1-8 希望者全員に奨学金を
I 高度な専門職業能力が、より重要になってくる現代社会
知と文化の時代である21世紀の社会を生きるためには、高等教育で身につけることができる専門的職業能力が必要です。これから社会を担っていく若者はもちろん、仕事をこなしながらさらなるスキルアップを求めるビジネスマン、仕事や子育てが一段落したお父さん、お母さんなど、皆がいつでも生涯、自分の学びたいことを学べる時代にしなければなりません。
II 希望者全員奨学金 コンクリートから人づくりへ
しかし現状では、経済的理由により、その機会を享受できない人々が多く存在しています。日本の高等教育費の家計負担割合は世界でもっとも高く(約 6 割)、そのことが多くの若者の就学の機会を阻んでいます。経済的状況に左右されることなく、すべての人が自分の意思によって自由に生き方を決定でき、そのための学びについては真の機会の平等が実現されるべきです。
では、日本の高等教育はなぜ家計に負担を多くかけてしまうのでしょうか? 原因は、奨学金制度が他国に比べ貧弱であることにあります。たとえばアメリカでは、政府だけでも日本の10倍の奨学金予算を確保している上に、民間の奨学金財団が多く存在し、学業が優秀であれば大学院まで進むことができます。
我が国は、国際人権規約第 13 条 2 項の C で定める「高等教育の漸進的無償化条項」をいまだに留保しており (150 を超える同規約批准国のなかでルワンダ、マダガスカルと日本のみ ) 、日本の高等教育の公財政支出の対 GDP 比率(0.5%)は、 OECD (経済協力開発機構)加盟国30カ国中最下位というありさまです。
無駄な公共事業予算や、天下りポストを維持するためだけの予算をカットし、人づくり予算を確保し、希望者全員に奨学金を十分に給付できるようにし、すべての人々に高等教育の機会をひらきます。
III 奨学金の制度について 日本学生支援機構の制度改革
前述したように、奨学金制度を充実させることで高等教育の家計負担率を減らすことができます。
国が運営している奨学金財団は日本学生支援機構です。日本の奨学金事業の大部分を扱っており、平成 15 年度の実績では、地方公共団体の奨学金と比較して、奨学生数で 3.2 倍、奨学金総額において 8 . 1 倍の事業規模を誇り、受給者に対する広報、選抜といった面でも全国規模のネットワークを持っています。財政難の影響で、地方公共団体や公益法人などによる奨学金財団数は減少している中、日本学生支援機構の重要性はさらに増すと思われます。
出典:「日本育英会年報」、「平成 15 年度 奨学事業に関する実態調査結果の概要」
しかし、日本学生支援機構はいくつかの問題点を抱えています。
1 一種、二種とも貸与奨学金であり、アメリカなどで一般的な給付奨学金ではない。つまるところ教育ローンであり、家計負担の削減にはつながらない。
2 日本学生支援機構は、「高校時代の成績」のみで貸与者を決定する。そのため、自分が寄付した奨学金がしかるべき勤勉な学生のもとに届いているかどうか疑わしく、「この学部・出身地の学生にだけ貸与したい」などの寄付者の意向が反映されない
他の奨学金財団は、特定の学部・出身地の学生への奨学金など目的が明確化したものも多くあり、更に給付奨学金 ( 返還義務のない奨学金 ) であることが多くあります。しかし、日本学生支援機構とは異なり税制上の優遇がすくなく、そのため奨学金財団の活動は他国に比べて盛んではない状況です。
一方で、日本学生支援機構や国立・公立大学、私立学校共済・振興事業団・地方公共団体に寄付を行う場合、平成 19 年度税制改正により、税制上の優遇が更に大きくなりました。こうした税制上の優遇を他の奨学金財団に広げるというのも一つの手ですが、国が作り上げた日本学生支援機構のネットワーク、システムを有効に活用して、そのうえで寄付者の意向が反映されるようにすれば、より迅速に、多くの学生が奨学金の恩恵を享受できるシステムを構築することができます。
すなわち、日本学生支援機構の奨学金の選択肢を広げ、給付奨学金、出身地・学部など特定の学生を対象にした奨学金を機構内に設立します。寄付者は、「日本学生支援機構内の特定の奨学金の財源とする」という条件付きで寄付を行うことができるようにします。こうすることで、日本学生支援機構のネットワークを用いながら、従来の特定大学・学部・出身者向けの奨学金財団のように寄付者の意思が反映されます。
出典:文部科学省 HP 「寄付金関連の税制について」
IV 奨学金の財源について より一層の事業費増加を
奨学金の事業費は、この 6 年間で大きく増加しました。この流れをとどめることなく、希望者全員が奨学金の恩恵を受けられるに足る財源を確保する必要があります。
一方で、無利子奨学金の額はあまり増加していません。無利子であってこそ、本当に奨学金を必要としている学生が恩恵を受けることができます。
すずきかんは、法科大学院の学生を対象とした奨学金の設立など、奨学金制度の充実に尽力してきました。そのノウハウがあるすずきかんだからこそ、これから 6 年間での奨学金制度の充実に寄与できます。
出典:文部科学省 HP 「奨学金事業の充実」
すずきかんは、希望者全員奨学金(最低でも月額5万円無利子貸与)を実現させます。
無利子であれば奨学金を希望するが、有利子だと経済的に厳しいという学生全員に対して、月額五万円の奨学金を無利子で貸与するとし、そのときの利子収入を国庫から充当するとします。
日本学生支援機構の HP によると、有利子の第二種奨学金を月に 5 万円、 4 年間 ( 大学 ) 借りた場合の利息は約 40 万円です。 ( 年利2%の場合 ) 同様に、 2 年間 ( 専門学校・短大 ) の場合は 16 万円、大学院修士課程の 2 年間は 16 万円、博士課程の 3 年間は 26 万円です。
出典:日本学生支援機構 HP 返還例
この額と、それぞれの学生を対象とした奨学金に関するアンケートで「奨学金を希望したが申請しなかった」または「申請したが不採用」であった ( 無利子の第一種奨学金の申請であるとかんがえられます ) 学生の割合、また教育段階別学生数によって、必要な予算を導きます。専門学校生のアンケートは入手できなかったため、短大生の数値と同じとします。
アンケートの出典:平成 16 年度学生生活調査 ( 日本学生支援機構 )
入学者数の出典:文部科学省統計資料
すると、必要な額は以下の表のように導き出せます。
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(1)利子の総額 |
(2)奨学金希望したが申請しなかった、または無利子奨学金に不採用だった学生の割合 |
(3)一学年当たりの学生数 |
(4)必要な額 |
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短大・専門学校 |
160,000 |
11.4 |
391,555 |
7,141,963,200
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大学 ( 学部 ) まで |
400,000 |
15.4 |
603,050 |
37,147,880,000
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大学院 ( 修士 ) |
160,000 |
16.0 |
77,851 |
1,992,985,600
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大学院 ( 博士 ) |
260,000 |
11.5 |
17,131 |
512,216,900
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総額 |
46,795,045,700
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( 大学院修士課程、博士課程については、いずれも大学の学部を卒業していることが必須であるため、学部の 4 年間に奨学金を借りた場合の利子は大学の欄に組み入れる )
年間四百六十七億円の予算で、奨学金を希望する学生すべてが月額五万円の奨学金を受けることができます。