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法務委員会 平成20年05月27日


委員長(遠山清彦君)

 ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十三日、足立信也君が委員を辞任され、その補欠として鈴木寛君が選任されました。
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委員長(遠山清彦君)

 保険法案及び保険法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、日本大学法学部教授福田弥夫君、社団法人日本共済協会基本問題委員会副委員長小野岡正君及び金融オンブズネット代表・埼玉大学経済学部非常勤講師・金融審議会金融分科会第二部会委員原早苗君でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方について申し上げます。まず、福田参考人、小野岡参考人、原参考人の順に、お一人二十分程度で順次御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、福田参考人からお願いいたします。福田参考人。

参考人(福田弥夫君)

 日本大学法学部の福田弥夫でございます。
 本日は、法務委員会における保険法案の審議に当たりまして、私の考えを述べさせていただく機会をちょうだいいたしました。優れた保険法研究家の諸先輩方が多数おられる中、若輩者の私が御指名いただき、大変光栄に存じます。名前で選ばれたのかもしれません。厚く御礼申し上げます。
 今回の保険法案は、明治三十二年に制定されてからほとんど改正を加えられることなく現在に至っております商法中の保険に関する規定に全面的な見直しを加え、単行法とするものでございます。約百年前と比べますと、保険商品の内容も大きく異なっておりまして、現代の保険契約に適合する保険契約に関する基本法の制定を目的としたものであり、法務省の法制審議会保険法部会において慎重な審議が加えられ、そこで決定された要綱を基に条文化されたものでございます。
 保険法の研究者としてその動向に大変な興味を持っておりましたが、部会長である山下友信東京大学教授と法務省事務局の大変な御苦労と御努力によって成案に至ったものと理解しております。
 この法案は、複雑化している現在の保険商品を統括する契約の基本的なルールとして、シンプルではありますが、非常によくできた条文となっていると思われます。特に、保険契約者の保護の強化につきましては、片面的強行規定の導入など、かなりの配慮が行われております。しかし、審議会で検討はされたけれども、導入が見送られた規定などもございます。その点などを含め、私がこれまで勉強してきた論点に絞って考えを述べさせていただきたいと思います。
 まず、努力義務に関する規定でございます。
 保険法の見直しに関する要綱案第二次案では、「第1 総則」の2といたしまして、努力義務に関する規定を盛り込むことを提案する形になっておりました。しかしながら、最終的には、この規定は見送られております。保険法部会の議事録を拝見いたしますと、民法の信義則の原則とは別にこのような努力義務を法制化することは法制的に問題があるところ、このような問題をクリアできないまま要綱案とすることは行わず、条文立案作業の中で更なる検討を行うとされております。
 この努力義務は一般条項でありまして、この義務違反に対する効果は規定されておりませんでした。抽象的な規定であり、このような規定を設けることに対する批判もあったようでございます。保険契約者側の誠実協力義務は不正請求の禁止や事実関係解明への協力を意味するものであり、保険者側の誠実協力義務は、保険者の説明義務、助言法理、適合性原則などの問題が保険業法の問題に純粋に限られるのではなくて私法上の義務にも接続するということを解釈論上明らかにするものと私は理解しておりました。少なくとも、このような規定を設けることによって、契約締結段階から保険給付の段階まで保険契約関係者は真に誠実に行動することが求められることになるわけでございます。
 アメリカの保険契約における契約当事者の義務として、保険者の義務に加え、保険契約者、被保険者の義務というのがございます。これはデューティー・オブ・インシュアードと呼ばれるものでありまして、特に協力義務、デューティー・ツー・コオペレートが重要でございます。これは契約法の原則から導かれるものでありますが、アメリカの標準的な保険約款には挿入されており、保険金請求時の保険者への協力義務が主なものとなります。
 賠償責任保険でありますと、例えば、訴訟になった場合に調査と防御に当たって被保険者が協力、支援すること、具体的には責任を認めないといった受動的な側面のほかに、証拠の提供や合理的に必要とされる範囲での弁護士への一般的支援というような能動的な側面も含みます。火災保険であれば、損害確定のための調査への協力などがこれでございます。
 それでは、被保険者が非協力的だった場合はどうかと申しますと、保険会社が非協力によって不利益を被ったことを証明しない限り、非協力を根拠とした抗弁、支払免責は認められておりません。この努力義務の存在が、次にお話しいたします保険給付の履行期と保険金請求に当たって重要になると考え、また、アメリカ法では一般原則ではあるけれども約款規定にとどまっているものが、一般条項ではありますが我が国では条文化されることに大きな意義を感じました。最終的には成案には至らなかったということは、信義則の原則に基づく対応で十分であるという御判断をされたものと理解しております。そうであるとすれば、信義則原則の下、保険契約者、保険者双方が適切な協力を行うよう期待したいと思います。
 次に、保険給付の履行期でございます。現行商法はこの履行期について規定を設けておらず、約款で規定されております。事実確認や調査のために特に時間を必要とする場合を除いて、生命保険では請求書類が会社に到達してから五営業日以内、損害保険では三十日以内が基準となっております。
 法案は、このような具体的な期間を設定することなく、保険給付を行うために確認することがそれぞれの保険契約上必要とされる事項確認をするための相当の期間を経過する日以後であるときには、当該期間を経過する日をもって保険給付を行う期限とするとしております。第三項は、「保険者が前二項に規定する確認をするために必要な調査を行うに当たり、保険契約者又は被保険者が正当な理由なく当該調査を妨げ、又はこれに応じなかった場合には、保険者は、これにより保険給付を遅延した期間について、遅滞の責任を負わない。」と規定しておりますが、この三項の規定が、保険契約者又は被保険者の信義誠実義務の内容として保険金給付のための協力を要請していると理解されます。
 この保険給付の履行期につきましては、具体的な期間による制限をしていないため、保険会社による不当な支払拒絶や遅延につながるのではないかという危惧を抱かれておる関係者も多いようです。しかし、保険契約にも多様な類型がございますし、非常に複雑になってきている。さらに、保険金の支払や保険給付も多様になってきております。
 そのような保険商品の現状を見ますと、保険会社が保険金支払の請求を受けてから何日以内に調査を行って適切な保険金の支払を行うかを条文で書き表すのは不可能ではないかと考えます。生命保険と火災保険では調査に必要な事項も異なってまいります。この点につきましては、現状の約款規定の見直しを含めて、生損保業界各社で具体的かつ客観的な履行期を定めることになるものと考えております。
 実は、具体的な履行期を条文化した場合、モラルリスク関連の事例が問題になるのではと、私は逆に懸念いたします。保険会社が十分な調査を行えないまま支払わざるを得なくなってしまうおそれが出るのではないか。最終的にはやはり支払うべきケースではなかったということが判明しましても、回収は困難であります。
