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 ◆国会質疑にフル回転!〜国会随一の質疑実績〜
 昨年十月十八日から十二月十三日の日程で行われた臨時国会では、本当に多くの質疑の機会をいただきました。参議院本会議質問に初登壇したほか、法務委員会(一般質疑、会社更正法全面改正)、内閣委員会(構造改革特区法案)、文教科学委員会(学校教育法改正)、法務・文教合同審査会(司法試験制度改革+ロースクール制度発足)、行政社会調査会(公務員制度改革)、共生社会調査会(障害者の自立と社会参加)に計九回、質疑・発言を行いました。おそらく、延べ質疑時間は、臨時国会で随一だったと思います。

 その中でも特に力を入れて取り組んだのが、もちろん本会議質疑でありました。委員会質疑はこれまでに何度も経験してきましたし、官僚時代にも委員会室へ幾度となく足を運んで参りましたので、さほど違和感なくこなすことができましたが、本会議場での質疑は文字通り初めての経験でありました。後世の歴史家が議事録を何十年後に紐解いたときに、なるほど、こうした議論をしていたのかと注目してもらえるような質疑をしようと準備にあたりました。
 本会議では、関連する複数の法律案、学校教育法の一部を改正する法律案、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案、司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案についての質疑を行わせていただきましたが、日本を改革するためには、いわゆる政治のOSを変更しなければならない、そこが変わらないとどんな良い政策案も実現されない、という大いなる問題意識を持っていたことが、私を国会に駆り立てた最大の要因ですから、その思いをぶちまけました。 例えば、一票の格差問題、行政の肥大化の問題、いずれも、日本の司法がおとなしかったことに起因していますから、民主主義の基本を創りなおすためにも、司法改革は、その重要な柱の一つであるとの見解を主張させていただきました。そして、司法改革の一つの大きな柱となるのが、法科大学院(ロースクール)構想であります。

 制度改革の概要ですが、今まで合格率三%未満という超難関を極めていた司法試験が全く変わることになります。今後は、日本版ロースクールである法科大学院で原則三年(法学の素養が認められる者は二年)学んだ卒業生が六〜七割は合格できるような制度に変更をされます。一発試験ではなく、法科大学院でのプロセス教育によって法曹を養成していこうというものです。これによって、法曹としての倫理、法曹の実務家としての能力など、よりふさわしい人材を養成しようというものです。
 しかし、問題もいくつかあり、本会議でも政府に強く要求をいたしました。そのひとつは、奨学金です。日本でも、私立のロースクールの場合、授業は少数精鋭でやりますから、その学費は年二〇〇万円から三〇〇万円になると予想されています。学生も相当勉強しなければなりませんから、おそらくアルバイトをする余裕など全くありませんので、生活費補填もできません。大学院ですから、どんなに若くても二十二歳から二十五歳までということになります。となりますと、ロースクールに通えるのは、相当に裕福な家の子弟ということになってしまいます。
 そこで、私の当選以来のライフワークであります、奨学金制度の充実について、ロースクールの学生向けにも、その充実を強く要求をいたしました。その一連の議論のなかで、遠山文部科学大臣からは前向きの発言がありましたが、塩川財務大臣から、本会議の場で「法曹を目指すのは、エリートで、社会的・経済的にも恵まれた人だから、特に応援の必要はない・・・」との趣旨の問題発言がありました。一時、議場は騒然となりました。この点については、私は、まったく容認できないと考え、その後も徹底的に委員会審議などで政府を追及しました。
 この点は、与野党を問わず、すべての議員からも賛同され、委員会審議でも一斉に奨学金問題が主要テーマになり、来年度の予算要求で検討することとなりました。また、様々な懸念すべき点については、附帯決議も与野党でまとめることができました。
 司法改革と並んで、日本の政治OSを変えていく上で不可欠なのが教育改革です。社会変革の主役であるはずの大学が停滞していることも、日本低迷の理由の一つです。
 大学改革については、第一弾が始まりました。学部・学科の新増設・再編成の規制緩和が、一部認められました。従来、認可制であったものを、学位の範囲を変更しないものについては、届出制に変更になりました。これで、今後、制度上は、大学の創意工夫で自由に学部・学科を再編できるようになります。
 これは、私が通産省時代にIT政策を担当していた頃から、米国では、IT関連の学部・学科で、どんどんいい人材が生まれているのに、日本の大学では、情報関係の学部・学科の卒業生がなかなか増えず、依然として従来の学科のほうが定員も予算も多く、悔しい思いをしていたことです。日本の競争力を強化するために、この点は何とかしなければと当時から痛感していたテーマでした。

