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2008年2月25日国民生活・経済に関する調査会

会長(矢野哲朗君)

 国民生活・経済に関する調査を議題とし、「幸福度の高い社会の構築」のうち、仮説一、「人口減少によって一人当たり国民所得は高まり、国民幸福度も向上する」について委員間の意見交換を行いたいと思います。
 本調査会は、これまで「幸福度の高い社会の構築」をテーマに、仮説一、「人口減少によって一人当たり国民所得は高まり、国民幸福度も向上する」について調査を進めてまいりました。本日は、これまでの調査を踏まえ、その中間取りまとめとして、委員各位の御意見をお述べいただきたいと存じます。
 議事の進め方でありますけれども、まず各委員からお一人五分以内でもって御意見の表明を行っていただきました後、午後三時半ごろまでを目途に、委員相互により自由に意見交換を行っていただきたいと思います。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、これより意見表明を行っていただきます。
 私から順次指名をさせていただきたいと思います。
 トップバッターで松井孝治君、お願いいたします。

<中略>

会長(矢野哲朗君)

 ありがとうございました。
 それでは、鈴木寛君、お願いします。

鈴木寛君

 民主党の鈴木寛でございます。
 幸福とは何かというテーマはまさに人類の永遠の課題でございまして、非常に哲学的深遠な課題でございますが、私が少々研究をしておりますポストモダン論の観点から申し上げますと、この議論をするときに歴史的な認識というものを、時代が変わっていると、変わりつつあるということをやっぱり踏まえて議論をしていただくことがより望ましいのではないかなというふうに私自身は思っております。
 つまり、フランス市民革命、アメリカ独立革命あるいはイギリスの産業革命以来、二百年来続いているこのモダンという時代が今終わりを迎え、そして新たにポストモダンという時代を迎えつつあると私は認識をいたしておりまして、モダンにおいて重要な価値というのは物、物質でありまして、これをいかに大量に生産し大量に消費するかということで社会の制度、経済の制度、政治の制度というものができていたわけでありますが、これからはやはりそれに代わって、もちろん重点が変わるという意味で、物の重要性は引き続き重要ではありますけれども、ウエートとしてはコミュニケーションというものが非常に重要になってくる社会、時代に入りつつあるというのが私どものこのシューレの立場でございます。
 それで、まさにその際に、コミュニケーションというものを通貨で測ることの意味がどこまであるのかということ自体議論していかなければいけないわけでありまして、質の高い意義深いコミュニケーションというのは経済活動の中でも行われますし、非経済活動の中でも当然行われるわけでありますから、シャドーワーク、ボランタリーワークの中にもあるし、ビジネスの中にも当然あるわけであります。それをいわゆる経済学の概念である国民所得の中で議論するということに一定程度の限界があるなというふうに思っています。
 つまりは、まさに物を中心とする物質文明からコミュニケーションあるいは情報、そしてコミュニケーションが非常に充実した状態を私どもは文化というふうに言っておりますが、そういうふうな文明に今転換していて、そしてより望ましい幸福度の高い社会というのはやっぱり人々が交わり、そして響き、そして楽しみ合うと、こういう時代、社会というものが一つのイメージではないかなというふうに思っております。
 今までは経済的繁栄が平和と幸福をつくり出すと、まさにピース・アンド・ハピネス・スルー・プロスペリティーと、こういう概念がモダンを象徴する一つのコンセプトだったと思いますが、私はこれからポストモダンの時代においては、コミュニケーション、そして多様な人々が、しかし一つのプロジェクト、一つの目的に向かってコラボレーションをしていく、そして一つの社会、時代、そういう価値というものをつくり上げていく、そしてそういうことが非常に尊ばれる、非常に文化的なそういった営みが人々の平和と幸福をつくっていくというふうに転換をしていくんだろうと思います。