 ニューヨーク州のノーフォルト保険の給付に関する報告を読んでおりましたら、請求から一定期間内に支払を強制する規定があるために、事故後かなりの期間が経過してから膨大な量の書類が保険会社に送られ、すべてを調査をする余裕がないまま支払を余儀なくされ、それが結局不正請求の温床となってしまっているとの記述がございました。
 確かに、期間による制限は保険契約者保護にストレートにつながるようには思えますが、それが不正請求の温床になってしまいますと、保険制度の健全性が維持できなくなり、結局は保険料の高騰につながり、善良な保険契約者を害しかねないのではと逆に懸念いたします。すべての保険金請求に対して保険金を支払うのが保険契約者の保護なのではなく、モラル絡みのものに対しては徹底的に争ってこれを排除し、善良な契約者の場合には速やかに保険金を支払うというスタンスが重要であると思います。
 次に、重大事由解除でございます。
 これは、これまでは約款に規定されていたものが条文化されたものでございます。特に、第三項の信頼関係の破壊について規定するバスケット条項が非常に包括的な内容で、保険会社が濫用する危険性が高いのではと危惧される関係者が多いようです。しかし、このような条項を置きませんと、第一項と第二項では対処し切れないような悪質な事案が出現した場合、保険金を支払わざるを得ないという事態が考えられます。先ほど申し上げましたように、あくまでも善良な保険契約者を保護するべきであって、悪意性の著しいものを排除する方策は必要であると考えます。
 被保険者の同意の問題に移ります。
 現行の商法六百七十四条第一項は、他人の死亡の保険契約締結に際して、被保険者の同意を要求しております。御承知のとおり、他人の生命に保険を掛けることを自由に認めますと、保険の賭博的利用や保険金殺人の誘発などの危険性があり、さらに人格権侵害の危険性があることなどから、諸外国の立法も例外なくこれを規制の対象としています。商法六百七十四条及び本法案の三十八条が規定するような被保険者の同意を必要とするいわゆる同意主義は、比較法的にも優れた立法であると評価できますことから、妥当な規定であると思われます。
 また、従来、批判の多かった商法六百七十四条一項ただし書の規定、被保険者が保険金受取人である場合には同意は不要であるとの規定が削除されておりまして、この点も妥当な立法であると考えられます。
 しかしながら、以下の点で若干の疑問がございます。
 まず、同意の方式でございます。今回の法案は、被保険者の同意について特に規定を設けておりません。したがいまして、被保険者の同意の方式は解釈によることになります。従来の解釈では、方式が書面である必要はなく口頭でもよい、また明示的であるか黙示的であるかを問わず同意として有効と解されることになります。
 しかし、海外の立法例を見ますと、書面による同意を要求するものが中心的でありまして、鴻常夫先生を会長とします生命保険法制研究会第二次の手による生命保険契約法改正試案二〇〇五年確定版理由書も、他人の死亡の保険契約の締結には被保険者の書面による同意を要求しております。同意の時期や相手方についても本法案は特に規定は設けられておりません。被保険者の同意は契約の成立要件ではなく、同意の相手方は保険会社である必要もないということになります。さらに、保険契約者、保険期間、保険金額などの契約の具体的な内容を了知して同意がなされることが必要なのか、それとも漠然と被保険者になることの同意、それは黙示でも構わないとなりますと、被保険者の同意をこの保険契約の危険性防止の橋頭堡としていることとの均衡を欠くものではないかとのおそれがございます。
 もっとも、保険実務で、保険業法施行規則によって同意の方式が被保険者の書面により同意する方式その他これに準じた方式であり、かつ当該同意の方式が明瞭に定められた事業運営が義務付けられていること、さらに、保険契約者、保険金受取人、保険金額、保険期間等の契約の基本事項が記載された申込書の被保険者同意欄に被保険者が署名捺印をすることにより申込手続が行われるのが一般的であるようでございまして、保険法では規律しないが、保険監督法規の体系の中及び実務の取扱いによって規律するという構造になっております。
 保険法部会では、書面による同意がない場合には保険契約が無効となり、かえって保険契約者等に酷な結果となるとの指摘がありましたが、私といたしましては、保険法の条文の中に書面によることを要求する方が明確ではなかったかと考えます。
 被保険者の同意につきましては、団体保険でも同様の論点がございます。一時社会問題化いたしました団体定期保険契約の仕組みが平成八年に変更されておりまして、総合福祉団体定期保険契約が導入されております。総合福祉団体定期保険契約の主契約は、団体の退職金規程や弔慰金規程を保険金額の上限とし、各従業員に付保内容を文書で通知し、不同意の者が申し出るという、いわゆる通知同意方式に基づく被保険者同意がなされております。そのため、団体定期保険をめぐる訴訟で問題となったような点は、この保険の下では行われないとの評価が一般的でございますが、私といたしましては、全員加入のAグループに関して同意の問題をもう少しきめ細やかに条文化してもよかったと考えております。
 団体生命保険に関する規定の導入は審議会で検討対象とされたようでございますが、条文化は見送られ、個別保険と団体保険に共通する規定として保険法三十八条が設けられております。しかし、団体保険を分離して規定し、同意に関する規定を設ける先ほどの生命保険契約法改正試案の立場の方を採用してもよかったのではないかと考えます。
 なお、ヒューマンバリュー特約に関しましては、会社が保険金を取得するのはいけないとの考え方も成り立ちます。しかし、これを一律に禁止することは、各会社の状況も異なる中、妥当なものではなく、金融庁の監督指針に規定されているように金額制限等による対処で足りるのではないかと考えます。
 被保険者の同意と同様に、未成年者を被保険者とする場合の規定の導入も検討はされましたが、同意の方法は民法の規定によることとし、保険金額の規律に関しましては、これも保険法の条文に書き込むことは行わず、実務の対応にゆだねるべきとされました。金融審議会金融分科会第二部会の作業部会である保険の基本問題に関するワーキンググループで検討されまして、被保険者本人の同意を得ることができない未成年者の死亡保険のうち、モラルリスクの高いものにつきましては金融庁、生損保業界及び各社において効果的な対策を実施すべきこととなっております。
 なお、被保険者の同意の撤回に関しましては、これは非常に難しい問題でして、導入が見送られたのは理解できます。しかし、被保険者の解除請求につきましては、被保険者が保険契約者に解除請求を行い、保険契約者が契約を解除するという形になっております。保険法部会では、保険契約者が応じなかった場合には契約者の意思に代わる判決を得て民事執行法百七十五条による請求を行うという点が議論されたようですが、実はその実効性が確保できるかが課題と言えるかと思います。
 被保険者の同意の具体的な内容を保険法で規律するのか、それとも保険監督法規で規律すべきなのかというのは非常に難しい問題であります。保険法はあくまでも保険契約の基本的なルールを定めるものであって、具体的な保険サイドの問題については業法、約款、実務ガイドラインにゆだねるという基本的なスタンスは、それはそれで一貫した考えであるとは思いますが、例えばカリフォルニア州やニューヨーク州のように、契約法のみならず業法も取り込んだ形での保険法というものもあり得るのではないかと考えております。もっとも、そのような形の立法には保険庁という存在も関係し、我が国とは事情を異にしておりますので、慎重な検討が必要なのはもちろんであります。
 以上、論点に絞ってお話をさせていただきました。
 繰り返しになりますが、この保険法はあくまで保険契約に関する基本的なルールを定めたものであって、実際的にはこれから改正作業が行われると思われます監督法規の改正、保険会社が行う約款改定、そして業界内部のガイドラインが実際の保険契約においては重要な役割を果たすことになります。その整備に期待したいところでございます。
 以上でございます。

