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2008年11月19日衆-厚生労働委員会

<中略>

冨岡委員

 ありがとうございました。
 この後期高齢者医療制度が施行されて、私も何で七十五歳でという思いは確かにございまして、地元に行くと……(発言する者あり)いや、思いは大体一緒なんですね。
 それで、そこを詳しく聞いていくと、どうも保険証が違ってきて、今まで息子あるいはお父さんから払っていた、自分の年金からぽっと引かれたということがとてもショックだったと。あるいは、核家族化を推進して、先生は今まで三世代、四世代の家族構成をするのがいいんだとおっしゃっていたじゃないですか、介護保険とかあるいは障害者保険で子供と分離した方が負担が軽くなるような政策を何で次から次に打って出るのか、この後期高齢者もそれと同じようなラインじゃないかという御指摘を現場で受けました。確かにそうかなという部分もあったんです。
 いろいろ現場で話を聞いていくと、どうも七十五歳というのが、今では少しずつなじんではきて、六十五歳で定年になって、七十五歳で、ゴールドプランじゃないけれども、ああ、そういうことかな、年齢かなというふうに私自身、近ごろ、そういうふうに理解をしてきた部分がございます。
 それで、介護保険などは六十五歳、最初は、我々、若いうちは、定年退職は五十歳とか五十五歳あるいは六十歳で、どんどん上がってきているんですね。これは皆さんお感じだろうと思います。今、六十五歳が当たり前になる。やがて七十、そして七十五ということで理解が進むもの、私はそういうふうに思っている部分があるんです。
 今、私、皆様方の気持ちを代弁したようなことをちょっと申しましたけれども、将来的にそういう制度をなじませていくという御努力はされないのかどうか、あるいは、年齢的な移行というのを今簡単にさらっと流しましたけれども、皆様方はどのようにお考えなのか。その点を、政府としても参考にしたいと思いますので、どなたか御答弁いただければと思います。

鈴木(寛)参議院議員

 お答えを申し上げます。
 今、率直に、さすが現場のいろいろな高齢者の方々と接しておられる先生から、皆様方がどのように感じておられるかということについての御感想もいただきました。
 私どもは、そもそも、医学的には根拠のない七十五歳という年齢で一律に別の制度を設けるという、この考え方はやはり問題ではないかということで廃止法案を提出させていただいているところでございます。でありますから、また後の御質問になってしまうのかもしれませんけれども、私どもは、今までの経緯の中で、年齢とかあるいは所得によるいろいろなリスク、これが市町村国保に非常にしわ寄せが行っている、このことは我々も共有しております。
 ただ、それは、その調整の仕方として、平成十八年に与党が導入された別建ての、七十五歳以上が独立した保険制度がいいのか、それとも、私どもが従来から主張させていただいておりますように、年齢やあるいは所得などのリスクを調整するという方式がいいのか、この議論を深めていきたい。
 我々は、もちろん、独立ではなくて、市町村国保についてとりわけリスクが偏っている、そこについては、先ほど政省令というお話がありましたが、政省令も含めますが、とりわけやはり予算措置、ここが非常に重要なポイントだ、こういうことで考え方をお示ししているところでございます。

冨岡委員

 全体の制度のあり方は、論ずるにはまだちょっと時間がかかると思うので、後で質問者が出てまいりますので、その点はまた後で御答弁いただきたいと思います。
 現実的に、後期高齢者医療制度を廃止した場合の影響についてやはり少し考えておかなくてはいけないと思うんですが、その準備経費、端的に言うと、せっかく施行して一年たたないうちに廃止するという事の重大性と、あるいは費用について、政府の方から、もしそういった試算等がございましたら御報告をしていただければと思いますが、委員長、よろしいですか。

水田政府参考人

 長寿医療制度の準備経費についてのお尋ねでございます。
 この経費、さまざまございますけれども、金額として把握しているものについて申し上げますと、システムの開発等に必要な経費といたしまして、平成十八年度及び十九年度の当初予算及び補正予算といたしまして国が措置した額は、総計約三百十億円でございます。このほか、平成十八年度及び平成十九年度、市町村におきましても、システム開発に必要な経費として、別途、先ほどの金額とは別に約五百六十億円程度の負担を行っているところでございます。

冨岡委員

 数百億円に上る経費の、逆に言えば無駄遣いが起こるわけなので、制度というのは、今まで多くの制度が改善というんですか、出されてきて、大体我々は検証というのをするわけなので、その検証が終わる、よほどの悪法、まあ悪法というふうに思われているのかもしれませんが、それを見直すのはやぶさかではないんですが、その必要がないのにこういう費用の負担が生じるということについてはいかがなものか。その点についてお答えいただければと思います。

小池(晃)参議院議員

 お答えをいたします。
 私どもとしては、今質問者がおっしゃった言葉をおかりすれば、これが大変な悪法だというふうに考えております。だからこそ廃止をすべきだというふうに提案をしているわけでございます。
 今も答弁ございましたが、システム改修等に要した経費が三百億円を超える、このこと自体、私ども、多額に過ぎるのではないか、妥当な金額だったのかということについては疑問を持っております。
 同時に、この後期高齢者医療制度は、今御質問者にあったように、私どもは、麻生総理が国民に理解が得られていないというふうにおっしゃらざるを得ないほど重大な矛盾を抱えていると思います。制度の導入前から実施中止を求める声も多数上げられておりました。こうした矛盾だらけの制度を導入しなければ、今御指摘のあった準備経費も必要なかったものだというふうに考えます。
 しかも、施行後も、多大な経費をかけた宣伝や負担軽減策などで、引き続き、後期高齢者医療制度を導入しなければ不要だった予算を使い続けているということが実態でありまして、これは後期高齢者医療制度を継続することこそ無駄遣いを拡大することになるのではないかというふうに考えております。
 私どもは、これを廃止することこそ、国民の願いにこたえ、無駄遣いをとめることになると考えております。
 もちろん、後期高齢者医療制度は既にスタートしておりますから、その廃止に一定の経費がかかるということは、これは事実でございます。その件について、当然、可能な限り節減に努めてまいりますが、廃止をしなければそれ以上の無駄遣い、国民に害をもたらすという制度をなくすために必要な支出を国が行う、手当てすることは当然のことではないかというふうに考えます。
 なお、システムの再改修ということになるわけですから、そういう点でいえば、既にでき上がったシステムを改修するということについての経費は、最初に導入するときの経費ほどかからないのではないかというふうに私どもとしては推察をしております。

