すずかんの医療改革の「今」を知る(2006年11月号)
第13回「医療安全の新しい枠組みを創るチャンスです。」
10月4日、私は、安倍新総理の所信表明演説に対する代表質問に立ち「医療事故に関する事実解明、原因究明のための第三者専門機関の設置」などを検討すべきだと提案し、総理からは、前向きの答弁をいただきました。そもそもなぜ、裁判制度だけでは不十分なのでしょうか?
医療訴訟・事件が急増するなかで、医師からみると首をかしげる判決が増えています。裁判というものが、門外漢である裁判官が最終判断を下すという仕組みである以上、一定程度の確率で、理解不足によっておかしな判決が出るのは、制度上やむを得ないのです。 しかし、このことは現場には深刻で、まともに診療を行っていても、結果次第で、いつ刑事被告人や罪人になるかわからないというリスクを医師は抱えることになります。さらに、これを放置すると、萎縮医療や保身医療が日本中に広がり、結局患者が不利益を蒙ります。
一方、医療訴訟で勝っても気持ちが晴れない患者や家族も増えています。なぜなら、裁判進行中、医師側からは、自らを正当化する主張ばかりが並べ立てられ、謝罪や反省の言葉を聞くことはありえません。医師を擁護する以外の情報提供はなく、事故の全貌を、知ることはできません。仮に勝訴して経済的に償われたとしても、裁判でのやりとりによって心が償われる人は皆無でしょう。むしろ、裁判での一方的な主張の応酬は、多くの患者・家族の心の傷をますます広げることになります。
患者・家族が溜飲をさげられるのは、まず、一体何が起こったのか?何が不可避で、何が不注意だったのか?など、事故の全容全貌を的確に説明をうけ理解し、その上で、医師側から、不注意については率直に謝罪してもらい、さらに、二度と同じ悲劇は繰り返されないよう、万全の再発防止策が構築・徹底され、自らの事件が、今後人々のお役に立つんだということを理解・実感できてはじめて、心が多少償われるのです。
いずれにしても、来春までに、医療紛争解決制度の根幹に関わる新しい枠組みが議論されます。よりよいものにしていくためには、皆さんが、日頃、感じていることをどんどん発信していくことが必要です。大事な半年になります。