委員長(遠山清彦君)

 ありがとうございました。
 次に、小野岡参考人にお願いをいたします。小野岡参考人。

参考人(小野岡正君)

 社団法人日本共済協会基本問題委員会副委員長の小野岡正でございます。法務委員会においてこのような機会を設けていただきましたことに、共済団体を代表して御礼を申し上げさせていただきたいと存じます。
 日本共済協会基本問題委員会は、各共済団体の共通課題に関する基本政策を審議する委員会でございます。
 まず、意見を申し述べる前に、社団法人日本共済協会について御紹介させていただきたいと思います。
 共済事業は私たちの生活を取り巻く様々な危険、例えば生命の危険あるいは自然災害、交通事故などに対して、協同組合などの組合員がお互いに助け合う目的でつくった保障制度でございます。例えば、組合員が万一のときや入院したときの費用を保障する生命共済や、組合員の家や家財が被る損害を保障する火災共済を始めとして、年金共済、傷害共済、自動車共済など様々な共済制度がございます。
 戦後、各協同組合法に基づいて、日本では数多くの共済事業を営む共済事業団体が生まれ、今日まで発展をしてまいりました。社団法人日本共済協会は、これら共済団体間の連携と協調を促進する場として一九九二年四月に発足をしたものでございます。
 日本共済協会は、協同組合が行う共済事業の健全な発展を図り、もって地域社会における農林漁業者、中小企業者、勤労者等で組織する協同組合の組合員の生活の安定及び福祉の向上に貢献することを目的としておるところでございます。
 現在、会員は、JA共済連、全労済、日本生協連、全国生協連、日火連など十四団体のほか、賛助会員二団体を加えました全十六団体により構成をされておるところでございます。また、協同組合で共済事業を実施するための法律といたしましては、農業協同組合法、水産業協同組合法、消費生活協同組合法、中小企業等協同組合法などの法律が存在をし、それぞれの法律に従って農林水産省、厚生労働省、中小企業庁から適切な指導監督をいただいているところでございます。
 日本共済協会の主な活動としては次の七点になるものと思います。
 一点目は、会員団体へ共済や保険など会員にかかわりの深い情報を日常的に提供していくことや、国内のみならず海外も含めた社会的な諸課題をテーマとして日本共済協会セミナー等の講演会開催などを行っております。
 二点目は、共済事業の社会的理解を深めるための広報活動及び相談活動を実施、展開しております。特に相談活動については、近年は組合員の相談機能を高めるため日本共済協会内に共済相談所を設置をいたしまして、共済に関する御相談などを幅広く承っているところでございます。
 三点目は、共済の健全な発展に資するための研究、会員向けの実務・研究誌、「共済と保険」と申しますが、などを始めとした出版物の刊行をしております。
 四点目は、共済団体の役職員などの組合員、契約者保護を目的とした教育、研修等の実施を行っております。
 五点目は、ICA、国際協同組合同盟の専門機関でございますICMIF、国際協同組合保険連合など、海外の共済団体との連携、協調を図る活動を展開をしてございます。
 六点目は、学者、研究者を中心として協同組合の在り方に関する共済理論研究会を設置をして研究活動を行っているところでございます。
 七点目に、共済金のお支払に関する中立的な第三者委員会を設置をいたしまして、利用する会員団体の組合員の方からの御相談に対応しているところでございます。
 共済団体の事業概況について御紹介を申し上げます。
 二〇〇六年度において、共済団体合計の会員数六千八百十七団体、組合員数が六千九百五十八万人、契約件数が一億五千三百十九万件、受入れ共済掛金が六兆八千三百八十九億円、支払共済金が四兆三千四百五十億円、総資産が五十兆九百三十四億円でございます。我が国の保障事業の中でかなり大きな位置を占めるまでに成長してきているものと考えているところでございます。
 さて、本保険法案に対する日本共済協会の考え方を申し上げる前に、日本共済協会としてこの保険法案に対しましてどのようにかかわってきたかにつきましてお話をさせていただきたいと存じます。
 本保険法案に関しましては、これを審議する法制審議会保険法部会に日本共済協会として委員を参画させてきているところでございます。先ほど日本共済協会に関する紹介の中で申し述べましたとおり、現在共済は幅広く国民の間に定着してきているということでございます。その中で、協同組合、それから協同組合が行う共済事業の社会的責任を考える必要があるということをまず大前提としてこの保険法部会にかかわってきたところでございます。
 この間、共済協会といたしましては、保険法部会におきまして、あくまでも審議をするものは契約法であり、監督法との関連、連動はないとの立場を取ってまいりました。また、共済契約への契約ルールを社会的責任の観点から必要なものと考えつつも、審議におきましては協同組合の独自性を重視をしてまいったところでございます。
 保険法部会における審議の過程では、監督法との連動性並びに協同組合の独自性につきまして私どもとしては一貫して主張してきておりまして、法務省からも、保険者に関する監督法や組織法における規律の在り方について直接検討するわけではないこと、また、保険と共済とは制度の理念や歴史的な沿革はもちろんのこと、監督法や組織法も異なっており、個々の規律の内容を考えるに当たっては、共済の相互扶助としての性格や共済の各根拠法ごとの特殊性等を考慮すべきであるという指摘もされており、これらについては個々の規律の性質の問題として考慮していくことが考えられるなどの見解をいただきながら審議に携わってまいったところでございます。
 それでは、日本共済協会として本保険法案に対しまして次のとおり考え方を表明させていただきたいと存じます。