冨岡委員

 そこら辺の見解の違いがやはりあるとは思いますが、私は、この制度自体は、十年以上かけて練られたものであり、いろいろ手直しのチャンス、議論の場、そして有識者の意見等を勘案してでき上がったものと理解しております。
 私の大先輩であられる自見先生もそこに座っておられますが、恐らく、当時の自民党というんでしょうか、部会等で十分に審議されて、そのときはいいというふうに結論を出されたものだと思いますが、その点、どうですか、先生。非常に矛盾を感じるわけでございます。
 やはり、気づかない面はありますよね、確かに、制度をつくるときに、後で気づく場合。それは今、政府も補正というか、正す部分はやぶさかではないというふうな姿勢をとっているわけであるのであって、では、この十年間にもなんなんとする議論の期間は、野党の皆様を含めて、一体何だったのかということをやはり自問したくなるんですが、先生、どうでしょう。

自見参議院議員

 医学の道を進む同志でございます冨岡元長崎大学医学部の教授に議員として当てていただきまして、大変光栄に思うものでございます。
 また、今、福山代表発起委員から弔辞の表明がございましたが、私も二十四年前、当時まだ三十九歳でございまして一年生議員でございましたが、昭和の年金大改正というのがございました。私も社会労働委員会の一年生の議員でございまして、伊吹文明それから野呂昭彦先生とともに、この社会労働委員会、当時、社会労働委員会と言いましたが、末席に座っておったわけでございます。ちょうど吉原年金局長、山口年金課長でございまして、両方とも事務次官になられたわけでございますが、山口事務次官、御夫妻ともに命を落とされたということでございまして、また、吉原事務次官、大変朗らかな人でもございまして、社会保険庁の長官もたしかされたと思いますが、奥様がきのう襲われたということでございまして、改めまして、お二人に、亡くなられた方に心からの弔意と、おけがをされた奥様に本当に一日も早い御快癒、そして、何よりも法治国家でございますから、絶対に暴力というのは許されないというのが本当に戦前戦後を通じての議会制民主主義の大原則でございますから、一日も早く犯人の検挙、逮捕ということを、これはもう与野党ございません。
 議会制民主主義というのは、やはり暴力を否定して、日本国の憲法の一番最初に書いてありますように、日本国民は、敗戦の中、正当に選挙された国会議員を通じて行動するということが憲法前文の一番最初でございますから、そういった重たい重たい責任が与野党あるいは衆参国会議員の我々にあるわけでございます。そのことを、これはよく冨岡議員もおわかりでございますが、お互いに共有してしっかり、そのことだけは最初に、ちょっと余分でございますけれども、田村委員長の御指名をいただきまして述べさせていただいたわけでございます。
 さて、答弁でございますが、後期高齢者医療制度の、確かに先生言われたように、自民、社民、さきがけで出したときの私は与党の二番目の責任者でございまして、一年近くかんかんがくがく論議をさせていただいたわけでございますが、私は、率直に申し上げまして、この後期高齢者医療制度の問題点は三つあると思っています。
 一点は、もう御存じのように、まず医療費削減ありきということからスタートした制度だと私は思っております。二十年ぐらい前は厚生省内部でも財政当局と大変激しい論争がいろいろあった時代がございましたが、この十年間、特に小泉さんの時代になって、財政優位の社会保障政策になってきた。その象徴が骨太方針二〇〇六で、毎年毎年社会保障費を二千二百億削っていくということの内閣の決定に象徴されておる、こう思うわけでございますが、その点がまず一点。
 それから二点目は、もう御存じのように、保険者として、前から、国か、都道府県か、市町村かという話が本当に昔からございまして、結局、この後期高齢者医療制度、実態を担うのは、やはり後期高齢者都道府県連合ということになりまして、これは非常に実はぬえ的な存在でございます。
 この前、県知事会に聞きましたら、こういう制度には責任が持てないと。市町村に聞いたら、先生御存じのように、市町村国保というのがありまして、これは市町村が責任者でございますが、要するにお金が十分に国から来ないから自主財源を払わざるを得ないということがありまして、両方ともそっちへ逃げまして、私は、後期高齢者都道府県連合というのは極めてぬえ的な、責任のはっきりしていない団体であるというふうに思っております。
 それからもう一点。これは、冨岡先生が一番御存じのように、法律に書いてありますように、医療費適正化計画というのが二番目にありまして、これはもう五年たって、都道府県で医療費がオーバーした場合は、診療報酬を都道府県に限って下げていい、制限医療をするということでございます。
 私は、少なくとも、ヒポクラテス以来、医療というのは平等であると。これはヒポクラテスの誓いの中に、ギリシャ時代の話でございますが、たとえ相手が貴族であっても、奴隷であっても、人においては同じであるから、医者というものは同じように診なければならないというのが、私は今でも、万国、人間生きとし生きておるものの世界における基本だと思っております。
 年をとってくれば、先生よく御存じのように、主病は一つだ、あるいは今は、現在六千円の包括医療だというふうなことで非常に制限医療をせざるを得ない。あるいは、五年たって、医療費がその県で多い場合、診療報酬を例えば一点十円を八円にするというふうなことを、初めて都道府県知事と主務大臣にそういう権限を与えたわけでございまして、国が放棄せざるを得ないというのかもしれませんけれども、私は、そういった制限医療を初めてした、戦後、まさに、福祉社会といいますか、人の尊厳に対して極めて財政優位の悪法だ、こう思っております。
 いろいろ先生のお話もございましたように、百九十の中で日本が一番、男女ともに世界最高齢は日本でございますので、言うなれば金メダルを長生き競争でとったわけです。そういった意味で、私はこれをブリキのメダルに変えたんだろうと思っておりますので、いろいろ前の問題、問題はありましたけれども、やはりきちっと、もう一回金メダルに戻して、財政も大事ですし、やはり国民の安心が大事でございます、なおかつ、医療は、アクセス、クオリティー、コスト世界一というのがWHOの認定でございますから、そういういい点をしっかり残しつつ、衆知を集めて、さらにプラチナメダルにしていく必要がある、その過程だというふうに私は思っております。
 少し長くなりましたけれども、冨岡先生、ぜひお許しいただければと思います。

冨岡委員

 ありがとうございました。
 ちょっと時間が押しましたが、最後になりますが、具体的な案をやはり提案していただきたい、それが最大ですね。
 我々、いわゆるこの医療と介護と年金も含めて、総合社会保障制度というのを党内で議論しています。その一環として、社会保障カードというかソーシャル・セキュリティー・カードを導入するのが二十三年に決まっております。その議論を、例えばうちの県ではもう既に始めております。その中で、こういった医療制度、幾つかありますけれども、組み込んで、一枚のカードでインプットとアウトプットがしっかりできるような制度をつくれば、いろいろな煩雑な制度等も一気に解決するんじゃないかということで、もう既にいろいろな医療界を含めた年金制度の部門と議論をやっているところであります。
 したがって、与党・政府はもう既にそういう枠組みの中で物事づくりを進めておりますので、どうぞ皆様方もそれに乗って、きょう六時間これをやるんですが、益のない議論にならないようにするべきだと私は思っております。
 このソーシャル・セキュリティー・カードにつきましては、もう既に骨格ができておりまして、そういう意味で、何とかこの医療制度をその中に組み込む、どう組み込むかが今の議論。こうすることによって、ドイツとかフランスに一気に追いつきます。アメリカのように、ソーシャル・セキュリティー・ナンバーだけでは終わりません。あの薄い紙切れ一枚で、あの国は今停滞しています。これがやはりこの分野できちんとする、その最高の切り札じゃないかというふうに私は思っていますが、そういった考え方はどうでしょう。どなたか御答弁いただければと思います。

