5-2 病児保育の推進
Ⅰ 病児保育の必要性
幼稚園や保育園に子供を預けながら、職場で活躍するお母さんが多くなっています。しかし、子供が病気になると、幼稚園・保育園に連れていけず、しかも仕事があって病院へ連れて行くこともできず、多くの母親が悩んでいます。そういった、子供が病気にかかったときの保育施設を充実することが必要です。
しかし、病児保育の施設は充実していません。病児保育 NPO法人 「フローレンス」の調査によると、保育施設の数 30000 に対し、病児保育施設の数はたった 500 。わずか2%弱です。これでは、病児保育に対するニーズを満たすことはできません。
Ⅱ 病児保育の充実がすすまない背景
なぜ、病児保育施設の普及が進まないのでしょうか。その原因は、小児医療と同じく、施設費、人件費がかかる割に、収入が少なく採算が取れないことにあります。更に、その需要に季節変動がある ( 冬場は風邪によって需要があるが、夏場は需要がない ) ため、コンスタントに利益を生むことができず、採算が取れないという原因もあります。病児保育単体の施設をつくるのではなく、普通のクリニックとしての機能を持たせながら病児保育も行うという施設、またその施設がコンスタントに稼働するような地域ネットワークづくりが必要です。
保育園・幼稚園併設型保育クリニックの整備を
そこですずきかんが提案するのは、「保育クリニック」の地域ネットワークです。地域の保育園・幼稚園数か所を一つグループとし、その中の一つを「病児保育拠点保育園・幼稚園」とし、「保育クリニック」を設置します。子供が病気のときは、普段の保育園ではなく、保育クリニックが併設されている保育園・幼稚園に子どもを送ります。保育クリニックで診察・処方を受けた後は、「病児保育拠点保育園・幼稚園」で看護士・準看護師の看病を受けるのです。 これにより、保育クリニックは安定した収益基盤を持つことができます。更に、地域にいらっしゃる看護師・準看護師の有資格者の人材を有効に活用することができます。結婚・育児のために退職した看護師・準看護師の方々にとっては、能力・経験を最大限に発揮できる最適の職場です。 普段の通勤ルートから外れてしまっているため、「病児保育拠点保育園・幼稚園」に子どもを送れないというご両親もいらっしゃるでしょう。そういった問題には、送迎車の整備で対応します。
全国の幼稚園・保育所 ( 園 ) 10施設で、一つの地域病児保育コミュニティを形成することを考えます。
平成18年4月現在、全国には保育所が22,699か所、幼稚園が13,835 か所存在します。合計で36534か所です。これをもとに考えると、約3650の地域病児保育コミュニティをつくる計算になります。
地域病児保育コミュニティをひとつ作るのにかかる費用は、以下のように計算します。
1 幼稚園・保育所に付設するクリニックの設立にかかる費用
クリニックのハコ自体は、(1)幼稚園・保育所を改築し診療可能な形態にし、医師と看護師を招き入れる(2)小児科のクリニックに小児を短期収容できる追加的施設を整備するという二つの方法があります。これにかかる費用を平均で 500 万円とします。小児科ですから、高額な設備は特に不要であり、この金額の範囲内に収まると予想できます。
医師は地域の小児科医が持ち回り制で対応し ( 法改正が必要 ) 、看護師は地域の元看護師で子育て経験者を 1日につき一人雇います。
それぞれ 8 時から 17 時まで 9 時間の勤務とし、医師は時給 8000 円、看護師は時給 1800 円で換算します。
すると、 1 日につき 88200 円の人件費がかかります。 週休 2 日制で計算したときの、保育クリニックひとつあたりの人件費のトータルは約 2,293 万円です。
2 送迎車の整備
通常のワゴン車を改良して対応します。一つの地域病児保育コミュニティに 2 台整備します。
一台を 300 万円 ( 改装費用込み ) で計算します。
クリニック設立、送迎車の整備にかかる費用は全体で約 401 億円になります。
人件費補助としてクリニックひとつあたり 500 万円の補助金を出したとすると、それにかかる経費は年額 175 億円になります。