 まず一点目でございますが、本保険法案につきまして、共済契約にも適用することを含め、基本的に必要な措置であるものと評価をしているところでございます。
 本保険法案の見直しのポイントである規律の内容の現代化は、広く社会に定着している保険、共済契約に関し、契約ルールを現代社会に見合った適切なものとするものであり、その内容である契約者の保護、保険契約上のトラブルの防止、経営の健全性の維持、高齢化社会や高度情報化社会への対応などの視点で規律内容を見直しすることは、共済団体としても基本的に必要な措置として評価をしているところでございます。
 また、共済契約に関し、現在基本的な契約ルールを定めた法律はございませんが、先ほど申し上げましたとおり、六千九百五十八万人の組合員に広く社会に普及定着している共済契約に関する基本的な契約ルールが明確に定められることは、国民の共済契約に対する理解促進などにも資することになるものと考えているところでございます。
 二点目でございますが、本保険法案において、見舞金的な制度を除き、保険契約と同等の内容を有する共済契約について、第二条の定義において、保険契約、共済契約その他いかなる名称であるかを問わず、当事者の一方が一定の事由が生じたことを条件として財産上の給付を行うことを約し、相手方がこれに対して当該一定の事由の発生の可能性に応じたものとして保険料、これは共済掛金を含む、以下同じということでございます、保険料を支払うことを約する契約をいうとされておりまして、共済契約が保険契約とは全く別個の独立した契約類型として位置付けられている点でございます。本保険法案では、保険契約と同等の内容を有する共済契約について、保険契約と同様に適用の対象となると整理をされております。
 従来、共済契約についての契約ルールは、民法並びに一部商法が類推適用されてきました。しかし、本保険法案によって、共済契約についても基本的な契約ルールが明確に定められるとともに、さきの衆議院法務委員会において法務省から、保険契約の定義を規定した第二条第一号に書いてあるとおり、その適用の対象について、保険契約と共済契約を並べて記載をしてあり、明確に区別をして規定をしている、そして、第二条第一号において保険契約と共済契約を典型的なものとして併記をしており、もちろん対等に取り扱っていると考えているとの趣旨の答弁にもありましたとおり、保険契約と共済契約が対等なものとして明確に区分して規定されている点について、意義のあるものと考えているところでございます。
 三点目に、本保険法案で、第一条の趣旨において、「保険に係る契約の成立、効力、履行及び終了については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。」とされているところから、あくまで本保険法は契約ルールを規律する法律であり、共済団体の監督の在り方を規定するものではなく、また、組織法や監督法の一元化を図るものではないという点についてでございます。
 このことは、この間の国会での法案審議において、本法が保険契約、共済契約等の契約に関する規律を定める法であって、組織法や監督法の一元化を図るものではないことを確認をされているものと認識をしているところでございます。
 協同組合が行う共済の根拠法は、先ほど申し上げたとおり、農業協同組合法、水産業協同組合法、消費生活協同組合法、中小企業協同組合法等がございます。また、所管官庁もそれぞれございます。これらの法律の下、それぞれが歴史的に特徴を持った組織として発展をしてきているところでございます。
 また、協同組合に共通の特徴として、組合員が出資をしてメンバーの一員となり、組合員が事業を利用する、組合員が運営に携わるというメンバーシップの組織として成り立っているという点がございます。特に、出資口数にかかわらず組合員が平等に扱われる点などは株式会社組織にはない特徴でございます。これら協同組織体がその特徴を維持発展していくことは、日本の社会の安全、安定化を図り、国民生活の安定、そして生活文化の向上に資するものであると考えているところでございます。
 日本共済協会と会員各団体は、本保険法案の下、契約ルールの整備を行い、契約者すなわち組合員の保護と利便性の向上に一層の努力を積み重ねていきたいと考えております。その上で、今後も協同組合の特性を堅持をしながら、組合員によって設立され運営される自主的、自発的な組織として日本の社会に貢献していきたいと考えているところでございます。
 なお、最後に、法律の施行時期につきまして御要望を申し上げたいと存じます。
 本保険法案によって日本共済協会でも新しい実務の構築や従来の実務の大幅な変更などの整備が必要になります。本保険法案が成立して以降、施行に向けて準備を進めていくことになりますが、共済事業規約や共済約款の改定に当たって、協同組合の特性といたしまして組合員の協同組織として各種段階を経た民主的な手続を経る必要がございます。最終的に、総会や総代会など各協同組合団体の組織運営ルールに基づいた丁寧な内部統治と機関決定が必要になるところでございます。組合員に対しまして本保険法案の内容を踏まえた規定を十分に理解していただくためにも、法施行までの期間につきまして十分な準備期間を設定していただくようお願いを申し上げさせていただきたいと存じます。
 日本共済協会といたしまして、今後とも、相互扶助の精神、組合自治、非営利といった協同組合運営の特徴の発揮に努め、我が国に根付いた共済制度の発展によって組合員の自助、共助による保障の確立に引き続き努めてまいりたいと考えております。
 改めて本委員会にこの機会を設けていただいたことに対しまして感謝を申し上げ、先生方の格段の御理解と御指導をお願いを申し上げたいと思います。
 以上でございます。誠にありがとうございました。