 じゃ、そうした中で、政治の仕事というのは何かと、こういうことでございますが、私は一つには、多くの人々がそうしたコミュニケーションの力あるいはチャンス、そしてより良いコミュニケーションが営まれ続けるコミュニティー、こうしたものをつくり上げる、あるいはそこに参画する、あるいはそこの進化に関与していくといった、まさにケーパビリティー・フォー・コミュニケーションあるいはコミュニティーといったものをこの社会があるいは国、政府が、一人一人のすべての国民、人々に、国民でなくても何人にもそうしたチャンスを提供するということが非常に重要だと思っております。
 もう一つは、熟議の民主主義と、まさにそうしたケーパブルな方々がその文化を越えて議論を熟していく、尽くしていくと、そうしたことが政治はもとよりありとあらゆる社会の局面で尊重されると、こういうことではないかなというふうに思います。そうしたときに、政策的にはベーシックインカムをきちっと保障する雇用あるいは年金と、そして私は医療の医と書いて医食住と、まさに健康を絶対に守る医療と、そして安全な食事と、そして安心の住居と、こうした医食住の不安というものを最小化した上で、まさにこのモダン型の教育、すなわち暗記力と反復力を磨くことによって工業社会の歯車としての、あるいは富国強兵の担い手としての国民を育てる教育から脱して、まさに真善美の判断力とコミュニケーション力を養成をしていくそうしたポストモダン型の教育というものをつくり上げていくということが必要だというふうに思っております。
 その中で、まさにこれからは異文化コミュニケーションというものも重要になってくるわけで、具体的には例えば演劇教育などの普及などもこういう文脈で語られるのではないかというふうに思いますし、そしてそうした学びを通じてより充実したコミュニケーションを行う文化、芸術制作、あるいは劇場法の整備というのもこの文脈に掛かってくるんだと思います。
 それから、これは雇用の場あるいは社会的ニーズ、その双方からでありますが、やはりこれからは、いわゆる医療、教育、保育、介護といったソーシャルヒューマンサービス、この社会政策あるいは産業政策、雇用政策というものをどういうふうに充実をしていくのか、そしてその担い手であります広義のNPO、すなわち学校法人、医療法人、社会福祉法人、それから特定非営利活動法人等々の整備と、そしてそういう活動を支援するための施策というものをきちっと更に拡充をしていくと、まさにポストモダンにこれから差しかかるんだと、その前提での教育政策、あるいは社会政策、あるいは組織政策といったものを議論をしていくということが私は必要だという歴史観を持っていくことが大事ではないかなというふうに思います。
 最後に、と同時に、我々が速やかにかつ精力的に議論をしなければいけないテーマといたしましては、人口減少という命題、もう既にこれは触れられておりますが、移民の問題をどうするのかということによって人口減少という前提自体が大いに変わっていく問題でありますし、この移民問題というのは極めて、これからの二十年、三十年、五十年の日本を見据えた、これはモダン的価値観に立った場合にでも速やかに議論を深めるべきテーマだというふうに思いますので、そうした観点からの検討も深めていただくことを併せお願いを申し上げて、私の発言に代えさせていただきたいと思います。
 以上でございます。

会長(矢野哲朗君)

 ありがとうございました。
 それでは、吉田博美君、お願いします。

<中略>

会長(矢野哲朗君)

 ありがとうございました。
 大変積極的な調査会の御協力をいただきまして、こういう運営の仕方も本当に前代未聞かなというふうな思いを致しておりましたけれども、本当にそれぞれの御意見を聴取することができまして大変参考になりました。
 意見交換という思いもあったのでありますけれども、予定された時間、三時半ということでありまして、もうそろそろ体力的にも限界かなというふうに感じますので、調査会をこれにて閉じさせていただこうと思います。
 次回の調査会なんでありますけれども、三月は予算委員会ということで参議院多忙を極めるということでありますから、その辺、次回の調査会テーマは仮説二ということで、「休日・休暇が多い国が国の経済力を伸ばし、国民幸福度を高める」と、この仮説二でスタート、筆頭間でもって十分協議しながらまた連絡をさせていただこうと思います。
 取りあえず、仮説一について中間取りまとめができましたことを心から感謝を申し上げたいと存じます。ありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十四分散会