鈴木(寛)参議院議員

 お答えを申し上げます。
 今議員から、ソーシャル・セキュリティー・カードについてのお話がございました。改めまして、私ども、大変意を強くしたところでございます。
 すなわち、私も以前、このソーシャル・セキュリティー・カードの情報インフラの整備について、委員のお一人であります荻原委員とも一緒に取り組んでいた時期もございます。まさにこれは医療の、保険のみならず診断すべてについての一元化を進めていく非常に重要な社会基盤であり情報基盤だ、こういうふうに理解をいたしております。
 実は、私ども民主党も、将来的には医療保険を一元化していく、そして保険だけではなくて電子カルテなどとの一元化をしていく、こういう考え方でございますので、先生のお話しになったソーシャル・セキュリティー・カードのインフラを整備していくということについては全く同感でございます。そのためにも、七十五歳以上だけを別にした独立型の後期高齢者医療制度については、もう一回精査をして出直す必要があるのではないかということを議論させていただいているところでございます。

冨岡委員

 私もその意見には賛成でありますので、トータル・ソーシャル・セキュリティー・システムをいかに早く構築するかが我が国の全体の枠組みづくりに非常に貢献すると信じておりますので、どうぞ協力してやっていきたいと思っております。
 以上で終わります。

田村委員長

 次に、高鳥修一君。

高鳥委員

 おはようございます。自由民主党の高鳥修一でございます。
 きょうは、質問の機会をいただきまして大変ありがとうございます。
 冒頭、昨日、元厚生事務次官山口剛彦さん、妻美知子さん、吉原健二さんの妻靖子さんが連続的に襲撃されるという事件が起こっております。亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、重傷を負われた方のお見舞いを心から申し上げます。
 本日は、後期高齢者医療制度廃止法案について質問をさせていただきます。
 まず、簡潔に、後期高齢者医療制度が成立するまでの経緯を振り返らせていただきます。
 昭和四十八年、老人医療費を無料化するということがございまして、待合室のサロン化、あるいは同じ病気で幾つもの病院にかかるはしご受診など各種の問題とともに、医療費が急増いたしました。
 さまざまな議論の末に、昭和五十八年、老人保健制度ができまして、本年の三月まで続いたわけであります。この老人保健制度も、世代間の負担関係が不明確、あるいは保険料も市町村の財政事情によって大きな格差が生じているなど、制度のゆがみに限界があるということは与野党共通の認識であったと理解をいたしております。
 そこで、お伺いをさせていただきます。
 この老人保健制度でありますが、健保組合の拠出金の割合でありますが、昭和五十八年には一三%であったものが平成十一年には四〇%となるなど、その負担が過重になったことから、健保組合の約九七%が老健拠出金を払わない、いわゆる老健拠出金不払い運動が発生いたしました。
 こういう状況を踏まえて、これは手元に当時の資料がございますが、平成十二年の参議院における健康保険法等の一部を改正する法律案の附帯決議において、共産党を除く全会一致で「老人保健制度に代わる新たな高齢者医療制度等の創設については、早急に検討し、平成十四年度に必ず実施すること。」という附帯決議が採択をされております。
 なぜこのような公党間で見直しを採択した老人保健制度を復活させるのか。ちなみに、当日の提出者は民主党の柳田稔参議院議員であります。まずその点をお答えください。

鈴木(寛)参議院議員

 お答えを申し上げます。
 大変重要な御指摘でございますので、お答えを申し上げたいと思います。
 議員おっしゃるように、平成十二年十一月三十日に参議院の国民福祉委員会で、今引用されました附帯決議が行われました。それを受けまして、平成十三年の九月に社会保障審議会で四つの方式が検討されまして、すなわち、独立保険方式、突き抜け方式、年齢リスク構造調整方式、一本化方式、この四つの考え方が提示されました。
 民主党は、従来よりこの突き抜け方式と年齢リスク構造調整の混合型ということを主張し、今でもそのような考え方をとっているところでございます。
 そういう社会保障審議会の御議論を経て、実は、平成十四年の九月には、当時の厚生大臣でいらっしゃいました坂口大臣も私案というものを公表されまして、制度を通じた年齢構成あるいは所得に着目したリスク構造調整方式、こういう案を当時の厚生省は試案として公表されていたと思います。ただ、厚生省は、A案として坂口私案の延長線にございますリスク構造調整と、それからB案といたしまして平成二十年四月一日から導入されました独立方式、この二つが最終的には案として残ったわけでございます。
 そこまでは非常に与野党かみ合った、A案もB案ももちろんそれぞれにいろいろな議論が積み重ねられて、我が党といたしましては坂口当時厚生大臣もお示しをされておられましたA案、すなわちリスク構造調整方式が望ましい、こういうことを主張させていただいていたわけでございますが、しかしながら、平成十五年に入りまして、必要があればまた自見提案者の方からも補足をいただきたいと思いますけれども、この議論が一変をいたします。すなわち、経済財政諮問会議の登場でございます。経済財政諮問会議がかなり強硬な形でB案を主張されまして、そして平成十五年三月二十八日にいわゆるB案という方向が出たところでございます。
 しかしながら、当時の平成十六年、十七年に厚生労働大臣をしていらっしゃいました尾辻大臣は、この経済財政諮問会議の論調に大変厳しく反論をされまして、私も当時行政監視委員会で尾辻厚生労働大臣に対して、経済財政諮問会議の議論の進め方というのは強引ではないか、与野党協力してきちっとこうした問題を議論していったらいかがかですかということを御質問させていただいて、厚生労働大臣もそうした与野党の御意見を大変体していただきまして、経済財政諮問会議と大変厳しい議論をしていただいたと私は承知をいたしております。
 しかしながら、平成十七年の十月末に尾辻大臣が退任されるや否や、平成十七年十二月一日に政府・与党で医療制度改革大綱がかなり強行的に策定をされて、そして平成十八年二月十日の健康保険法の一部改正案の提出、こういうことになったわけでございます。
 したがいまして、私ども、ぜひこの委員会でも御理解をいただきたいのは、もう一回A案、B案に議論を一たん戻して、私どもはA案が正しいと思っておりますが、それについての議論を深めるべきではないか。
 これも後での質問になるかもしれませんけれども、私どもも、市町村国保の赤字の問題については問題意識を完全に共有をいたしております。それにつきましては、民主党といたしましては六月の三日に改めて確認的に党でも決定をさせていただきましたけれども、我々が取り組むべきは、市町村国保の保険料の地域格差を抜本的に是正することが重要だということと、それから、高齢者を初めとする市町村国保の低所得者を抱える保険者への支援体制を抜本的に拡充する、この二点が重要だと思っています。
 これは恐らく先生も同じ見解をお持ちだと思いますが、それは、この制度をB型にするということは、その答えではなくて、むしろ、例えば国の調整交付金とか今までさまざまな、昔は市町村の格差が五倍あったわけですけれども、それを調整するために、県の共有部分をふやすとか、さまざまな保険財政共同安定化事業というものが、与野党の議論の中で、尾辻大臣も御努力されて、いろいろな制度が出てきています。出てきていますが、それに対する予算投入が十分でない結果、この赤字構造が温存されてしまったということでございます。
 したがいまして、私たちは、そうした既存の共同安定化事業、もちろん、新しくそうした予算措置を講じて、財政的な措置をこの市町村国保赤字問題に対して講じていくのが、まずは緊急的、短期の措置としては非常に重要だ、将来的にはA案の制度調整をさらに議論を深めて行っていくということが望ましいのではないかというふうに考えております。