委員長(遠山清彦君)

 ありがとうございました。
 続きまして、原参考人にお願いいたします。原参考人。

参考人(原早苗君)

 金融オンブズネット代表の原と申します。参考人として保険法の審議、お招きをいただきまして、大変ありがとうございます。
 私、いろいろと肩書が、所属が書いてございますけれども、金融オンブズネットというのは、これは金融分野の消費者問題に関心を持ち続けてこの八年活動をしている消費者グループということになります。今日は、消費者側を代表して意見を述べさせていただきたいと思います。
 保険商品というのは私たちに非常に身近な金融商品で、生命保険でいえば世帯加入率は今九割をちょっと切ったところだと思いますけれども、大変身近な金融商品ということになります。
 一方、各地の消費生活センターなどに寄せられる相談や苦情も大変多く存在をしておりまして、これは根雪のように存在をしているというような感じを持っております。特に、それも解決が困難な事例が多いというふうに感じております。
 つい先ほど、五月十二日付けの朝日新聞に、現在、生損保主要九社へ苦情が、去年の年度、二〇〇七年度、四十万件寄せられていたということが発表されておりましたけれども、大変大きな数で、その前の年度よりも倍増しているということが報道されておりましたけれども、大変消費生活センターにおいてもそのような勢いで相談、苦情が増えているというのが今の現状です。
 近年は、その生保、損保共に保険金の不払、支払漏れが大きな問題になりました。保険法の審議中に表面に出てきた問題でもありましたので、保険法の審議でどのように考慮されたのか、大きな関心を持ってその審議状況を見詰めておりました。
 今回の保険法の改正については、共済が入り、そして第三分野と言われている医療保険、傷害保険が適用対象に入ってきて、保険契約者の保護に資するための規定を整備し、さらに用語の現代語化を基本としておりますけれども、その方向性には賛同はしております。
 ただ、やっぱり業務で、実務で改善をしてきた点、それから訴訟の場で一生懸命頑張ってきた点が後退する、そのレベルが後退するということになってはならず、幾つかの意見というのを持っておりますので、これから六点に分けて私の意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 第一点は、保険金の不払問題に果たして対処したものになっているかどうかということです。
 保険金の不払問題については、衆議院での審議を見る限り、不適切な不払とそれから支払漏れに分けて政府側から答弁がされていますけれども、不適切な不払については特定の社に限った特異な事件というまとめ方でありますし、それから支払漏れについては今後このようなことが起こらないようにという姿勢を示しております。さらに、現状について業務の改善が進みつつあるものと認識しておりますの答弁にとどまっております。
 不払問題は構造的な問題だという認識に私は欠けていると考えます。多様化した複雑な商品、力量不足で商品内容の理解も乏しく説明も十分できない営業職員や代理店による販売、ノルマではないものの契約を取ることで報奨金を与えるというような仕組みの中では、無理な販売がどうしても生じてしまいます。それから、請求主義を取っていることにも限界があると思います。請求を受けたら関連して該当する支払項目がないかお知らせする仕組みも考えられてきてはいますけど、あくまでも自主的な取組にすぎません。
 不払問題は今回突然起きた事件ではありません。先ほど根雪のように存在しているというふうに、苦情、相談が存在しているというふうに言いましたけれども、この中にもたくさんの不払、支払漏れというものが入っております。以前から連綿と存在していた構造的な問題です。保険法では告知義務と支払期限で不払問題の手当てをしたとしていますけれども、全体の取組の枠組みとしては不十分だというふうに考えております。
 二番目に、告知義務についてです。
 現行の自発的申告義務を改め、「保険者になる者が告知を求めたものについて、事実の告知をしなければならない。」の質問応答主義に転換をいたします。簡単な告知書に迷いながら書き込む状況というのは改善されますが、聞き手、営業職員であったり代理店側の質の向上も、ちゃんと、記載内容とか記載方法、それから告知の重要性について、こういったものについて基本的な理解を持っている方に聞かれないと、やはり私は同じようなことが生じるのではないかというふうに思っております。
 例えば、去年の八月二十九日に法制審で、これは消費生活アドバイザー・コンサルタント協会、略称はNACSと呼ばれておりますけれども、たくさんのトラブル事例をこの場で発表なさったのですが、その場で、二年前に医療保険に勧誘されたときに、ひざの痛みで通院中であることをその担当者に話したけれども、それぐらい大丈夫ですよと言われ、告知書に書かずに加入した。四か月前にひざの手術をし二十日間入院したので、入院給付金と手術費の保険金を請求したところ、告知義務違反と言われたと。担当者の言葉を覚えていたので交渉したところ、既払い金の三十万円弱は保険料は返されたということなのですが、これは返されたという非常に、何というんでしょうか、既に払ったものについては返されたということになるのですけれども、こういったトラブル事例は大変多いんですね。
 ですから、今回、質問応答義務に転換はいたしますけれども、これだけで状況が改善されるということにはならないということです。告知書が明確それから具体でない場合は告知義務違反は問えないということが法制審の場でも確認をされていますので、その点はやっぱり十分御配慮をいただきたいと思います。
 告知妨害の規定が導入されたことは賛成です。監督法である保険業法での手当てと告知妨害はどのような場合がそれに当たるかの具体化が必要だと思っております。
 それから、プロラタ主義についてなのですが、告知義務違反に対して保険契約者又は被保険者に重大な過失があった場合には一定の方法により保険金が減額されるものとする考え方、いわゆるプロラタ主義は導入されませんでした。保険契約者のモラルハザードの面からすると、現状では妥当な判断だと考えます。安易な過失相殺も好ましくないと思っております。ですけれども、実際の訴訟の場での非常な困難性を考えると、今回の審議を起点に今後更に十分な検討を尽くしていただきたいと考えております。
 三番目に、保険給付の履行期についてです。
