面し解決に向け奮闘しなければならない各々の教育現場を抜本的に強化するため、教育政策における地域主権・現場主義を徹底する。そのため、権限・ 財源・人間などあらゆる資源を、学校をはじめとする子ども・青少年育成に関わる多くの現場に付与・供給・投入する。
 ・ 教育政策の目的は、子どもの健全な成長とそれぞれの子どもがもつ能力を最大限引き出すことにある。そして、それを支え・助けるための家庭・地域・学校・教員・行政であるべきことを踏まえながら、教育政策の立案、教育環境の条件整備を行なう。
 ・ 教育への資源の投入は、個人・地域社会・国のいずれのレベルにおいても、未来に向けた最重要な投資であることを再確認し、予算配分構造の抜本見直しを行なう。

1−「権限」
★ 教育現場(それを取り巻く地域を含む。以下同じ)及び地域教育委員会への大幅な権限(人事・教育内容・運営・学校評価など)の移譲・付与。
★ 文部科学省を頂点とするヒエラルキー(中央集権型教育行政組織)の解体

 ・ 文部科学省→都道府県教委→市町村教委→学校という中央集権・上意下達型の組織・権限構造を見直し、地域の教育委員会に大幅に権限を移譲する。
 ・ 特に、地域教育委員会と学校と地域が密接な連携を図り現場の問題に対して機動的な対応が可能となるよう、地域教育委員会の適正規模・能力・権限・人事についても再検討する。
 ・ 保護者・地域関係者・専門家が参画した自律的学校運営の実現(学校運営協議会の設置と協議会に学校運営権限を付与)
 ・ これら教育における地域主権・現場主義を実現するため、地方教育行政法の抜本改正を行なう。
 ・ 学習指導内容に関する権限を大幅に学校・地域教委に移譲する(=学習指導要領の大綱化)。併せて、各学校において一定程度の教育水準が確保されるよう、現場が参照すべきガイドラインの策定や教育現場を具体的に支援するための体制整備を行なう。
 ・ 文部科学省の初中等教育部門を中央教育委員会に改組するため、文部科学省設置法を改正する。
 ・ いわゆる六・三・三制の弾力化を検討する(幼小、小中、中高の連携の強化含む)
 ・ 学校評価の導入・普及。(学校全体を評価。学校評価の専門家を各学校に派遣・投入。教育や社会サービスの専門家を中心に保護者・地域関係者なども参画して評価を実施。)

2−「財源」
★ 日本中のすべての教育現場(障害児教育なども含む)においてシビル・ミニマムが完全達成され、さらに、充実した活動を可能にするための予算確保。
★ 学校と補完・連携する多様な教育現場の創設・支援のための予算確保。
★ 高等学校進学希望者全入制の実現のための予算確保。
★ 教育サービス充実のための、欧米並み公財政支出の確保。

 ・ 安全で快適な学校整備(耐震、バリアフリー、防災シェルター、トイレ、マルチメディア、校庭芝生化等)のための財源確保(PFIなどの活用も含む)
 ・ 少人数学級実現のための財源確保
 ・ 高等学校進学希望者全入制実現のための財源確保
 ・ 問題山積の学校現場を支援する多様な人材(専門スタッフ、地域人材など)を確保するための財源確保
 ・ 多様な教育現場(スポーツ少年団、地域スポーツクラブ、児童館、青少年向け図書・情報館、学童保育、児童相談所、教育NPO)創設・支援のための財源確保
 ・ 上記の財源確保のため、欧米に比べ低水準にある教育関係公財政支出(中央政府+地方政府)を大幅に引上げる。※参考/米:3.5%、英:3.3%
 ・ 学校環境整備・人材配置などの初中等教育(高校含む)に関するシビル・ミニマム確保を政府(中央政府+地方政府)に対して義務化する。

3−「人間」
★ 学校の問題対応・解決力を強化するための教職員・スタッフの質量の拡充
★ 学校現場主導による多様な人材の登用・活用
★ 学校と補完・連携する多様な教育現場における人材の確保

 ・ 少人数学級実現のための人員配置
 ・ 校長・教職員・スタッフなどについて、多様な人材を現場主導で登用・活用できる人事システムの導入
 ・ 地域人材、特別ゲスト、スクール・カウンセラー、スポーツ指導者、ITコーディネーターなどの学校現場への積極的登用・活用
 ・ 多様な教育現場(スポーツ少年団、地域スポーツクラブ、児童館、青少年向けの図書・情報館、学童保育、児童相談所、教育NPOなど)における多様・多彩な人材の確保・活用

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