高鳥委員

 御答弁ありがとうございます。
 冨岡先生もおっしゃいましたけれども、確かに与野党で共有できる部分もないことはないと私も思っております。今のさまざまな試案や御議論があったことも事実であると思います。しかし、老人保健制度については、やはりさまざまな問題点があったからこそ、各党間合意の上で廃止をするということを決議したと思います。
 この制度に再び戻すことによってどのような問題が起こってくるか、これは厚労省の側から説明していただきたいと思います。

水田政府参考人

 お答えいたします。
 仮に長寿医療制度を廃止して老人保健制度に戻した場合、どのようなことが起こるのかということでございます。
 第一には、高齢世代の保険料の扱いが不明確なまま、現役世代に負担が回される仕組みに逆戻りとなるということがございます。独立制度にするがゆえに高齢世代の保険料の扱いというものが明確になるわけでございます。それが逆戻りとなる。
 二点目は、長寿医療制度におきましては、市町村国保と比べまして七五%の世帯で保険料が軽減され、保険料格差も二倍に縮小したところでございますけれども、逆に負担がふえ、格差ももとのままの五倍に広がるということが考えられます。
 第三には、制度を運営する広域連合それから市町村、ひいては国民に混乱を与え、多大なコストを生じさせる。
 こういった国民生活に大きな影響を与えるさまざまな問題が起きると私どもは考えております。

高鳥委員

 ありがとうございます。
 同じ質問でありますけれども、老人保健制度に戻すということが、きょう資料に各新聞社の社説を添付してありまして、一々全部読みませんけれども、要は、新制度にもよい点があるということなんですね。そして、旧制度にもやはり問題点がある。今先生御指摘になられました、高齢者の多い市町村では国民健康保険が財政破綻の危機にあった、こういうこともございます。
 これらの問題点について、民主党はどのように考えていらっしゃいますか。

鈴木(寛)参議院議員

 お答えを申し上げます。
 委員おっしゃるとおり、単に老人保健制度に戻すだけでは、従来から指摘されていた老人保健制度の問題点は解決されない、これはもうおっしゃるとおりだと思います。
 今、民主党はということで御指名をいただいて御質問いただきましたので、民主党といたしましては、六月の三日に、法律のレベルのお話といたしましては、一たん老人保健制度に戻すということでございますが、加えまして、予算編成に当たって、他党にも呼びかけて、この中には与野党両方含んでいただいて結構だと思います。来年度予算編成を担っておられるそのときの政権与党にもぜひ御協力をいただきたいと思いますけれども。
 先ほども申し上げましたが、もう少し詳しく申し上げます。
 市町村国保保険料の地域格差を抜本的に是正しなければいけないというのは、委員おっしゃったとおりでございます。それにつきまして、私どもは、まず、現在、国の調整交付金が六千七百億円ございますが、この調整率をさらに改善することが必要だというふうに思っております。それから、都道府県の調整交付金の調整率も改善をすべきだと思っております。
 それから、財政安定化支援事業というのが今も一千億ございますが、保険料負担の平準化を図るために、市町村の一般会計から国保特会への繰り入れを地方財政措置で支援していくことが必要だと思っておりますので、これも現在の政権にぜひやっていただきたいというふうに思っております。
 それから、高額医療費共同事業交付金というのがございます。二千九十億ございますが、これも抜本拡充が必要だと思っておりますし、保険財政共同安定化事業の拡充ということも、現在、共同拠出金が約四割でございます。これを八割とか九割の水準にすることによって、都道府県内の市町村国保間の平準化とか財政の安定化を図れる、このように考えております。
 私どもは、そうしたことから、緊急経済対策あるいは政策マニフェスト、インデックス二〇〇八におきましても、トータルで、要するに後期高齢者分とそれから市町村国保そのものの赤字体質の是正、それを図るために、九千億弱の予算措置を我が党が政権をとった暁にはさせていただくということを既に発表させていただいているところでございます。

高鳥委員

 さまざまな御提案をいただいたわけでありますが、もとに戻すだけでは旧来の問題点は解決しない、これは共通の認識であると思います。
 そこで、今鈴木先生の方からもちょうどお言葉がありましたけれども、それでは、その後どうするのかという問題でございます。
 民主党は、老人保健制度に戻した後に医療保険制度を一元化するということを主張されておられます。これは小沢一郎代表の民主党代表質問及び所信表明、この中にも明確に書いてございますし、今先生御指摘の民主党政策インデックス二〇〇八、この中にも書いてございます。
 医療保険制度を一元化するということについて、参議院で廃止法案が可決してから間もなく半年になろうといたしております。そろそろ民主党としての具体案が固まったのではないかと思いますが、廃止した後の具体的な姿、一元化をいつまでにするのかということをお聞かせください。

櫻井参議院議員

 御答弁させていただきたいと思います。
 先生、今、後期高齢者の問題だけではなくて、今までの保険制度そのものに相当問題があるというお話をされた、そういうふうに思っております。ですから、我々も、後期高齢者の問題だけを考えるのではなくて、抜本的にこの制度を見直していかない限り、世界に冠たる公的皆保険制度を維持できないのではないかというふうに考えております。
 つまり、例えば政管健保と組合健保の保険料率が違うとか、それから組合健保の中でも各保険者によって保険料率が違うとか、それから国保の加入者の保険料率もまた違っております。それから、付加給付制度がございまして、例えば国家公務員や地方公務員のように財源的に十分潤っていないんですけれども、税金で賄われているようなところには付加給付制度がございますが、政管健保の加入者の方々には、その制度があっても、事業主の今の財政状況ではとても賄えない等、さまざまな問題があるわけでございます。
 そういう点から考えてくると、後期高齢者の医療制度だけにとどまるわけではなくて、全体を見直す必要性があるだろう、そういうことで、我々は、この一元化の法案を今後提出していきたい、そういうふうに考えているところでございます。
 この法案を廃止した後の措置に関しては、あとは鈴木委員の方から補足で答弁させていただきたい、そう思います。