 それから、大学の質向上のために、不可欠な第三者評価制度も学校教育法の改正のなかに盛り込まれました。さらに、ロースクールに代表されるように、専門職大学院制度も発足しました。高度な専門職の育成を大学院で行っていくというもので、ロースクール、ビジネススクールなどが予定されています。これによって、「象牙の塔」で社会から縁遠い感のあった日本の大学を、社会への人材供給の中核的拠点として位置付け直すための制度改革が、いくつか始まりました。
 これからは、各大学が生き残りをかけ、社会からの評価に耐えうるような不断の創意工夫に満ちた努力が行われることになると思います。もちろん、評価機関をこれからどう作っていくか、より学習者本位の大学経営・奨学金制度の充実など、いくつか課題は残っていますが、とにかく、大学同士が切磋琢磨するための制度はかなりできました。今後は、大学側の真剣な取り組みを大いに期待したいと思います。
 二一世紀は「知の時代」。その基盤となる大学制度に、五〇年ぶりの大改革が行なわれつつあることを、是非知っておいていただきたいと思います。

 また、内閣委員会では、いわゆる「構造改革特区構想」について質疑に立ちました。構造改革特区は、地域経済活性化の起爆剤として、地域を限定して規制を撤廃・緩和する内容です。「小泉構造改革」の目玉の一つとしてメディアを通じて大きく取り上げられましたので、皆さんもご存知と思われますが、私は主に教育関連の分野について質疑を致しました。 私も、営利主義のみを教育に持ち込むことは反対ですが、今の私立経営も問題は多いと思っています。私が訴えた最大のポイントは「株式会社イコール金もうけの組織」だという文部科学省の教条主義的な思い込みに対する反論と、株式会社組織の本質的意義に関する啓発でありました。そもそも株式会社というのは、人材や資金、知識などを結集して事業を行うための、人類が進化させてきた器であります。その器、あるいはその知恵を、公共性、安定性、継続性が求められる教育の事業に導入することの是非をきちっと考えましょう、という議論を致しました。
 鴻池大臣からは、「大変に参考になった。鈴木説を参考にこれからの政策をより深い観点から考え直していきたい」との主旨の答弁をいただきました。

 年末年始を挟んで、私の質疑を受けた政府や文部科学省は、早速動き出しました。これまで消極的だった教育分野への株式会社参入を認める方向へ舵を切ったのです。もちろん、株式会社参入とは言っても、何をしてもいいというつもりは毛頭ありません。株式会社でも、公益的事業を行っている事例は、いくらでもある。組織形態をめぐり、哲学論争を繰り返すのではなく、こうした議論をきっかけとして、実質的に、私立学校のガバナンスをいかに改善していくかについて、社会全体が考え直すキッカケとして欲しいという思いを伝えさせていただきました。詳しくは,是非、議事録をお読みください(スズカンのホームページに掲載しています)。 こうした議論を受けて、一月十五日に締め切られた構造改革特区構想の申し込みの中で、教育分野への株式参入の申請が、二十件余にものぼりました。正しい方向をしっかりと訴え、新たな議論の枠組みを提示することによって、国の形を徐々にですが変えることができる、そんなことを実感できました。

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