Home » 1-10 社会人大学・大学院生を10倍に

1-10 社会人大学・大学院生を10倍に


Ⅰ  日本のビジネスパーソンに、いま求められる高等教育

日本の大企業社員は、欧米と比較して大学院卒が少ない傾向にあります。この原因は、文系学生の殆どが学士で卒業しているという事実にあります。終身雇用が守られていた時代は、会社という枠の中でいかに人より早く出世するかという価値観が有力であり、人より早く会社に入り、早く出世することが至上命題であるとも言えました。

 しかし、終身雇用が崩壊した今、会社という狭い世界での出世競争はその価値を相対的に低めてきています。ビジネスパーソン一人一人が、いかに自己の価値を発信するかが重要になってきたのです。そのとき、 22 歳で入社してひたすら会社のために働いてきたということだけでは高い評価を得られません。修士号や博士号を持ち、専門的な知識を持つことが評価の大きなポイントになってきます。

 また、前述のように欧米のエリートビジネスパーソンは概して高学歴ですが、そういった人たちとビジネスの局面で対等に渡り合うときには、肩書としての学歴が有効です。たとえ東大であっても、学部卒 ( 学士 ) が意味を持つのは日本国内だけであり、外国ではあまり意味をなさないのです。

 

日本の上場企業役員等の最終学歴の割合

出典:橘木俊詔・連合総合生活開発研究所編「昇進の経済学―なにが出世を決めるのか」東洋経済新報社

※「エグゼクティヴ研究会」は、 1993 年 7 ~ 8 月、「東洋経済役員四季報」 (1994 年版 ) に収録されている全国 8 証券市場に上場している企業、非上場の大手損害保険会社、生命保険会社などの金融機関の会社役員 40,800 名から無作為に抽出された 8,000 名を対象に、調査を実施しました。有効回答は 2,246 票 ( 有効回収率: 28.1 % ) です。結果は次のとおりとなっています。

 

大学院卒

2.6 %

大卒

87.1 %

短大・高専卒

2.8 %

高卒

7.2 %

中卒

0.2 %

 

 

 今から約 13 年前の資料であり、現在は大卒・大学院卒の割合は上昇していると思われますが、それでも依然として低い水準にあるのは間違いありません。

 

米国の上場企業役員等の最終学歴の割合

出典:日本労働研究機構が実施した「大卒ホワイトカラーの雇用管理に関する国際調査」 ( 主査:小池和男・法政大学教授 )
※役員でなく、部課長クラスの管理職を対象とした調査

 

 

人事部長

人事課長

営業部長

営業課長

経理部長

経理課長

四年制大卒未満

3.0%

11.1%

9.8%

11.8%

0.0%

2.5%

四年制大卒

35.4%

39.7%

43.5%

48.2%

56.1%

55.9%

大学院修了

61.6%

48.4%

45.6%

39.1%

43.9%

40.9%

PhD 取得

14.1%

3.2%

5.4%

1.8%

0.0%

0.0%

MBA 取得 ( 全体中 )

38.4%

32.5%

38.0%

36.4%

40.9%

36.3%

 

 

   上記の 2 つのデータは、対象が異なり一概に比較することは不可能ですが、日米の学歴差を如実に表しています。

 

Ⅱ 必要な政策

1 働きながら学習できるようなシステムづくり

 ホリデースクールやインターネットを活用した WEB 授業などにより社会人の就学を容易にする必要があります。

 

2 社会人の単位における優遇、優先合格枠

 中小企業経営者方々の場合は、「目の前にある仕事を放り出して学問をやることなど出来ない」という人も多いでしょう。そのため、大学の期間縮小や受験における負担減などを、不公平にならない程度に行う必要があります。具体的には、社会人経験 10 年以上の経営者は、教養課程の単位を取得したとみなし、学士入学 (3 年次編入 ) を可能にするなどです。

 

3 奨学金制度

 奨学金制度も重要です。これは、「希望者全員に奨学金を」の項で扱います。

 

 

すずかんは、社会人大学生を増やします。

・学部、大学院への社会人入学者を10倍に、15,500人から155,000人にします。

・社会人が働きながら学べるようなシステム、設備を整えます。

 

 社会人の学部入学者に対しては 1,051 の大学が人特別選抜を行っており、それによる入学者は 06 年度で約 2,500 人です。

 また、大学院修士課程、博士課程では 896 の大学院研究科で社会人特別選抜を行っています。 06 年度で入学者はそれぞれ約 8,000 人、 5,000 人となっています。

出典:社会人が目指す大学ガイド  2008 年度版

 

 よって、目標値は学部で 25,000 人、大学院で 130,000 人です。

 夜間や休日の講義を利用し、いかに仕事や家事と両立しながら勉学をつづけられる環境をつくるかが問題となります。夜間や休日に特別講義を行い、さらに普段の講義はインターネット配信などを行って上手くカバーしていくことを考えます。これにかかる費用は公費でまかなうとします。

 

1 特別講義を行う講師の給与

 早稲田大学の「専任教員一人当たり生徒数」は 2002 年の調査で約 45 人です。この数値を準用して講師数を概算すると、単純に約 3,440 人の講師が割り振られることになります。この講師は、大学で通常雇っている専任講師がかけ持ちをすることで適切な数を確保します。

 それぞれの講師が、週 1 コマ (90 分 ) の授業を 1 年間 (52 週 ) 持つとします。熊本大学の非常勤講師の給与は一時間あたり 5,300 円であり、この金額を準用して概算します。

 すると、年に 1,422,096,000 円 (142 億円 ) かかります。

 

2 インターネットでの授業配信を可能にするための設備

 現在、安価でインターネットでの動画配信が可能になっています。すずきかんは毎週水曜日にインターネット上で「すずかん TV 」を放映していますが、これにかかる設備の費用は 100 万円程度です。画質などを気にしなければ一教室あたりこの程度の費用で整備が可能であると考えられる。 (板書やパワーポイントは別の方法で配信する。)この費用は各大学の予算から捻出できます。

 

 

 

1教育  2医療  3スポーツ  4文化  5育児  6アジア  7年金  8財源