鈴木(寛)参議院議員

 お答えを申し上げます。
 参議院で可決を、さきの国会でしていただきました。我々民主党といたしましては、緊急経済対策等々で我々の考え方をお示しさせていただきましたが、この十月に、民主党の政策インデックス二〇〇八、後期高齢者医療制度の廃止と医療保険の一元化というものを発表させていただきまして、一たん老人保健制度に戻し、かつ、先ほど申し上げました予算措置を講ずる、この両方のパッケージで、まずは一たん戻すということを言っているわけでありますが、その次に、被用者保険と国民健康保険を順次統合するということが次の段階だというふうに思っております。
 それで、まず短期的には、高齢者と低所得者の比率が高い市町村国民健康保険対策の抜本拡充、先ほど申し上げたことに加えまして、特に低所得者対策の大幅拡充ということも極めて重要だというふうに思っております。それから、高齢者の保険料負担を現行水準のままおおむね維持し、または軽減をし、若年負担についても現行水準のおおむね維持をやる。こうなりますと、ではどうしたらいいかというと、医療給付費に占める公費負担をふやさないといけないわけでありまして、我々は、ここをふやしていこう、そのための財源論もきちっと議論をしていこう、こういう考え方でございます。
 私どもの問題意識は、市町村国保の問題は、高齢者を抱えていて赤字がふえたということもございますが、一方、もう一つ重要な問題は、いわゆる格差問題の広がりによりまして、非正規雇用の方々は国民健康保険に入るわけでありますから、その部分のいわゆる低所得者、これは年齢を問わず低所得者を市町村国民健康保険がその加入者として抱えざるを得ないということによってこの赤字構造というものがさらに加速をしている、したがって、そこに対しての手当てもあわせ考えていかないと、全体、整合のある保険制度の確立にはならないというふうなことを考えて、先ほどのような提案をしているところでございます。

<中略>

木原(誠)委員

 自民党の木原誠二でございます。
 前国会で、年金の事務費について民主党の皆さんに御質問させていただきましたが、今回は、この廃止法案ということでまた機会をいただきまして感謝を申し上げたい、このように思っております。
 また、私からも、昨日明らかになりました本当に卑劣な犯行につきまして、強い遺憾の意と、そしてまた亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げたい、このように思っております。
 さて、通告をさせていただいた範囲内で、もう既に三人の同僚議員が御質問させていただいております。多くの論点が出尽くしたかな、こんな感じもいたしますので、若干通告したことと文言がずれるかもしれませんが、できる限り通告させていただいた範囲内で、また、三人の議員との議論のやりとりを組み込みながら御質問させていただければ、こんなふうに思っております。
 まず最初に、一点確認をさせていただきたい、こう思います。
 福山議員であったか大塚議員であったか、御答弁の中にあったと思いますが、七十五歳以上のこの保険というものがやはりよくないんだ、こういう御答弁があったかのように思います。
 まず確認をしたいのは、七十五歳という年齢が問題なのか、あるいは、そもそも区分するのが問題なのか。それは感情の問題として問題なのか、あるいは制度として問題なのか。そこらのあたりを簡潔に御答弁いただければというように思います。

大塚参議院議員

 木原委員にはまたよろしくお願いいたします。
 簡潔にということでございますので、私どもは、年齢で区分することが基本的に問題だと思っております。

木原(誠)委員

 ありがとうございました。
 まさに、A案なのかB案なのか、突き抜けなのか、あるいは一元化でいくのか、あるいは独立なのか、そういう思想の違いであろう、こう思いますけれども、一点申し上げますと、私は、これは自分の独自の考えで大変恐縮でありますけれども、七十五歳以上で独立方式にしたというのは、いろいろ課題はありますけれども、これからの超高齢社会を見据えますと、世界的にも日本が最も早くこの超高齢化社会を迎えるわけでありまして、世界に先駆けて高齢者のところに独立の保険を導入して、とりわけ、保険方式で、保険料だけではこの医療が成り立たないことはもう共通の認識であろうというように思います。
 問題は、税金をどこに集中的に投入していくか、こういう議論であろうと思いますが、そのときにやはり、高齢者の皆さんのところに税金をしっかりと重点的に入れさせていただく。したがって、これはもう世界共通で、これからどこの国も経験をしなきゃいけないことであろうと思います。私は、むしろ、この独立保険方式というのは世界的にも一つのいい例になるんだろう、まず超高齢社会を最初に迎える日本として、先進的な事例になるんじゃないかなと、私は基本的に前向きにとらえているところであります。
 ちなみに、私はイギリスで長く生活をさせていただきましたけれども、イギリスのNHSはもちろん区分をしておりません。しかし、区分をしていない結果として、実は高齢者になると例えば人工透析、なかなか新規ではだんだん受けられなくなるといったような、医療の区分というものがむしろ、保険を分けている分けていないにかかわらず起こっているという現実がございます。あるいは北欧に行きますと、医療よりも介護を中心にこれが展開をされていく。
 したがって、ここの議論は、これはもう水かけ論になってしまいますからこれ以上申し上げませんが、私自身は基本的にそういう認識を持っております。
 その上で、今、とにかく年齢で区分するのは悪いんだ、こういうことでありますけれども、今回の廃止法案、結果としては老健制度に戻ります。老健制度も、保険としては年齢で別に区分しているわけではありませんが、制度としては年齢で区分をして、七十五歳以上の方を老健制度の対象にするという意味では、私は年齢でやはり区分しているのであろうというふうに率直に申し上げます。
 廃止法案で老健制度にして、もともとの問題が年齢で区分することだといいながら、引き続き年齢で区分をするというこの矛盾にどうお答えになるのか、御答弁いただきたいと存じます。