 保険給付を行う期限を定めた場合であっても、保険給付を行う期限を定めなかったときにあっても、当該請求に係る保険事故などの確認のために必要な期間は遅滞の責任を負わないものとするとしていますが、個々の約款での期間明記は私は原則として必要だと考えております。現行約款の状況については、先ほど福田参考人からも御説明にあったとおりです。保険商品それから支払の多様化のため一律規定は困難とされましたけれども、現行約款では既に書いているわけですから、何らかの方法で決めていくということはできるはずです。
 実際には、損害保険の場合は支払が遅いというトラブルが相当数あるのですね。ですから、支払われないということのトラブルもありますけれども、支払が遅いというトラブルも相当数に上ります。衆議院での質疑にありますように、例えば迅速かつ適切に調査を行うといったような規定の導入はすぐにも可能なはずです。
 これも昨年八月二十九日の法制審議会で提示されたトラブル事例ですけれども、六年くらい前に入った終身保険の特約に付いている重度障害保険金を、十か月前に心筋梗塞になって心臓手術の後遺症で障害認定を受けたので請求したところ、すべて保険会社が必要という書類は出したのに、調査と称して半年も返事を延ばされて、その間もずっと保険料を払っているというような状況が報告をされております。
 それから四番目に、被保険者の同意についてです。
 これについては福田参考人からもるる御説明がありましたので詳しくは申し上げませんけれども、大変懸念をしております。実務の面で後退をするのではないかというふうに考えております。最終的な判断は契約者の利便が優先され、本人の自己決定権が後回しになったと、後ろに行ってしまったということになると思います。
 何というんでしょうか、細かい条文ということは、法案では、他人を被保険者とする死亡保険では被保険者の同意が原則とされました。しかし、他人を被保険者とする傷害疾病定額保険では、被保険者の同意を原則としながらも、被相続人を被保険者とする場合には同意は不要とされました。さらに、傷害疾病損害保険については被保険者の同意は必要とされていません。同意の原則の例外が広がり過ぎました。消費者から見て、どれが同意が必要な保険なのか、そうではないのか、大変分かりにくくなったと考えます。
 傷害による死亡、病気による死亡で、被保険者が受取人の場合は同意が不要というふうになっていますけれど、死亡の場合は大概どちらかなので、結局、多くの場合に被保険者の同意が不要となるのではないかということです。なぜなら、被保険者が亡くなるということでは相続人がその受取手になるということですから、ひっくり返すとそういう状態が出てくるのではないかということを懸念しております。
 一方、これを懸念して保険契約関係からの被保険者の離脱に関する規律を認めていますけれども、これが機能すればある程度補完することが考えられるのですけれども、しかし、これも被保険者にそのことが知らされていなければ全く機能しないわけで、情報提供の義務付けが必要だと思います。
 それから、未成年者の死亡保険については、これは私も所属をしております金融審議会でも大変紛糾した問題になっております。今現在、ワーキングでは検討中ということではあるんですが、検討がストップした状況になっております。未成年者を被保険者とする死亡保険なのですけれども、背景に、高度障害を負った場合の保険商品の設計と抱き合わせになっていることにもニーズが誤認されているのではないかというふうに考えております。
 私自身も、掛けていた保険を途中からこのタイプの保険に転換をさせられました。そのときに、本当に子供の死に掛ける保険のニーズがあるとは到底思えなかったんですね。ただ、どうしても保険を契約を継続したいためにその保険に転換をいたしましたけれども、やっぱり保険設計まで踏み込んで検討していただきたいというふうに考えております。
 五番目に、責任開始前発病の扱いです。
 保険契約の責任開始前の発病を理由とする不払については、丁寧に整理しておかないと今後大きな問題になると思います。第三分野の不払問題は大変多くなってきておりますけれども、この問題が絡む場合が大変多いのです。
 実際の事例を見ると、被保険者自身が無自覚だった場合と、正しく告知をしていたのに条件を付けられて給付を拒否される場合とがあります。消費者からすれば、保険契約を引き受けたからには支払ってほしいということになります。保険契約開始時に告知義務を負っているわけですから、そこをクリアして契約をしたからには私は原則支払うべきだというふうに考えて、支払の場で再度拒否をされるということは二重に告知義務を背負わされている状況が生じているということになります。
 法制審では担保範囲の問題とされ、約款で工夫するということになりましたけれども、全体としての私は検討が不十分だというふうに思っております。
 法制審議会、八月二十九日に、国民生活センターも事例を持っていらっしゃったのですけれども、自分の健康状態や通院歴などをきちんと告知書に記入して医療特約付きの生命保険に加入したと、後日、子宮頸がんであることが分かり、入院、手術をした。保険会社に給付金の請求をしたところ、責任開始前の発病は支払の対象外との理由で支払を拒否された。これまで医師からがんと告げられたことはないし、その自覚症状もなかった。加入時の告知にうそはないのに給付金が支払われないのは納得できない。これは無自覚の方の場合ですよね。これでも給付をされていないということになります。
 それから、最後になりますけれども、保険業法も含めての改正を望んでおります。今回は保険法の成立ということでのここでの審議ということになりますけれども、監督法である保険業法もそれに対応した抜本的な改正を望みます。現行の保険業法では、わずかに第百条の二、三百条に消費者への規定があるにとどまっております。保険料積立金の内容を具体化する提言や解約返戻金についての現状の見直しは法制審でも検討されました。是非、保険業法の中できめ細かな手当てをお願いをしたいと思います。
 それから、告知義務の明確化についてもお願いをしたい。それから、約款規制についての見直し。四つ目に、広告も含め情報提供義務、それから契約関連の規定の充実があります。五番目に、商品認可の在り方も問題だと思っております。
 保険法の成立を起点に不払問題が解消に向かうとともに、情報提供、契約の在り方、商品の在り方まで含めて大きな転換を図っていただきたい。
 保険商品は消費者に身近であり、トラブルも多い商品契約群です。保険法は成立しても、保険業法は旧態依然、消費者、契約者への視点を欠いています。これは、消費者庁構想とも私は連動していく話になると考えております。是非、消費者にとって、生活者にとって信頼ができる保険というもの、共済というものを目指していただきたいというふうに考えております。
 以上で私の発言は終わりとさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

