すずかんMAGAZINE NO.19 「2003年の年頭にあたって」
2003.01.08 


新年あけましておめでとうございます。
本年も どうぞよろしくお願い申し上げます。

いよいよ、2003年が始まりました。しかし、今年は、例年の晴れがましさを
全く感じることができません。年始は、新年祝賀の儀で皇居に参内、初詣、
お世話になっている方々へのご挨拶周りをするかたわら、日本・世界を
取り巻く情勢について、改めて情報を収集しなおし、過去の歴史なども調べ直し、
今年一年の先行きを自分なりに整理することに費やしました。年始早々、連日、
北朝鮮の核問題やイラク核査察問題が報じられ、これから迎える1年に
起こりうる出来事の深刻さを思い浮かべる時、正月気分には全く浸れません
でした。

相当な確度で、ブッシュ政権は、イラク攻撃に踏みきると思います。
国連も、結局は、ねじ伏せられてしまうでしょう。我々民主党はじめ野党の
対応がどうであれ、小泉政権は、それに協力せざるをえないでしょう。
米国内のリベラル派も、欧州の各国も、中国も、ロシアも、インドも、韓国も、
ブッシュ政権の対応は過剰だと感じていても、その独走を制止するだけの
存在には成り得ないでしょう。世界中の空気が、そんな状態ですから、
小泉政権もブッシュ外交に追随せざるをえないでしょう。

山本七平氏が言っていたように、日本という国は、もともと、空気によって、
いろんな大事な行動がなし崩し的になされてきた国ですが、今や、その現象が、
米国はじめ世界中に蔓延しています。不確実性がますます高まって、何が起こるか
わからない時代になってくると、誰しも、確固たる予測に基づいて、確固たる
見解を導き出せなくなります。そうなってくると、人間のタイプはキレイに二分
されます。良識的で、思慮深く、客観・冷静な人ほど、「よくわからない」と
その限界を率直に認めます。その一方で、思いこみの激しい人たちは、
断定的に、明確に、発言をします。その結果、思いこみの強い、偏った
メッセージだけが、社会を駆け巡るようになります。だから今は、国内でも、
国外でも、独善的なリーダーだけが元気です。真理や事実に基づいて
理性的で冷静な判断をする人間が、意思決定の場から、どんどんいなくなって
います。こうした時に、平和がもっとも損なわれるのです。とても、心配です。

時代の変わり目になればなるほど、旧時代のものと新時代のものが、入り混じり
ますから、現実は、極めて複雑になります。そして、正しい対処策は、実に
微妙で、実に複雑にならざるを得ません。しかし、多くの人々は、その微妙さや
複雑さに向き合う忍耐力がありません。過度にわかりやすさを求めます。
こうしたときに扇動政治が横行するのです。

ものごとが複雑になりすぎたときには、ものごとの基本や原点に立ち返ることが
大事だと思います。政治とは何か?「国民の生命と財産と尊厳を守ること」だと
思っています。

ブッシュ政権との対応においても、「日本国民」の生命の安全にとって
プラスなのかどうか? まず、その視点から、その都度、判断しなければ
なりません。米ソ冷戦構造のときは、米国の核の傘にいることが最大の
安全保障でした。しかし、今は、アングロサクソン人が集まるところが、
テロの標的にされます。テロを中央集権システムで完全に防ぎきることは
不可能です。ブッシュ政権と一緒に心中することが、本当に、日本国民の安全に
プラスなのかどうか?検討する時期がきていると思います。米国の政治家は、
米国民の安全を第一に考えています。日本の政治家も、日本国民の安全を、
まず第一に考え・行動すべきだと思っています。もちろん、米国・米国民と
協力できること、一緒にできることはたくさんあります。むしろ、こちらから
いろんな提案をしてもいいと思います。

政治家にとって、最も大事な任務は、国家・国民に代わって、より正しい・より
ベストな判断をすること。そして、その判断にもとづき、関係者に対して、
それぞれが取るべき行動を実際にとるよう説得・誘導・強制すること、
だと信じております。

鈴木 寛は、より正しい・ベストな判断を下すために、今年一年は、熟議と熟慮を
重ねながら、精進・尽力していくつもりですので、よろしく、ご指導・ご助言
下さいますようにお願い申し上げます。

正しい判断は、時として、難関・複雑なことがあります。しかし、丁寧に、
ご納得いただけるまで、ご説明させていただきますので、どんなご質問・
ご意見でも、お寄せください。