鈴木(寛)参議院議員

 お答えを申し上げたいと思います。
 非常にかみ合った議論をさせていただけるというふうに期待をいたしております。
 今まで、委員は正確に御理解をしていただいていると思いますが、やや誤解があるのは、私どもは、後期高齢者医療制度、老健制度、もちろんこの議論も非常に重要であります。しかしながら、今回の法律で提出をさせていただいておりますのは、後期高齢者医療制度のみならず、平成十八年に強行採決されました高齢者の医療の確保に関する法律に定める諸制度ですね、後期高齢者以外にもいろいろな制度を含んでおりますが、これ全体をもう一回見直すべきではないかというお話であります。
 NHSの話もお話のとおりでございまして、我々が後期高齢者医療制度と並んで、あるいはそれ以上に問題だと思っておりますのは医療費適正化計画でございます。委員も御承知のように、高齢者の医療の確保に関する法律では、実は、第二章でいきなり医療費適正化計画が出てくるんですね。その後に後期高齢者医療制度云々が出てくるわけでありまして、まさにこの高齢者の医療の確保に関する法律の医療費適正化計画に基づいて、我々からいたしますと、さまざまな診療報酬の改悪がなされた。
 もちろん、老人医療費はかかります。かかりますが、小泉政権下、経済財政諮問会議のまさに財源論ありき、ここは見解を異にするかもしれませんけれども、とにかく医療費を削減すればいいんだ、この思想に基づいて、老人医療費の支出分をまず五千億カットする。このことが大変な混乱を招いているわけでありまして、ここの部分をあわせてもとに戻さなければいけないのではないかということで、委員でありますので、ここは正確に御理解できますので、今までこのことを答弁させていただこうと思いましたが、混乱に混乱を招くかと思いましたので控えておりましたが、あわせて、この医療費適正化計画のありようについても、そこが相当やはり強引だったんじゃないかということも含めて、我々は今国会で御議論を深めていただきたいな、こういうふうに思っているところでございます。

木原(誠)委員

 ありがとうございました。
 率直に申し上げて、年齢で区分をするという老健制度に戻す、その矛盾はあるんじゃないかということについては、今御答弁はなかったというふうに率直に思います。
 ただ、医療費適正化計画の話、私も、削減ありきで議論を開始するのはよくないだろう、そのことは共通認識として持っておきたいと思います。
 他方で、この法令の題名を見てもわかるように、まさに題名が法令の基本的な主たる内容をあらわすわけでありますから、まさに後期高齢者医療制度の廃止ということがまず最初の眼目であるということは、これは論をまたないであろうというように思いますので、その点は付言をしておきたいというように思います。
 せっかく今その話をちょうだいいたしましたので、先ほど高鳥委員が船の例を出して、私は非常にわかりやすい例であったな、こんなふうに思っております。他方で、実は先ほどの答弁の中で、国権の最高機関として意思を示して、そしてそれを行政に、その意思をとらまえてしっかり体現させるんだ、これがまさに今回の法律の趣旨だ、あるいは法律そのものだ、こういうことでありますけれども、先ほどの例でいいますと、老健制度に戻す、これは、老健制度じゃだめだということの認識はもう既に平成十二年から皆さん共通の認識として持っている。既に穴があき、ぼこぼこになっているということについての共通の認識はある。そこに戻すというのがこの法案の一番主たる内容であると。
 先ほど、鈴木議員がまさに御答弁されていたと思いますけれども、そうではないんだと。そうではなくて、あわせて財政措置等々をやるんだ、こういうことでありますけれども、同時に、まさに御答弁いただいたように、法案というのは国会が最高機関として行政にやらせるものだ、そうであるならば、その予算措置、安定化共同事業を含めて、しっかりと法案にやはり書くべきだというふうに私は思います。
 また、御答弁の中に九千億円程度かかる、こう書いてありましたけれども、通常であれば、この法案による財政の負担はこれこれ幾億円ですということをやはり書いて提出をされるというのが立法として当然のことであろうと思いますが、そのことが書いてないこと自体が、この法律はそこまで中身として包含をされていない、こういうことではないかと私は思いますが、御見解を賜りたいと存じます。

鈴木(寛)参議院議員

 お答えを申し上げます。
 まず、書くべきだという御指摘でございますが、既に先ほど来申し上げております高額医療費共同事業交付金制度とか、財政共同安定化事業とか、これは既に始まっている制度でございます。
 この制度が法定されている制度かどうかということを我々調べましたところ、これは法定されていない制度でありますので、そこは予算の拡充ということで対応するのが、その制度の一貫性ということで、要するに、今まで法定されていないものを今回法定するというのは立法技術論上、ここも、委員でありますので正確に御理解いただけますので、そういう対応にさせていただきました。
 したがいまして、誤解を招いてはいけないということで、六月三日に、我々の政策の最高決定機関でありますネクストキャビネットにおいて、予算措置について、先ほど御紹介申し上げた制度を示させていただいたところでございます。
 それから、内訳の額をと、これはもうおっしゃるとおりだと思います。
 実は、この六月三日の文章にも書かせていただいたのでございますけれども、それぞれが幾ら必要かということを算定するに当たりまして、厚生労働省から約一月弱にわたりましてヒアリングをさせていただきました。しかしながら、再三再四、厚労省に対して関連資料の提出を求めましたが、大変遺憾なことにその回答が行われませんでしたので、我々、総額としては、戻すことによる後期高齢の分で四千五百億、それから、そもそもの市町村国保の赤字の分で四千億強という我々なりの試算は、厚労省が出していただかなかったので十月に出させていただきましたけれども、残念ながら、野党である我々にはそうした御協力を得ていないという現実は御理解をいただいて、ぜひ、これは与野党で建設的な議論をということでございますので、お願いを申し上げたいと思います。
 それと、我々は直ちに九千億入れるということ。これは、政権をとったらですね。
 それから、将来的な制度設計の御議論でございますが、これも実は私ども、まず、市町村国保については都道府県単位で幾ら保険料収入があって、幾ら診療報酬の支出があるのか、これはすぐにわかりますね。そして、要するに政管健保と企業別の健保、こういうことになるわけであります。
 健保について、四十七都道府県別にどういうふうな入りと出になっているのか、これについても厚生労働省に再三この資料提供も申し上げました。それがないと具体的な制度設計、制度の骨格についてはお示ししていますが、要するに、負担がふえるのか減るのか、あるいは診療報酬の水準がどうなるのかということについての具体的な議論ができませんから、お示しをしているわけではありますけれども、それについても具体的な御協力を得られておりませんので、ぜひ、きょうの議論も深く踏まえて、舛添大臣はお帰りになってしまいましたが、そうしたことについての御協力も、与党の方からも御支持をいただきたいというふうに思います。
 これはもう委員もよく御承知のとおりでございますが、老健制度のときは、これも老健制度を議論しているんじゃなくて老人保健法の議論をしているわけであります。そのときの目的規定は、いろいろな予防とか保健とかそういう事業をやって、結果として公平な負担ということまでは老人保健制度の目的に書いてありますが、医療費の適正化、すなわち医療費の削減というコンセプトが出てきたのは、概念が出てきたのが、まさに平成十八年度に強行採決されました高齢者の医療の確保に関する法律で初めてこのコンセプトは出てきたんですよ。
 ここについては、我々は理念的に、この法律は容認できないというところで今回の法案を提出しているということは御理解いただきたいと思います。
 櫻井議員から補足があると思います。