委員長(遠山清彦君)

 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、参考人の皆様におかれましては御答弁は簡潔にお願いをしたいと存じます。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。

鈴木寛君

 民主党の鈴木寛でございます。
 福田参考人、小野岡参考人、原参考人、それぞれ大変貴重な御発言をいただきまして、誠にありがとうございます。心から御礼を申し上げたいと思います。
 今日それぞれの参考人の皆様からの議論でも浮き彫りになったわけでありますが、この保険の在り方というのは、本当にこの社会の在り方そのものと極めて連動した大変難しく深遠な問題だと思っています。と申しますのも、実は私は以前、「ボランタリー経済の誕生」という本を書いたことがあるんですけれども、この国の社会を、政府による問題解決、ガバメントソリューションと申し上げていますが、それからマーケットによる問題解決とコミュニティーによる問題解決と、やっぱりこの三つをうまく組み合わせるということによって二十一世紀の社会秩序とか様々な問題というのは解決されるというふうに僕は思っているわけですね。
 それで、この保険というものをどういうふうにとらえるのかと。この議論は、残念ながらといいますか、いわゆるマーケットといいますか商品としての保険論というものがかなり前面に出た形の、この背景にはアメリカとの金融協議などの意向というのもかなり反映されているのではないかという私は分析もいたしておりますが。そもそもマーケットソリューションが健全に働く大前提として、情報の非対称性がないといいますか、情報の対称性が確保されると、こういうことは極めて重要で、それと新規参入者と、この二つが私たちが政策立案論などで学生に対して説明するときのマーケットメカニズムが働く大前提なわけですね。
 しかし、保険、とりわけ昨今、私も医療政策にかかわっておりますけれども、第三分野、とりわけ医療保険というものはこの情報の非対称性がより非対称になっている分野における商品設計という問題を抱えておりまして、これは相当構造的に難しい問題をはらんでいるということを我々はやっぱりきちっと認識をすべきではないかと思います。
 これは、情報の非対称というのは二重の意味でいわゆる市民は負っていて、保険商品の複雑性に対する非対称性という問題と医療というものについての非対称性とダブルの意味での非対称性を負っているわけでありまして、この非対称をどうやって補整をしていくのかということはこれ相当難しい問題で、今回のこの保険法の改正案は一つの端緒でありまして、これ、これからもこの法務委員会始め厚生労働委員会とか国会を挙げて引き続ききちっと、もちろん財政金融委員会もかかわりますけれども、議論をちょっと継続して議論を更に深めていく必要があるということを私は思っているということを申し上げたいと思います。
 それと、非対称性という中にそういった専門能力による非対称性の問題もあるわけでありますが、結局動機というものが利潤動機であるというところにやっぱり私は最終的な限界というものがあって、当然、複雑化する保険あるいは複雑化する医療といったものに専門知識を持った人たちが介入をしていくということはこれ当然重要なわけでありますが、それがどういう立場で介入をしていくのかと。利潤動機で関与をするのか、それとも私の言うところのコミュニティーソリューションでありますが、構成メンバーの福利厚生のためにプロフェッショナルが尽力をするのかというこの立場の違いということも極めて重要でありまして、こういった議論がやや、飛んでいるとまでは申し上げませんけれども、こういった議論の視点というものがもう少し十分に議論されるべきではなかったかなというふうに思っております。
 いろいろ伺いたいことはあるわけでありますけれども、まずコミュニティー論ということを申し上げたときに、私は、特に民主党というのは、自助中心の競争原理、市場原理主義の社会というものを決して求めている、マーケット中心の社会を希求しているわけではなくて、むしろ互助とか共助とか、なかなかこれ大きな政府にこれから行くわけにはいかないと、そうなると互助と共助というのは大変重要な、コミュニティーソリューションによる問題解決が大変重要だと思っています。
 そのときに、この共済という考え方は、先ほども小野岡参考人のお話にありましたけれども、要するにマーケット型の商行為、利潤行為の保険の部分集合として位置付けておくというこの位置付け自体に私は疑問を持っておりまして、むしろ第三の道を成立ならしめるための非常に基盤的な社会的枠組みとして、共済というのは私は再定義をすべきだというふうに思っているわけであります。
 少し一例を申し上げますと、私の知人で病児保育をやっているNPOがあります、ソーシャルアントレプレナーですね。このソーシャルビジネスモデルをつくる上で結局最終的に行き着いたのは、やっぱり共済型の掛け捨て型の、要するにいつ病気になるか分からないと、病気になったときにボランティアないし介護をするそうしたスタッフを派遣すると、こういうソーシャルビジネスモデルなんですが。これを追求していった結果、やっぱり掛け捨て保険型の、ある意味で共済類似のビジネスモデルをつくらざるを得ないと、こういうことになっていったわけですね。こういうことというのはこれからどんどんどんどん増えていくと。そういう中で今の大きな流れ、共済を保険の部分集合にしていってという流れは、こうした新しいソーシャルビジネスモデルの可能性を摘んでしまうという私は危惧を持っているというふうに思っております。
 そこでちょっと御質問でございますが、小野岡参考人に御質問を申し上げますが、私はそういう理解を共済あるいはコミュニティーソリューションというものに持っているわけでありますが、改めて共済と利潤目的のあるいは経済行為としての保険というものの違いというものは端的にどこにあるのかと、私の理解についてのコメントもお聞かせいただきたいと思いますが、何になるかと。
 それから、そういうことを前提として、保険法案あるいは共済をつかさどっておられる皆様方としてどういうことを今後、これから恐らく今国会でも当分続くんだと思うんですね、この保険の議論というのは。というか、続けていかなきゃいけない、深めていかなきゃいけないと思っていますが、そういう際に私どもがきちっと心しておかなければならないことは何なのかということについて御発言をいただきたいと思いますし、それから、私どものところにも、例えばモータースポーツの関係の方とか山登りをしておられる山岳会の方とかこういう方々が、まさに自分たちのコミュニティーのメンバーの皆さんのためにいろいろなモデルをつくってやっておられたことができなくなってきてしまっていると。こういういわゆる自主共済とか無認可共済とか、こういうことについてもどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 ちょっと盛りだくさんで恐縮でございますが、お願い申し上げます。