櫻井参議院議員

 済みません、追加で答弁させていただきたいんですが、先ほど、前の質問で、老人保健法と後期高齢者のところで年齢制限の話がございましたが、内容が全然違っていると思っている点がございます。それは何かというと、私は現役の医師でございますが、医師の立場から申し上げると、医療の質が七十五歳以上の方とそうでない方と、明らかに今回は違ってしまったということです。
 つまり、これは後期高齢者の問題ではありませんが、例えばメタボ健診がございます。これがいいか悪いかは別として、ただ、これは早期発見、早期治療が目的だったはずであって、そうすると、七十四歳以下の方は早期発見、早期治療をしなきゃいけないけれども、七十五歳以上の人はこれは必要ないと言っているようなものですね。乳がん検診は、費用対効果で、一応七十九歳ぐらいまでは有効であるというデータが出てきているところを見ると、一概にそういうことをやっていくことに問題があるんじゃないか。
 それから、これは評判が悪くて中止になりましたが、終末期医療に関して、延命治療をするかどうかとか、そういうことを後期高齢者の人たちだけが申告しなきゃいけない。これは、終末期は後期高齢者の人たちだけにあるのではなくて、例えば我々が死ぬような病気になった場合にはみんな迎えるものでございます。それからアクセスの制限等、さまざまな問題があって、今回は、お金の問題以上に、医療の質に差が出てきているところに問題があるわけです。これは、茨城県の原中会長などもその点を強くおっしゃって抗議している。
 ですから、そういう点でいうと、これまでの保健制度の年齢制限とは大きな差がある、そういうふうに認識しております。

木原(誠)委員

 ありがとうございました。
 一点確認をしておきたいんですけれども、この法案の二条のところは、まさに老人保健制度を同日に再び導入するために必要な財政上、法制上の措置をする。私が先ほど質問したかったことは、既に穴があいているという共通認識のある老健制度に戻して、そしてそれを拡充する、あるいは補てんをする、補強をする、そのための根拠条文というのはこの中には入っていないわけですね。私は、そこまでの意思があるのであれば、しっかりとそのことをまずやはり書くべきだということを申し上げたかったということであります。
 それともう一点は、先ほどの高鳥委員の議論のときもそうでありますけれども、将来的には一元化なり、民主党さんは一元化、ほかの野党の皆さんはどうか、ちょっと私は詳細には承知をしておりませんが、少なくとも、独立方式ではなくて財政調整方式なのかわかりません、しかし何かを考えていらっしゃる。
 私は、この法律が、まさに立法という最高の活動をし、行政にこれをやらせるためには、本来であれば、そこにやはり何らかの検討という条文があってしかるべきだと思うんですね。何月何日までに一元化に向けて必要な措置をとる、あるいは検討を行うように努めるといったようなものがないと、これは単に穴のあいている船に戻りましょうという、先ほど高鳥委員のおっしゃったそのものの条文でしかないんだろうというふうに思います。
 皆さんが、そこまで我々は考えているんだとおっしゃるのであれば、そして常に、工程表を出せ、期限を切れ、こうおっしゃっているのであれば、そして十年たっていますから、もう既にその中身についてある程度の議論ができていてしかるべきだと思いますので、やはり条文の中に立法したその意思を示していただかないといけない。この条文のままだと、そのことは一切入ってこないということだろうと思いますけれども、わざわざそれを書かなかった、あるいは書けなかったのか、そのことについて簡潔に御答弁いただければと存じます。

鈴木(寛)参議院議員

 お答えを申し上げます。
 法案の第五条で、「政府は、前三条の措置を講ずるに当たっては、これらの措置の実施に伴う地方公共団体及び医療保険者の負担をできる限り軽減するよう特別の配慮をするものとする。」という規定を置かせていただいておりますのは、今おっしゃった、我々の決意のあらわれの一端を書かせていただいているということでございます。その意味については、こうして委員に質問をしていただいたおかげで、我々の決意をきちっと議事録にも残し、国民の皆様方にも表明させていただくことができておりまして、このことは感謝を申し上げたいと思います。
 それから、見直しのことについてでございますが、おっしゃるような立法論は当然あろうかと思います。
 我々も、委員会の質疑の中でそういう議論が煮詰まってくること、これは望ましいことだと思いますけれども、少なくとも私どもが法案を提出する段階で、あるいは今の段階でもそうでございますが、厚労省から十分どこが壊れているのかということについて、市町村のいわゆる負担の格差といいますか保険料格差、このことは我々も承知をしております。そこの問題については、まさに先ほど来申し上げております市町村間の保険料格差、ここは公金を投入することによって、それから共有部分の四割を八割、九割に引き上げていくことによって、まずこれは予算措置でほぼ問題は解決されるであろうということであります。
 しかしながら、将来のシミュレーションについては、これも約一カ月にわたって連日、厚生労働省の皆様方には誠実に毎日来ていただいたことには本当に心から感謝を申し上げたいと思っておりますけれども、なかなか、将来のシミュレーションの根拠については十分な情報の御提供というのがいただけなかった。それがもっといただけて、そして、与野党共通の理解の上に立って議論ができたならばよかったなとは思うわけであります。
 委員はずっと与党にいらっしゃいますので、なかなかおわかりにならないかと思いますが、与党の委員の方々が入手できる情報と野党に御提示いただける情報はかくも差があるのかということを私は身をもって体験しておりますので、そういう中で、思いとしては答弁で何度も何度も御説明をさせていただいておりますので、そういうことで御理解をいただきたいと思っております。

木原(誠)委員

 ありがとうございました。
 今穴があいているところを細かく、幾らあれば埋められるのか、この議論は、確かにおっしゃるとおり、厚労省からある程度の数字が出てこないと無理だろうと思います。ですから、そのことについてはこれ以上申し上げませんが、将来の議論、まさに皆さんが一元化、これが適切なんだ、独立方式よりも一元化なんだと。これは数字の議論というよりは理念の問題として、それから制度設計として、そしていつまでにやるのかということは、私はしっかりと意思を法律として示すべきだ。
 まさに立法は、行政にやらせるための法律でありますから、一元化するんだ、何年までにするんだということを決めることによって行政が動き出すというのが最初の御答弁であります。行政が動かないから、だから立法をしないんだというのは本末転倒の議論で、当初、皆さんがきょうの委員会の冒頭におっしゃった答弁とはやはりこれは矛盾をする。そうであればこそ、一元化のプロセスを示して、そして何年までにやるんだ、そのことを行政にしっかり認識させるという立法でなければいけないんだろうというふうに私は思っております。
 そのことを申し上げまして、ちょっとだけ、私は非常に危惧をしていることがありますので、各論で一点だけお伺いをしたいと思います。
 廃止をいたしますと、保険料がかなり、この後期高齢者医療制度、いろいろ政府の方で、あるいは与党で努力をして軽減措置を講じております。結果として、厚労省の事務方の説明によれば七五%程度の方が軽減をされている、こういうことでありますけれども、しかし、その数字のいかんにかかわらず、下がっている方が老健制度に戻ると保険料が上がるんだろうというふうに思います。
 皆さんの法律の中には、保険料をなるべく早く負担軽減しなさいという条文が入っている一方で、老健制度に戻ったら保険料が上がるということを放置する。これもまた私は立法者の意思として矛盾しているな、よく理解できないなと思うんですが、どういうことであろうかというようにお伺いしたいと思います。

小池(晃)参議院議員

 お答えいたします。
 今御質問にありました政府の調査の七五%ということですが、厚生労働大臣も予算委員会で私の質問に答えましたが、これはサンプル調査ではございません、あくまでもモデルを使った机上の計算でございます。
 しかも、負担増になりやすい世帯構成、例えば高齢者夫婦と息子夫婦というようなものは除外をしております。さらに、制度改革で全員が負担増になる被用者保険の扶養家族二百万人も除外されております。その上、後期高齢者医療制度というのは二年ごとに自動的に、後期高齢者の人口比率に伴って保険料が上がっていく仕組みでございます。ですから、この制度の延命こそ、負担が下がるどころか際限のない負担増をもたらすものであるというふうに考えております。
 この法案は、今御指摘があったように、本年四月以降負担増になった方については、その負担を軽減することを定めております。当然、そのような措置を講じた結果、後期高齢者医療制度を老人保健制度に戻すことによって保険料の負担が増加する方が生ずるということは事実でございます。
 この件については参議院でも御答弁申し上げておりますが、本法案が成立をし、来年四月一日に、後期高齢者医療制度の廃止に伴って結果として負担がふえる、そういう方への対応については、本法案成立を受けた政府の法制措置の中で当然検討されるものというふうに承知をしておりますし、その過程や、議論の中で、全体で御議論いただいて不利益変更しないという合意ができるのであれば、これは必要な財政措置もしなければならないというのが立法者としての考え方でございます。
 それから、もともと、戻って負担増になるというのは国保料が高過ぎるということがあるわけでありまして、ここをやはり是正することこそ必要ではないかということも一点申し添えておきたいというふうに思います。
 以上です。

木原(誠)委員

 率直に申し上げて、要するに、どういうプロセスで上がった方が下がるということが想定をされているのか、私にはよくわからないというのが率直な思いであります。
 というのは、先ほどの議論もそうなんですけれども、やはり立法者の意思を示して、そして行政にこれをやらせるというのが法律、それはもう共通の認識で、まさに皆さんの答弁の前提にあることであろうと思います。であれば、一方で負担を下げなさいということを書くのであれば、こちらの方も、負担が上がったときに下がる措置をしなさいよということを書いておかなければ、そのときの政府に丸投げということでは、この法案はやはり完結をしないのであろう、私はこのように思います。
 ちなみに、今の御答弁ですと、政府にとりあえず預けます、そして政府の方でちゃんとしかるべき対応をしてもらいます、こういうことでありますけれども、皆さん、その財源をどこにお求めになろうと考えていらっしゃるのか、お伺いをしたいと存じます。

田村委員長

 各党それぞれ提出者がおられますが、党によって違うようでございますが、聞きますか。
 では、各党で、まず大塚耕平君。

大塚参議院議員

 財源について御質問をいただきました。
 これは、所要の額は既にお示しをしているわけでございますが、ただ、その後政府も軽減措置等を行いましたので、今小池議員の答弁の中には含まれておらなかった問題として、政府がとった軽減措置見合いの、これを戻したときの負担増の部分をどうするか、これも新たな検討課題として、この法案が六月五日に参議院を通ってから今日まで御審議いただけなかった結果として、新たな問題として出てきております。したがって、こういう財源も含めて工面をしなければなりませんので、参議院で議論させていただいたときよりも所要の財源はふえると思います。
 ただ、私どもは、もともとこれまでも、例えば特別会計の剰余金、積立金等の活用等について申し上げておりますし、また、政府・与党におかれても、総理御自身が二〇〇八年の骨太の方針で、もちろん来年度からの話ではありますが、道路特定財源の一般財源化も明言をしておられるわけでございます。であるとすれば、この所要の財源については、今日までこの法案の審議が延びた結果として、廃止をできるのがひょっとすると来年の四月一日からになるかもしれませんので、そうであれば、その来年度の、総理も福田首相も言っておられた一般財源化の中で対応できるかもしれませんし、十分な検討の余地はあると思います。
 それと一点つけ加えさせていただければ、今、政府・与党で御検討いただいている例の定額給付金の問題でございます。あれは、私どもは反対をさせていただいているわけでありますが、二兆円という上限がございます。ああいう形で二兆円の財源を使うのであるならば、崩壊途上にある医療や介護にその財源を充てるべきではないかという意見もありますので、その二兆円をもし充てさせていただくことができれば十分おつりが来る財源があると思っております。

田村委員長

 各党ですよね。

木原(誠)委員

 もう時間があれですから、代表で結構です。

田村委員長

 そうですか。では、答弁者、よろしいですね。

木原(誠)委員

 済みません。ありがとうございました。
 私、もう時間がありませんので、最後に一点だけ確認をさせてください。
 先ほど、穴があいた老健制度をこれから運用して強化していくために、たしか九千億というような御答弁があったように思います。
 これは、いろいろ御議論がある、これから民主党の皆さんがやろうとしている二十兆円を超える新たな措置、農家への戸別所得補償であるとか、年金を全額税金でやるとか、この中にはもう既に組み込まれていて、そして、この間予算委員会でたしか財源の内訳を、私どもはあれは恒久財源としては正しくないと思っておりますけれども、あの中にはもう含まれている、こういう理解でよろしいでしょうか。

鈴木(寛)参議院議員

 そのように御理解をいただいて結構だと思います。

木原(誠)委員

 時間が参りましたので、これで終わりにいたしますけれども、私は、この法案を読めば、立法者の意思としてはとにかく穴のあいた老健制度に戻すんだ、そしてそれ以外のことは、あとは政府の方で適宜やってくれ、こういうふうに法律としては読めてしまう。せっかく立法者の意思を示すのであれば、条文上これは書けるわけですから、ちゃんと、財政措置をします、そしてまた一元化に向けてこういうプロセスでやりますということを書いて、行政にちゃんとやらせるという意思を示すことがやはり適切だろう、私はこのように思っておりますので、そのことを申し上げまして、質問を終わりにさせていただきます。
 ありがとうございました。

<中略>