参考人(小野岡正君)

 ありがとうございました。それでは、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 まず、共済と保険との違いは端的に言うと何かという御質問をいただきました。
 保険と共済の違いは、一般的には組織の違い、それから運営の違いであります。共済というのは、特定の団体の構成員を対象としたものでございまして、その構成員は、出資をし、かつ運営に参加をし、事業を利用すると、こういうことで共済事業の運営者と、こういう位置付けも持っていると思います。そういう点で、不特定多数の方と商品として契約を結ぶ保険というものとは異なったやり方をしているというふうに思っております。
 そして、何よりも共済の目的は組合員の皆さんの相互扶助、助け合いというところでございまして、共済自体がこの事業を通じて利潤を得ていくという動機はないということでございます。もちろん、出資をいただいていますのである程度の配当は可能なんですけれども、そこが目的ではなくて、配当についても制限がありますし、むしろ共済契約者の皆さんに還元をしていくというところに重きを置いた運営をしているということでございまして、あくまでも組合員の皆さん、そして共済契約者の皆さんの福利厚生ということが事業の、組織の運営の目的であるという点が最大の特徴点であろうかと思っているところでございます。
 それから、そういう立場で、この議論が今後行われていく中で共済団体として何を求めていくのかという点での御質問でございますけれども、私どもとしては、この保険法案につきましては契約ルールに限定をした法律であるということが最大の眼目であります。共済団体の監督は、先ほど申し上げたように各省庁ごとに監督をしていただいているところでございますが、この保険法を契機に組織法や監督法を一元化するということではないということで今回については理解をしているところでありますが、その点について引き続きこの参議院の場でも御議論、御確認をいただければ私どもとしては大変よろしいのではないかなというふうに考えているところでございます。
 それから、先ほど先生から御指摘いただきましたとおり、共済というのは非常に多様な団体でございます。私どもは制度共済でございますけれども、私どものような制度共済ではないいわゆる自主共済と言われる事業を行っている団体がございます。
 かつての保険業法の改正、二〇〇六年の保険業法の改正でいわゆる無認可共済に網が掛けられました。無認可共済というのは、その中には公序良俗に反する非常に不適切な団体もあったということでございまして、それらの団体について一定の整理がされたということでございますが、そのことが、そうではないいわゆる本当に共済らしい活動を行っている自主共済の団体にまで影響が及んで、それらの団体の活動が難しくなっているというようなことについてもお聞きをしておりまして、私どもといたしましてもその点について大変危惧をしているところでございます。
 健全な自主共済団体につきましては、社会の安定性の確保や日本社会の健全な発展、いわゆるコミュニティーの発展にとって非常に必要なことでございまして、引き続き相互扶助の理念に基づいてその運営が認められるべきではないかというふうに私どもも心配をしているということを申し上げさせていただきたいと思います。
 以上でございます。

鈴木寛君

 ありがとうございました。
 福田参考人から努力義務に関して、例えば保険者の誠実協力義務とか説明義務とかですね、助言法理とか適合性原則などを私法上の義務にも接続できるようにすべきだという御指摘がありましたが、これは非常に私は大事な御指摘だというふうに思いますし、また加えて、デューティー・ツー・コオペレート、協力義務、これも結局、保険というもののいわゆる非対称性というのは、これはもう本源的に解消することはできないと。そうすると、どうやってコミュニティーソリューション型に保険のオーダーというか共済も含めての秩序というものを持っていくかということにならざるを得ないんですね。
 それはなぜかというと、原参考人のお話にもありましたけれども、結局、ガバメントソリューションに任せていくと、それは膨大なモニタリングコストが掛かりますし、グレーゾーンのときにどうしても介入というものが遅れてしまう。その結果、保険金不払とか様々な問題が放置されざるを得ないという、要するにガバメントが入るときというのは、それは謙抑的でないとしようがないので、そこに、マーケットソリューション的にはそもそもこの市場の不備、失敗問題があるし、政府監督にはそういった限界があるという中で、私法的にきちっと義務接続をし、かつその双方が協力義務を、デューティーを負っていくという観点、物すごい大事だと思いますし、そのことによって、それを進めることによって原参考人が懸念されている問題も本質的になくなっていくんだというふうに私は思っておりますが、その点についてお二方からコメントをいただければと思います。

委員長(遠山清彦君)

 鈴木委員の質疑時間は終局しておりますので、福田参考人、原参考人、誠に申し訳ございませんが極めて簡潔に御答弁ください。

参考人(福田弥夫君)

 福田でございます。鈴木委員、ありがとうございます。
 私といたしましても、あの条項がなぜ最後の最後漏れてしまったかというのが非常に残念でございます。あれを入れることによりまして、大分、先ほどおっしゃいました非対称性であるか、保険者と保険契約者の協力体制というのが保険契約の中に本質的に含まれているものということがきちんと定まったのではないかなと思います。私としては非常に残念でございます。

参考人(原早苗君)

 保険業法において民事効がほとんど考慮されておりません。まあクーリングオフ規定は入っておりますけれども、大変分かりにくいですし、損害賠償規定も入っていないというところで、私はやはり司法的な手当ては保険分野では大変まだ不十分だと考えております。
 以上です。